5年ぶり12月利上げ打ち止め、利下げも打ち止めで2020年中立へ
更新日:2019年12月12日(木)
2015年12月FOMCで9年半続いた過去最低のFF金利0.00-0.25%を0.25%引き上げて0.25-0.50%としたFRBはこれ以降、2016年12月には1年ぶりの利上げで0.50-0.75%へ、2017年12月にはこの年3回めの利上げで1.25-1.50%へ、2018年12月にはこの年4回めの利上げで2.25-2.50%へ。紆余曲折ありながらも毎年12月には必ず利上げを行うこと4年。5年めの2019年12月FOMCでは、5年ぶりにFF金利を据え置いて利上げを打ち止め。
その2019年としては7月から9月、10月と3会合連続で0.25%の利下げでFF金利を1.50-1.75%へと引き下げ、4会合ぶりにを全会一致で据え置きを決定し、利下げも打ち止め。
4年かけて合計9回利上げして1年で3回の利下げのパターンは、株式相場などがゆっくりと上昇して急落、押し目を形成して再び上昇相場へ、というパターンにも似た形でFF金利引き上げフェーズでの押し目を形成して一服、という段階に。利上げも利下げもいったん打ち止めで2020年には中立状態へ、との見通しも示されました。
FRBの思惑としては様子見期間を置いて長期的な中立金利と思われる2.5%に向けていずれ利上げ再開へ。という構図も示されたFOMCとなりました。
FOMC声明文では、前回までの「見通しに対する不透明感は残る(uncertainties about this outlook remain)」とした部分を削除。「不透明感」がなくなった(※実際には緩和された)ことが据え置きの要因の一つであることを示唆しました。
ただし、パウエルFRB議長は、利上げ再開に向けては「著しく持続性のあるインフレ加速が必要」として低インフレへの警戒感を示し、労働市場についても慎重姿勢を見せました。そして、何よりドットチャートが示す今後のFF金利予想中央値が毎回引き下げられて行く状況は、ハト派姿勢を示唆しているようです。
さらに、喫緊に迫る15日予定の追加関税の動向も、その先の第2段階以降の米中協議継続見通しなどについても「不透明感」は払拭されていません。
11日のNY金相場は+6.9ドル、0.47%の続伸。欧州時間にはユーロ高ドル安の流れにも連れて小幅上昇、NY朝には1470ドルを回復。米10年債利回りの低下にも連れてNY午後には1470ドル台半ばへ。引け後のFOMC結果には初期反応で一時的に売られたものの即反発へ、パウエルFRB議長会見での緩和スタンスを好感する形で1480ドル台へと一段高。その後の時間外では1.78%台まで急落した米10年債利回りが1.8%付近へと反発したこともあり、1480ドル割れへと小反落。重要イベント第1弾で予想通りの結果となったわりにはよく動いた感も。流れは上方向も、次なるイベント、ラガルド新体制でのECB理事会、英総選挙ではサプライズがない限り1450ドルから1480ドル台までのレンジ内推移はもう少し継続か。
NYプラチナは+16.9ドル、1.83%の大幅続伸、11月1日(954.0)以来の高値水準に。前日NY引け後に920ドルを割り込んだのが安値となり、ほどなく920ドル台を回復すると堅調推移となってNY朝には930ドル台へ、午後には940ドル付近での揉み合い状態に。FOMC後には一時940ドル台後半まで上昇。11月高値(959.9)から11月安値(867.8)までの76.4%戻し(938.2)付近で落ち着いた状態となり、9月高値(1000.8)と11月高値を結ぶラインを一時的には上抜けたものの、このライン付近まで押し戻された状態でもあり、一服感も。と同時に上値目標960ドル近辺に向けてもあと少し。
金との価格差は過去最大となった8月の689.2ドルから150ドル超縮小して535.5ドル。6月13日以来、半年ぶりの水準。
ドル円は20銭強のドル安円高となって3日ぶりの反落。108円60銭台から70銭台までの小幅レンジでの保ち合い推移から、FOMC後に108円40銭台まで下落。緩和スタンスが意識されて米10年債利回り急低下とともにドル全面安の流れとなり、ドルインデックスは1カ月ぶりの水準へと急低下。ただし「不透明感」が晴れたことによるリスク選好の流れで株高とともにクロス円では円全面安。ドル安円安となったドル円は今回も108円40銭台ではしっかりとサポートされ、今朝の東京時間には50銭台へと小反発。後続のイベントでも予想外の波乱がなければ108円40銭台から109円近辺までの主要レンジ維持の展開か。ただしサポートを割れて108円も下回るようなら10月初旬の水準107円付近までが下値目安にも。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場12/11終値とチャート
12日の国内金価格は+60円、0.54%の続伸となって12月6日(5620)以来、1週間ぶりの高値水準。FOMCの結果は予想通りながらも若干ハト派的な見通しとパウエルFRB議長会見にサポートされ、保ち合い継続ながらも短期トレンドは好転方向へ。5630円台の節目を突破することができれば、1カ月続いた保ち合い上放れとなり、近年最高値更新トライへと向かう流れに発展する可能性も。この場合の上値目標は5750円近辺まで。ただし、週末にかけてのリスク(オン)イベントの動向次第で大きく巻き戻されるリスクも。
プラチナ価格は+61円、1.75%の大幅続伸。
3380円台で3度サポートされて反発した流れは今回も一段高となり、上値目標3600円台に向けた流れが継続。ただし、9月24日には3544円、11月5日には3548円、そして今回は3541円。これで反落となれば、この3540円台の水準鬼門となって今後も強めの抵抗水準として意識されることにも。そして
2015年10月高値4216円から続く4年越しの長期抵抗線との攻防水準にも到達。5年めにして新たなレンジへと抜け出せるかどうか、重要イベントウィークに国内プラチナ価格も正念場。
※参考:
金プラチナ国内価格12/12とチャート
2019年12月12日(木)時点の相場
国内金:5,620 円 12/12(木)
▲30(
0.54%)
国内プラチナ:3,541 円 12/12(木)
▲61(
1.75%)
NY金:1,475.0 ドル 12/11(水)
▲6.9(
0.47%)
NYプラチナ:939.5 ドル 12/11(水)
▲16.9(
1.83%)
ドル円:108.54 円 12/11(水)
▼0.22(
0.20%)
12/11(水)のその他主要マーケット指標
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