コアPCE=15ヵ月連続2%未達、雇用コスト指数=ピークアウト
更新日:2020年02月01日(土)
米商務省が発表した12月の個人消費支出物価指数(PCE)は、前年比+1.61%となって3ヵ月続伸、2018年12月(1.78)以来、1年ぶりの高水準となりました。エネルギー関連サービス価格が前年比+3.7%へと急上昇、8カ月ぶりに前年割れから抜け出し、1年2ヵ月ぶりの高水準となったことで押し上げられました。しかし、2018年11月以降、14ヵ月連続でFRBのインフレ目標2%未達の状態は続きます。
コアPCEは前年比+1.58%となり、半年ぶり低水準となった11月の+1.53%からは上昇。しかし、直近7ヵ月では2番めの低水準にとどまり、2%未達は2018年10月以降、15ヵ月連続となっています。
商品価格は前年比+0.4%となり、13カ月ぶりに前年割れから抜け出して14ヵ月ぶりの高水準となってもこの低水準。商品のなかでは耐久財が11月の前年比+0.3%から12月は+1.6%へと急上昇、1年2カ月ぶり高水準となったのに対し、耐久財価格は11月の-1.4%から12月は-1.8%へ、1年半ぶり低水準へと落ち込むデフレ状態。
インフレ上昇への牽引役となるサービス価格は前年比+2.1%となり、11月の+2.2%から低下、2017年8月以来、2年4カ月ぶり低水準となり、インフレ加速の兆しは依然、見られない状況のようです。
なお、ダラス連銀が発表するトリム平均PCEは前年比+1.96%、小幅続落となって2ヵ月連続2%割れ、6カ月ぶり低水準。
クリーブランド連銀発表のPCE中央値では前年比+2.60%。8月に+2.77%まで上昇し、2008年8月(2.80)以来11年ぶり高水準となったのがピークとなって低下傾向、9ヵ月ぶり低水準となっています。
この日、米労働省が発表した2019年第4四半期の雇用コスト指数は、前年同期比では+2.74%となり、2018年第1四半期(2.64)以来、1年3四半期ぶりの低水準。
賃金が7割を占めると言われる雇用コストは20018年第4四半期に前年比+2.89%となり、2008年第3四半期(+3.02%)以来、10年1四半期ぶりの高水準となっていました。しかし、その後は4四半期連続の低下。
雇用コスト指数のピークアウトの可能性は、そのまま賃金上昇率の伸び鈍化につながり、インフレ加速に向けては逆風となります。
シンメトリックなインフレ目標2%回帰への道のりは、まだまだ険しそうです。
31日のNY金相場は-1.3ドル、0.08%の小幅安で3日ぶりの反落。前日NY市場でつけた6年10カ月ぶり高値1590ドルから、時間外の調整局面では前日安値をわずかに下回る1575ドルまで下落。しかし、格好の押し目にもなった様子で11月安値から1月高値までの23.6%戻し(1573.9)にもサポートされ、欧州早朝の時間帯から株安の流れ再開とともに反発へ。新型コロナウイルスの感染拡大懸念は続き、中国では複数の地方政府が春節の連休延長を決め、市場では世界経済への影響懸念も拡大。米10年債利回りは5カ月ぶり低水準となる1.51%割れへと再低下、3ヵ月債利回りの1.54%を下回る逆イールドに。欧米株も大幅安となってNYダウは5カ月ぶりの600ドル超、2%超の急落。米指標では1月のシカゴPMIが予想を大幅に下回って4年ぶり低水準となる42.9へと落ち込んだこともリスク回避の流れを助長。NY金は1590ドル台へと水準を切り上げ、NY引け後には一時1595.5ドルまで上昇。
短期上値目標1600ドル近辺にほぼ到達した状態も、週明けも日経平均の大幅安スタートでリスク回避の流れが続くようなら大台超えへと一段高の場面も。1575ドルが目先のサポート候補となり、1560台が下方向への節目、割れると調整拡大で1月安値圏1540ドル台までが下値目安に。
週間ベースでは+16.0ドル、1.02%高となって6週続伸。6週続伸は2016年5-7月以来、3年7ヵ月ぶり。月間では+64.8ドル、4.25%の大幅続伸。1月としては7年連続上昇、直近10年では8勝2敗。
NYプラチナは-18.6ドル、1.9%の大幅反落で12月27日(950.4)以来、1ヵ月ぶりの安値。連日同じような展開で小反発からの戻り売りで水準を切り下げるパターンが継続。前日NY引け後には前日高値をわずかに上回る980ドル台後半へと上昇も20日移動平均線(991.1)には届かず。戻り売りスタート後には欧米株全面安の流れにも連動する形で下げ幅を拡大、NY朝には一時960ドル割れを試すも960ドル台前半での揉み合いとなって下げ渋り。970ドル台のサポート割れに伴う下値目安950ドル台へも一瞬足を踏み入れた状態に。この水準は昨年11月安値から1月高値までの50%戻し(957.3)にも相当し、下げ止まるのにも都合の良い水準。株安連鎖が続き、その流れに追随するようだと61.8%戻し(936.1)から76.4%戻し(910.0)辺りまでが意識されることにも。
週間ベースでは-48.7ドル、4.82%の大幅続落。月間では-15.9ドル、1.63%の反落。1月に下落するのは4年ぶり、過去15年間では13勝2敗。
ドル円は60銭弱、-0.52%のドル安円高となって3日続落。1月6日(108.36)以来、4週間ぶりの安値水準。前日比0.5%以上の変動は1月8日(+0.63円、0.58%)以来今年2度め、下落では12月30日(-0.56円、0.51%)以来、1ヵ月ぶりで今年初の0.5%超の下落。小動きが続いたなかで新型肺炎リスクへの警戒感からの株安連鎖に追随する形で、円高方向へと動意づいた感も。109円80銭台で下げ渋る状態が欧州時間序盤まで続いた後、米株の下げ幅拡大と長期金利低下にシカゴPMIの大幅悪化も加わり、NY時間に急速に水準を切り下げる展開となっって108円30銭台まで下落。109円近辺での小幅保ち合い下放れとなったことに伴う下落も、今年安値から高値までの76.4%戻し(108.27)も意識されてか30銭近辺では下げ渋り。目先、108円前後から今年安値107円60銭台辺りまでの一段安も想定され、リスク回避の流れが強まり、月初の指標悪化などが加わると大きく水準を切り下げるような流れに発展する可能性も。その場合には長期三角保合い下限付近となる106円割れ辺りまでが下値目安にも。
週間ベースでは-90銭、0.82%の続落。月間では-22銭、0.2%の小幅続落。1月の下落は4年連続、15年間では4勝11敗。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場1/31終値とチャート
2020年02月01日(土)時点の相場
国内金:6,009 円 1/31(金)
▼14(
0.23%)
国内プラチナ:3,744 円 1/31(金)
▲11(
0.29%)
NY金:1,587.9 ドル 1/31(金)
▼1.3(
0.08%)
NYプラチナ:961.9 ドル 1/31(金)
▼18.6(
1.90%)
ドル円:108.39 円 1/31(金)
▼0.57(
0.52%)
1/31(金)のその他主要マーケット指標
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