コアPPI急低下が示唆するコアPCE目標到達への長い道のり
更新日:2020年06月12日(金)
米労働省が発表した5月の生産者物価指数で、食品とエネルギーを除いたコアPPIは前年比+0.34%。市場予想の+0.4%を下回り、2015年12月(+0.18)以来4年5ヵ月ぶりの低水準。
前日に発表された5月の消費者物価指数では、食品とエネルギーを除くコアCPIは前年比+1.22%となり、2011年3月(+1.19)以来、9年2ヵ月ぶりの低水準。
FRBの目標指標で商務省が発表する個人消費支出物価指数(PCEデフレーター)では、食品とエネルギー関連を除くコアPCEは最新が4月分で前年比+1.04%。これも2011年1月(1.02)以来、9年3ヵ月ぶりの低水準。
いずれもこの春に急落、コロナショックの影響と原油価格急落による影響も少なからず受けた状態です。
コアPPIが前回0%付近まで低下した2015年の時にも、原油価格の急落が影響していました。2014年末にNY原油価格が100ドルを割れて急落、これに追随する形でコアPPIも急落し、2015年後半にかけて一段と低インフレが進行しました。この時、コアCPIは早期反発しましたが、コアPCEはコアPPIに引っ張られる形となって1.2%までの低迷状態が続きました。
そして2015年12月にはコアPPIもコアPCEも底打ち、反発へと向かい、2017年にはPPIがPCEを上回ってインフレ上昇基調を牽引、2018年半ばにはPCEも目標水準2%を回復するに至りました。
ほぼ常にCPIを一定水準下回るPCEはインフレ上昇スピードも遅く、この時も低インフレが底打ちして2%を回復するまでに2年半程度を要しました。
金融危機の時にも、低インフレ状態に陥ったコアPCEは2009年7月に前年比+0.9%で底打ち後、いったんは反発も2010年12月に再度+0.9%で2番底をつけ、目標水準2%到達は2011年12月までずれ込みました。この時も低インフレの底打ちから目標2%回復までに2年5ヵ月かかりました。
今年5月にコアPCEも底打ちすると仮定した場合、2年5ヵ月後は2022年10月。2022年末までコアPCEがインフレ目標2%未達となり、それまではゼロ金利継続。
今回のFOMCでのFF金利見通しが妥当であることの裏付けにもなりそうです。
11日のNY金相場は+19.1ドル、1.11%の大幅反発。FOMCとパウエルFRB議長会見で示された長期的な経済の先行き不透明感と楽観的に買われ過ぎた株価とのギャップを埋める動きとなり、株式市場は一斉に利益確定売りの展開がFOMC終了後からこの日にかけて続いた状態。NYダウは3日続落となってこの日は1800ドル超、6.9%の暴落状態、下げ幅では過去最大となった3月16日(-2997.10ドル、12.93%)以来3ヵ月ぶり、今年4番めの下げ幅。過去最高値更新が続いて1万ポイントの大台超えとなったナスダックもS&Pも5%超の急反落となり、
VIX指数は4月23日以来1ヵ月半ぶりの40ポイント台へと急騰。
NY金は水準を切り上げたFOMC直後の1740ドル台後半から調整の動きとなってNY朝には一時1730ドル割れ、しかしNY市場では米株の一段安と米10年債利回り低下にもサポートされて反発すると一時1750ドル台半ばまで上昇。ただし1750ドル台では上値も重く、1730ドル台へと再調整。それでも節目の1730ドルは上抜けたことで、高値圏再トライへと向かう可能性は高まる状態に。20日移動平均線(1729.3)付近が目先のサポート候補となり、20日移動平均+2.5%乖離ライン(1772.5)付近まで、1770ドル台が当面の上値目標。
NYプラチナは-22.0ドル、2.6%の大幅安で3日続落。金の調整局面に追随、反発局面での追随は控えめとなって下げ幅を拡大。時間外は860ドル台からNY朝には820ドル台、NY市場では一時840ドル台後半まで反発後、820ドル付近まで急反落、引けにかけては一時810ドル付近まで下落。830ドルの節目を割れたことで
短期下値目安810ドルまで一段安となった格好で、下値トライ一服も。90日移動平均(825.9)回復が下げ止まりのポイントにも。下げ止まらない場合には5月半ばの急騰前水準780ドル付近が意識される展開にも。
ドル円は30銭弱のドル安円高、0.27%安で4日続落。5月8日(106.68)以来、1ヵ月ぶりの安値水準。FOMC後の軟調な流れが続き、東京時間朝に107円割れも下値は106円80銭台までで下げ渋り、欧州時間にかけては107円をはさんでのもみ合い状態に。NY時間には米10年債利回りの低下と株安の流れにも連れて106円50銭台まで下落。NY午後の反発局面では106円90銭台までにとどまり、短期的な主要レンジが107円割れへとシフトしてきた状態にも。下値目安106円前後に向けてもう一段の下落余地も。
長期三角保ち合い上抜けに失敗後、今度は下抜けトライへ向かい、今月は下値トライにも失敗か。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場6/11終値とチャート
12日の国内金価格は-47円、0.72%安で3日ぶりの反落。NY金の調整と円高継続で9-21日移動平均線(6527-6526)が抵抗線にもなって上値を押さえられた形に。上方向への節目は6540円に切り下げて目先の保ち合いレンジを縮小。上値トライへの兆しとなったNY金が上げ渋り、このまま失速するようだと国内価格も調整方向へ。6470円の節目を割れると調整幅拡大、6330円台辺りを目指す流れとなる可能性も。NY金が上値トライ再開へと向かえば国内価格も追随、6540円の節目を突破できれば最高値更新再トライの展開となって上値目標は6680円程度まで。
週間ベースでは-91円、1.38%の反落。
プラチナ価格は-90円、2.86%の大幅安で3日続落。5月18日(3029)以来、ほぼ1ヵ月ぶりの安値。21-90日移動平均線(3148-3137)をまとめて下抜けて一段安、下値目安3080円台を少しオーバーラン。下落基調の90日移動平均線(3137)を上抜けたのは1週間程度にとどまり、結果的にこのラインが中期抵抗線として意識されそうな状態にも。そうならない為にもこの水準までの早期回復が。
週間ベースでは-158円、4.91%の大幅安となって5週ぶりの反落。3月16日からの週(-405円、14.23%)以来、3ヵ月ぶりの急落。
※参考:
金プラチナ国内価格6/12とチャート
2020年06月12日(金)時点の相場
国内金:6,489 円 6/12(金)
▼47(
0.72%)
国内プラチナ:3,061 円 6/12(金)
▼90(
2.86%)
NY金:1,739.8 ドル 6/11(木)
▲19.1(
1.11%)
NYプラチナ:824.0 ドル 6/11(木)
▼22.0(
2.60%)
ドル円:106.82 円 6/11(木)
▼0.29(
0.27%)
6/11(木)のその他主要マーケット指標
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