U6失業率過去最低も、賃金上昇率鈍化は今年もFRBの頭痛のタネ
更新日:2020年01月11日(土)
米労働省が発表した12月の雇用統計に対して市場は乱高下、強弱混在となったその結果を象徴する反応にもなったようです。
雇用者数の伸びは市場予想を若干下回って7カ月ぶり低水準、ただし3ヵ月平均では前月比+18.4万人。
年間平均+17.6万人を上回る高水準にはなっています。
ただし、2月には年次改定もあり、今回は雇用者数の伸びが大幅に下方修正される、との見方もあるようです、
失業率3.5%は前月から横ばい推移も、1969年12月(3.5)以来50年ぶりの低水準。FOMCでもさらに低下するとの予想は見られず、ほぼ限界値に到達したとも思われる状態。
しかし、やむを得ずパートタイム労働に従事する人なども含む
広義の失業率、U6失業率は11月の6.9%から12月は6.7%へと低下。1994年以降のデータではこれまで最低となっていた2000年10月(6.8%)を19年2カ月ぶりに更新、過去最低となっています。
この結果、U6失業率とU3失業率(通常の失業率)との差は3.2%となり、2001年8月(3.2)以来18年4カ月ぶりの低水準。
U6失業率とU3失業率との差は、2001年のリセッション前には3.0%で下げ渋り、2008-2009年のリセッション前は3.5%で下げ渋って反発へ(拡大へ)と向かいました。昨年9月以降も3.3-3.4%で下げ渋る状態のようにも見えましたが、12月に一段と縮小したことでリセッション懸念もいったん払拭、という状態に。
ところが、賃金上昇率は鈍化傾向が続きます。
12月の平均時給の上昇率は前年比+3.1%予想に対して、+2.87%と低調。11月の+3.14%からも急減速となり、2018年9月(+2.98%)以来の3%割れ、2018年7月(+2.85%)以来、1年5カ月ぶりの低水準。2019年2月の+3.40%でピークアウトし、低下傾向が続いています。
賃金の伸びが加速しないのは、インフレが加速しないのと合わせ、今年も「謎」としてFRBにとっての主要テーマでもあり続けそうです。
10日のNY金相場は+5.8ドル、0.37%高となって3日ぶりの反発。中東の緊張緩和の流れを受けての売りも一服、しかし前日安値1541ドルからの自律反発も限定的となり、時間外は1550ドルをはさんでの小幅揉み合い推移。NY朝には雇用統計の結果を受けて乱高下、のち上昇という反応。強弱入り交じる結果も雇用の伸びがやや低調となり、賃金の伸びが鈍化していることへのマイナス印象が強く、高値更新が続いた米株も調整の動きとなって米10年債利回りも低下、ドル安の流れにも下支えされてNY午後には1560ドルを回復。11月安値1446.2ドルから8日の急騰でつけた高値1613.3ドルまでの38.2%戻し(1549.5)にも相当する1550ドルが目先のサポートとなり、これを割り込んだ場合には50%戻し(1529.8)付近、1530ドル近辺までが下値目安に。上方向には1570ドル台が当面の抵抗水準となり、これを超えた場合の上値は1590ドル台辺りまで。本格的に1600ドルをしっかり上回るには勢いや背景、材料にもまだ欠ける状況で時期尚早か。
週間ベースでは+7.7ドル、0.5%高となって3週続伸。
NYプラチナは+14ドル、1.44%の大幅続伸となり、今年ここまでの高値となった3日(990.3)以来、1週間ぶりの高値水準。時間外には一時970ドルを割れたのが格好の押し目となって買い圧力が強まる形となってNY朝までに980ドル超え。雇用統計後には970ドル前半へと再度下押し後、金にも連れる形で一時990ドル手前まで一段高。失速しつつあった短期上昇トレンドの勢いが吹き返す格好となり、高値更新トライをうかがう状況にも。目先、990ドルの節目を突破することができれば、強めの抵抗水準にもなってきた1000ドルの大台再トライ、1010ドル前後までの上昇余地も。下方向には960ドルが当面のサポート、割れると940ドル近辺までが下値目安に。
週間ベースでは-4.3ドル、0.43%安で3週ぶりの反落。
ドル円は5銭ほどのドル安円高となって5日ぶりの小反落。8日には上下1円60銭の乱高下となって5ヵ月ぶりの大幅変動となった後、9日は54銭とほぼ昨年平均と同水準の値動きとなり、この日は雇用統計発表日にもかかわらず26銭程度と昨年平均の半分以下まで動意縮小。概ね109円50銭台を中心に小幅揉み合い推移となり、雇用統計発表直前には期待感から109円70銭手前まで上昇。発表直後には109円50銭近辺まで急落後に再度109円60銭台へと急反発、乱高下ののちには株安金利低下の流れとともにジリ安の展開となってこの日の安値109円40銭台まで下落。結果的に保ち合い上限109円60銭台が超えられず、再び保ち合い継続の様相に。確率はかなり低いと思われるものの、次週CPIでインフレ加速の兆しが見られるなどして上限を超えることができれば110円半ば辺りまでを目指す展開にも。
週間ベースでは+1.36円、1.26%高で3週ぶりの反発。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場1/10終値とチャート
2020年01月11日(土)時点の相場
国内金:5,955 円 1/10(金) +-0(0.00%)
国内プラチナ:3,683 円 1/10(金)
▲53(
1.46%)
NY金:1,560.1 ドル 1/10(金)
▲5.8(
0.37%)
NYプラチナ:986.0 ドル 1/10(金)
▲14.0(
1.44%)
ドル円:109.47 円 1/10(金)
▼0.05(
0.05%)
1/10(金)のその他主要マーケット指標
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