コロナ前の米2月雇用統計は目一杯の好結果・・・
更新日:2020年03月07日(土)
注目度が低下せざるを得ないタイミングでの発表となった、米2月雇用統計はポジティブ・サプライズとなりました。
非農業部門雇用者数の伸びは市場予想を大幅に上回り、過去2ヵ月分も大幅上方修正。3ヵ月平均では+24.3万人となり、2016年9月(25.3)以来、3年5ヵ月ぶりの高水準。
年間平均では過去最高。
失業率の3.5%は昨年9月と11-12月と並び、1969年12月(3.5)以来、50年ぶりの低水準をキープする状態。と同時に限界水準に達した可能性を疑う状態にもあります。
広義の失業率、U6失業率は7.0%となって半年ぶりの高水準。昨年12月に過去最低となる6.7%まで低下した後は続伸。
この結果、U6失業率と通常の失業率(U3)との差(U6-U3)は、12月に3.2%まで縮小し、2001年8月(3.2)以来18年4カ月ぶり低水準となった後、1月は3.3%、2月には3.5%と拡大傾向。2001年のリセッション前にはU6-U3=3.0%で下げ渋って底打ち、反発へ、2008-2009年のリセッション前はU6-U3=3.5%で下げ渋って反発の兆しとなったことがチラつく状況にも。
長期失業者の割合は19.2%。11年ぶり低水準となった昨年7月(19.2%)以来、7ヵ月ぶりの低水準。長期的な回復目安とされていた19.1%には2度めの最接近、2018年以降は19ポイント台前半を何度も記録して反発、12ヵ月移動平均線をはさんで上下動を繰り返す状態は過去のボトムアウトの状況にも酷似しています。
賃金上昇率は前年比+3.0%となって市場予想通り、好調の目安ともされる3.0%を上回るのはこれで19ヵ月連続。ただし、この19ヵ月のなかでは最低水準となり、小数点以下3桁までで見ると2.997%となり、19ヵ月ぶりの3%割れ。ピークアウトも鮮明となってきました。
12日を含む週に調査される雇用統計、コロナ前の2月は目一杯の好結果とも言えそうです。
2月12日の含む週には、新型コロナウイルスの感染拡大は中国とアジアの話、とたかをくくっていた米国も、今や他人事ではなくなり、コロナショックとなって大騒ぎ。
当時、集団感染が確認されたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に乗船している米国人を帰国させるためのチャーター機を手配していた米国も、今度は自国領海内で米クルーズ船「グランド・プリンセス」で集団感染の疑いが浮上。
他の経済指標と同様に、雇用統計も3月には急速な悪化を警戒しなくてはなりません。
6日のNY金相場は+4.4ドル、0.26%の続伸。終値では7年ぶり高値となった2月24日(1676.6)以来、2週間ぶりの高値水準。高値では同じ2月24日につけた1691.7ドルを一時的に上回り、2013年1月23日(1694.8)以来、7年1ヵ月半ぶり高値となる1692.8ドルまで上昇。新型コロナウイルスの感染拡大による世界景気後退懸念を背景に過去最低更新が続く米10年債利回りは一時0.7%割れ、NYダウも前日に続いて一時約900ドル安、ドルインデックスも8ヵ月ぶり低水準まで急落の展開となったNY朝までにNY金は20ドルほど水準を切り上げて1690ドルまで上昇。しかし、米2月雇用統計の想定外の好結果を受けて巻き戻し、米株の反発などにも押される形でNY午前のうちに一時1640ドル前半まで50ドル弱の急落となる場面も。ただし、これも続かず、格好の押し目となった可能性もあり、NY引け後には一時1690ドル超へと急反発。米株の乱高下にも呼応するように高値圏での乱高下状態となって1670ドル台に収束して終了。結果的にダブルトップの可能性も残して長めの十字線を形成。あらためて1680ドル台へと水準を切り上げることができれば1700ドルの大台トライへと向かう可能性。この日の安値圏1640ドル近辺が当面のサポート候補にも。
週間ベースでは+105.7ドル、6.75%の大幅反発。上昇率では2016年2月8日からの週(+81.7ドル、7.06%)以来、4年1ヵ月ぶりの大幅高。
NYプラチナは+30.7ドル、3.55%の大幅反発。1月15日(+38.3ドル、3.88%)以来2カ月ぶりで今年2番めの大幅高。欧州時間にパラジウムが2400ドル割れから2500ドル超へと急騰した場面に追随する形で860ドル台から900ドル台へ、40ドルの急騰。パラジウムが2400ドル台前半へと急反落したのに対してプラチナは下げ渋り、NY午前には金の急反落に連れる形で一時890ドル割れも、その後は金の反発に追随してNY引け後には905ドル近辺まで上昇。結果的に安値保ち合い上限、880ドルの節目を突破したことで
上値目標900ドルに到達して一服。終値では200日移動平均線(901.3)に上値を押さえられた形にもなっているものの、引け後にはこれを上回っており、次週このラインが抵抗線となるか、サポートラインとなるか、重要な分岐点にも。サポートラインとなれば今年高値から安値までの38.2%戻し(922.8)付近が意識される展開にも。
週間ベースでは+31.7ドル、3.67%の反発。1月13日からの週(+38.8ドル、3.94%)に次いで今年2番め、7週ぶりの大幅高。
ドル円は80銭超、0.81%のドル安円高となって大幅続落。この日も東京朝に高値をつけて欧州・NY時間にかけて軟調推移のパターン、106円30銭台から水準を切り下げて欧州時間には一時105円割れをうかがう展開に。105円ラインにサポートされて下げ渋るとNY時間にかけては105円台前半を中心に保ち合い推移。CMEフェドウォッチでは3月FOMCで0.75%利下げを60%まで織り込む状態となり、長期金利の低下とともにドル売り圧力が強まる展開。米雇用統計の好結果を受けての反発も限定的にとどまり、昨年8月以来、7ヵ月ぶり安値となる105円30銭近辺で終了。大幅追加利下げ観測が後退するような事態となれば、下げ止まりも予想されるものの、3月FOMCに向けてさらに織り込みが進行するようだと一段安の展開も余儀なくされる可能性。長期三角保ち合いも下抜けつつあり、意識されやすい水準としては2018年3月安値104円台半ば、これも下回るようなら2016年11月安値101円20銭近辺も。
週間ベースでは-2.80円、2.59%の続落。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場3/6終値とチャート
2020年03月07日(土)時点の相場
国内金:6,243 円 3/6(金)
▲61(
0.99%)
国内プラチナ:3,267 円 3/6(金)
▼41(
1.24%)
NY金:1,672.4 ドル 3/6(金)
▲4.4(
0.26%)
NYプラチナ:896.4 ドル 3/6(金)
▲30.7(
3.55%)
ドル円:105.28 円 3/6(金)
▼0.86(
0.81%)
3/6(金)のその他主要マーケット指標
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