米小売売上高は5月に過去最大の急増、しかし回復には時間も
更新日:2020年06月17日(水)
米商務省が発表した5月の小売売上高は前月比+17.7%。市場予想+8.0%程度の2倍以上の急増となり、過去最大の増加。これまでの過去最大だった2001年10月(+6.7%)を18年7ヵ月ぶりに更新し、その2.6倍。
経済活動再開効果は予想外に大きく、自動車関連が前月比+44.1%、レストラン・バーが+29.1%などとなった他、衣料品は+188.0%、家具+89.7%、スポーツ用品・娯楽品が+88.2%など全てのカテゴリーで急増。
ただし、前月比プラスとなるのは1月以来、4ヵ月ぶりで、今回の急増は前月比-14.7%と過去最大の落ち込みとなった4月との比較であることも差し引いて見る必要も。
前年同月比では、5月は-6.08%。過去最大の落ち込みとなった4月の前年比-19.90%からマイナス幅は縮小したものの、3月の-5.59%と合わせて3ヵ月連続の前年割れ。
前年比長期平均+4.20%も大きく下回ります。
この日発表された鉱工業生産も5月は前月比+1.4%となり、これは市場予想の+3.0%を下回ったものの、2年7ヵ月ぶりの高水準。ただし、これも過去最大の落ち込みとなった4月(-12.5%)との比較であり、回復は極めて限定的。
また、設備稼働率は64.8%となり、4月の64%からは小幅に上昇も、過去2番めの低水準。
パウエルFRB議長はこの日、議会証言での質疑応答で「5月の小売売上高の結果は回復が始まったとの推論を支援する」との発言も、雇用に関しては「経済の再開が大きな雇用の伸びにつながった」ものの、現時点では「雇用は危機前の水準を大幅に下回る」水準にあり、今後も「大きな雇用の拡大を予想するが回復には時間がかかる」との発言。
個人消費も、今後も回復基調が続くことにはなりそうですが、雇用の回復の遅れが足を引っ張ることにもつながりそうで、完全回復にはもう少し時間が必要となりそうです。
16日のNY金相場は+9.3ドル、0.54%高で3日ぶりの反発。前日NY引け直後の水準、1730ドル台半ばを中心に揉み合いとなり、ほぼ横ばい推移の展開。時間外には1740ドルを2度試して失敗、目先の抵抗水準では上値の重さを確認、NY朝には米5月小売売上高の好結果を受けて株高・ドル高、米10年債利回りも上昇の反応となって10ドル超の急反落。しかし、1720ドル前半で下げ渋るとパウエルFRB議長の上院議会証言での「経済回復の道のりは不透明」発言などを受けて1730ドル台を回復。なお、北京での感染者数増加に伴う警戒レベル引き上げや学校閉鎖、米南部での感染再拡大などへの警戒感や朝鮮半島情勢などもリスク要因に。目先、20日移動平均線(1727.8)付近がサポートとなり、1740ドルまでの小幅レンジを上抜けできれば1760ドル近辺まで水準を切り上げるような展開にも。逆に下方ブレイクとなれば1700ドルの大台ライン前後までが短期下値目安に。昨年来見られた、短期サイクルとしての調整局面を時間で終える状態にもなりつつあり、方向感としては好転方向にも。
NYプラチナは+22.2ドル、2.7%の大幅続伸。時間外は830ドル近辺で小幅揉み合い推移、NY朝には金に追随する形で820ドル台前半へと下押し後、反発局面では元の水準を超えて840ドル台へと上昇。下落基調が続く90日移動平均線(821.0)にもサポートされ、前日の下ヒゲ十字線が示唆したとおりに水準を切り上げる形に。しかし、5月20日に戻りのピークをつけて以降、上値も下値も切り下げる流れが続いてまもなく1ヵ月。860ドル台の節目を上抜けることができればトレンド転換のきっかけにも、上値目標は890ドル付近まで。逆に810ドル台の下値サポートを割れると790ドル前後までの下値再トライへも。
ドル円は6銭程度、0.06%のドル安円高で3日ぶりの小反落。東京時間には日銀の資金繰り支援特別プログラムの総枠拡大を好感しての株高の流れにも連れて107円60銭台まで急騰、これがこの日の高値となって107円20銭台の安値までのレンジで上下動の展開。米インフラ投資報道などもドル高円安材料とはなったものの、東京午後には北朝鮮による南北共同連絡事務所爆破を受けて107円50銭台から30銭近辺まで急落する場面も。NY朝には米5月小売売上高の結果を受けて107円20銭台から60銭台まで反発も高値を更新できずに失速、パウエル議会証言を受けてドル安の流れが強まると107円20銭台へと再反落。今朝の東京時間にも北朝鮮の挑発行動などが伝えられ、107円40銭台から一時107円20銭割れへと急落する場面も。強弱材料混在のなか、小幅な急変動は多々見られる状態も、107円台前半を中心に小幅保ち合い推移はもう少し継続か。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場6/16終値とチャート
17日の国内金価格は-16円、0.25%の続落。国内金価格の場合もNY金と同様に昨年来の特徴として、調整局面を時間でやり過ごして水準を切り上げるパターンが多々見られ、現状は最高値となった5月18日から徐々に上値を切り下げ、しかし5月末以降は下値も切り上げ、三角保ち合いに近い形状でレンジを縮小しながらの横ばい推移の展開で調整局面が進行中。水準を大きくは切り下げないままの状態で調整局面を終えることになれば、再び一段高へと向かう展開となる可能性も。単体で見れば方向感としては下方向優勢の状態ながら、為替のボラ低下によりNY金との逆行の可能性は低い状態。6540円の節目突破なら最高値更新へ、その一方で6480円台を割れると大幅調整へも。
プラチナ価格は-29円、0.93%の反落。やはり、下落基調の90日移動平均線(3116)を超えられずに失速、強めの抵抗線となりつつある様子も。これを上抜けることができれば3180円付近までが上値目安にも。90日線に上値を押さえられたまま、3050円の直近安値を下回るようだと一段安の展開へ、3000円の大台ライン近辺が下値目安に。
※参考:
金プラチナ国内価格6/17とチャート
2020年06月17日(水)時点の相場
国内金:6,510 円 6/17(水)
▼16(
0.25%)
国内プラチナ:3,089 円 6/17(水)
▼29(
0.93%)
NY金:1,736.5 ドル 6/16(火)
▲9.3(
0.54%)
NYプラチナ:843.9 ドル 6/16(火)
▲22.2(
2.70%)
ドル円:107.37 円 6/16(火)
▼0.06(
0.06%)
6/16(火)のその他主要マーケット指標
米住宅市場の5月回復基調は限定的、6月には加速見込み? 06/18(木)NY連銀製造業景況感は過去最大の急騰でV字回復をサポート? 06/16(火)国内金価格の長期上値目標=6954円? 06/15(月)米消費者信頼感は4月に底打ち反発、FRBは3月に先手 06/13(土)
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