国内景気は3.11以来、見通しは金融危機以来、でリセッションへ
更新日:2020年03月10日(火)
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で世界的な景気後退懸念が警戒されるなか、内閣府が9日発表した10-12月期GDP改定値は、年率換算で速報値の6.3%から7.1%へと下方修正。コロナ前の消費増税の悪影響が予想以上に大きかったことをさらに痛感させられる結果となりました。コロナの影響が顕在化した今年1-3月期のマイナス成長は避けられそうにもなく、想像を超える数値が飛び出すことにも・・・そんな予想が裏切られることを祈るばかりです。ともかく、2四半期連続のマイナス成長が確実視される状況となってきました。
コロナ感染者数は中国、韓国、イタリア、イラン、米国などよりも少ない数値がWHOには報告されていますが、それらの国々を含めて主要国のなかで日本は、先行してテクニカルな景気後退、リセッションを余儀なくされそうな情勢となってきています。
内閣府発表の景気ウォッチャー調査によれば、2月の現状判断DIは27.4。2011年4月(23.9)、東日本大震災の翌月以来、8年10ヵ月ぶりの低水準。なお、節目50割れは25ヵ月連続となり、前月比では-14.5ポイントとなり、2014年4月(-15.6)以来5年10ヵ月ぶりの急落となっています。
また、先行き判断DIは24.6。2009年1月(23.8)、世界金融危機以来、11年1ヵ月ぶりの低水準。節目50割れは15ヵ月連続となり、前月比-17.2は2011年3月(-21.2)、3.11の月以来、9年ぶりの急落となっています。
現状判断DIが38.6まで急落した2014年4月の消費増税の時には、先行判断DIは48.3と節目50割れながら前月比では+14.7と急騰しており、見通しとしては時間とともに景気回復が見込まれる状態を示唆していました。
9年前の3.11、東日本大震災となった2011年3月は現状判断DIが24、先行き判断DIは25.1。今回2月の数値は現状判断DIが3.11の時を上回り、しかし先行き判断DIは3.11の時を下回っています。現状判断としては9年前の時よりもマシ、ですが今後の見通しとしては、9年前の時よりも不透明感が強い状態、となっているようです。
おそらく、日本国内のこのような状況が、世界の多数の主要国でも起きているものと思われます。
9日のNY金相場は+3.3ドル、0.2%の上昇で3日続伸。時間外は東京朝の時間帯から原油暴落と株安・円高のリスクオフの流れで先週末から30ドルほど水準を切り上げて1700ドル台へと急騰。高値では1704.3ドルまで上昇し、2012年12月18日(1704.4)以来、7年3ヵ月ぶりの高値を記録。しかし、1700ドルをはさんでのもみ合い推移となって上値の重さも確認すると、東京午後の時間帯からは利益確定売りと戻り売りの様相となって一時1660ドル割れへと40ドル超の急反落。欧州・NY時間も世界同時株安は続き、欧米主要株価指数は軒並み7%超の暴落状態となり、NY株式市場では取引開始まもなくサーキットブレイカー発動。VIX指数は54.46となって2009年1月20日(56.65)以来、11年2ヵ月ぶり高水準、一時60台まで急騰し、リーマンショック以来の高水準。大荒れ状態は続いたものの、NY金は1660ドル台から1680ドル台までの広めのレンジで売り買い交錯状態に。引き続き1680ドルが目先の抵抗水準となり、これをしっかり超えることができれば1700ドルの大台再トライ、長期76.4%戻し(1716.4)となる1710ドルから20ドル台辺りまでが上値目標、下値は1640ドル近辺がサポート候補。
NYプラチナは-33.6ドル、3.75%の大幅反落。東京朝の時間帯には金の急騰に連れて一時916ドルまで上昇も、株安の流れにも連れる形で急反落となってNY市場にかけては860ドル付近まで、50ドルの大幅下落。結果的に200日移動平均線(901.6)上抜けに失敗、先週末の急騰分を帳消し、さらにその大陽線の実体部を包み込む形の大陰線となって包み線を形成。さらなる下落の可能性を示唆する足型に。目先、860ドルを維持できなくなるようだと一段安の展開へ、830ドル台辺りまでが下値目安に。
ドル円は3円10銭超、2.98%の大幅ドル安円高で3日続落。下落率としては2016年7月29日(-3.17円、3.01%)以来、3年7ヵ月ぶりの急落。水準としては2016年10月3日(101.65)以来、3年5ヵ月ぶり安値。為替では対ドルでアルゼンチン・ペソやブラジル・レアルの過去最安値更新が続き、クロス円も全面安となって南アランド円は過去最安値を更新、豪ドル円は2009年3月以来11年ぶり安値となるなど、新興国通貨やかつての高金利通貨が大きく売られ、ユーロドルだけは1年1ヵ月ぶり高値。円高ドル安が急速に進行したドル円は東京朝に101円50銭台、欧州朝には101円80銭台、NY朝には米株暴落にも連れて101円20銭近辺の安値をつけ、なんとか102円台を回復してNYを終えた状態。長期三角保ち合いを下抜け、意識されやすい節目となっていた2018年3月安値104円台半ばを突き抜け、
2016年11月安値101円20銭近辺にもいきなり到達。今朝の東京市場では103円台を回復しており、暴落状態は一服の様子だが。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場3/9終値とチャート
10日の国内金価格は-158円、2.55%の大幅続落。3月2日(-293円、4.64%)以来、1週間ぶりの急落、下げ幅は今年2番め、2016年以降でも2番めの急落。NY金も歴史的高値圏を回復していることから、短期的な調整幅も拡大しやすくなり、急騰もあれば急反落もあり得る高ボラティリティ状態。為替は言わずもがなの状態で予想外の乱高下を余儀なくされる展開はもう少し続きそうな状態か。短期的には6180円のサポートを割れたことによる下値目安6100円近辺を突き抜ける形となり、調整一服とはなりやすいところ。ただし、3月2日の6017円を下回るようだと中期サポート水準と予想される今年安値(5927)が早くも意識されるような展開にも。
プラチナ価格は-84円、2.58%の大幅安で4日続落。8月28日(3170)以来、6ヵ月半ぶりの安値水準。3260円の安値更新に伴う下値目安3210円近辺を大きく下回り、NYプラチナも今朝の時間帯では反発の兆し、為替も円安方向に戻しており、リスク回避一服で下値模索も一服という状況にも。
※参考:
金プラチナ国内価格3/10とチャート
2020年03月10日(火)時点の相場
国内金:6,039 円 3/10(火)
▼158(
2.55%)
国内プラチナ:3,172 円 3/10(火)
▼84(
2.58%)
NY金:1,675.7 ドル 3/9(月)
▲3.3(
0.20%)
NYプラチナ:862.8 ドル 3/9(月)
▼33.6(
3.75%)
ドル円:102.14 円 3/9(月)
▼3.14(
2.98%)
3/9(月)のその他主要マーケット指標
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