世界のプラチナ需給-2020年第2四半期
更新日:2020年09月09日(水)
WPIC(World Platinum Investment Council)が発表したプラチナ需給レポートによれば、2020年第2四半期のプラチナ総需要は49.7トンとなり、前期比-2.2%、前年同期比では-19.5%となり、2015年以降での最低を更新。
総供給量は43.8トンで前期比-20.6%、前年同期比-34.7%の大幅減となって2015年以降で最低水準。
この結果、5.9トンの供給不足。供給不足は3四半期ぶり。
2020年の通年見通しとしては、供給低迷と堅調な投資需要などから、前回見通しの供給増から10トン余りの供給不足見込みに。
<供給>
■鉱山産出量:29.7トン 前期比-23.3%、前年比-42.7%、2015年以降で最低。うち南アフリカは16.5トン(前期比-36.1%、前年比-56.3%)で2015年以降最低、ロシアは5.5トン(前期比+18.0%、前年比-6.1%)。2カ国合計シェアは74.4%で2015年以降最低。南アフリカの供給減は、新型コロナウイルス感染拡大防止策の一環としての鉱山閉鎖(3/26-4/30完全封鎖、本格再開は6/1以降)が大きく影響。
■リサイクル:13.0トン 前期比-14.3%、前年比-19.4%の急減で2016年第1四半期(12.3トン)以来、4年1四半期ぶり低水準。物流混乱が大きく影響。
<需要>
■自動車触媒:12.0トン 前期比-41.8%、前年同期比-48.3%の急減、2015年以降で最低。14四半期連続の前年割れ。中国を除く全ての主要市場で車両生産が制限。
■宝飾品:12.2トン 前期比-0.5%、前年比-27.5%。2015年以降で最低。13四半期連続の前年割れ。小売制限+消費低迷。
■産業用:13.3トン 前期比-14.2%、前年比-25.4%。2年3四半期ぶり低水準。ガラス以外の需要は縮小。在宅勤務に伴うモニタ需要がガラス需要増に寄与。
■投資:12.2トン 前期比+9.7トン、前年比+8.3トン。5四半期ぶり高水準。地金・コイン等の現物投資需要は4.1トンで前期比半減、前年比+50.3%。ETF関連は+3.8トンで2四半期ぶり買い越し。
★需要全体における自動車触媒需要の占める割合は24.1%にとどまり、過去の40%前後以上から急縮小となって過去最低シェア。最大シェアは26.8%となった産業用、2位は投資で24.6%、3位に宝飾品で24.5%。これまでほぼ最大シェアとなっていた自動車触媒需要が初の最下位。
<価格と消費需要・ETF需要>
宝飾品需要と現物投資需要を合わせたプラチナ消費需要は16.3トン。前期比-25.7%、前年比-16.6%の急減、2015年以降で最低。
第2四半期には、価格水準が3月の大底(16年ぶり安値)からの回復基調となるもコロナ前の水準には届かず、四半期平均価格では812ドルで2015年以降で最低。上昇傾向に伴うETF需要もあり、消費需要もそれなり、ただしコロナ禍の影響で宝飾需要などは低調。
第2四半期は、世界的なコロナウイルス感染拡大防止策による影響が供給面でも需要面にも大きく反映され、米欧日での記録的GDPマイナス成長がそのままプラチナ消費需要にも大きく反映されました。
第3四半期にはプラス成長へ、それも記録的急成長による急回復が予想されていますが、果たして。
8日のNY金相場は+8.9ドル、0.46%高で4営業日ぶりの反発。先週末からの米株調整の流れは週明けも続き、リスク回避的な円高・ドル高の流れとなって金も時間外から売り優勢の展開。ロンドン時間には1940ドル付近から1920ドル台へと水準を切り下げ、NY朝には一時8月26日(1908.4)以来2週間ぶり安値となる1910ドル付近まで下落。しかし、欧米株の一段安に長期金利は上げ渋り、ドル高一服となったタイミングで押し目買いが入った様子も、NY午後には一時1940ドル台後半まで反発。日足レベルでは上値を切り下げ、軟調優勢の展開が続くものの、1900ドル付近での底堅さを確認し、保ち合い下限となる1930ドルもなんとか維持した格好に。ただし、あらためて1930ドルを完全に割り込めば1900ドル割れを試しに行く可能性も。反発方向へは、まずは右肩下がりの20日移動平均線(1956.6)超えが課題。
NYプラチナは+12.1ドル、1.35%の続伸。金に連動する展開でロンドン時間の軟調局面では920ドルから890ドルまで30ドルの急落。先週末安値圏でサポートされるとNY市場では910ドル台半ばまで20ドル超の反発。しかしNY引け後には900ドル付近まで再反落となり、反発基調が一方的に進行するような状態でもなく、880ドル台から950ドル台までの主要レンジ下限寄りで新たに小幅保ち合いを形成しそうな状況にも。目先、920ドルでの抵抗感が強まりつつあり、これを超えると右肩下がりの20日移動平均線(939.2)も抵抗線候補。
ドル円は35銭程のドル安円高、0.34%安となって3日ぶりの反落。先週末から週明けにかけて106円20銭台を中心に小幅揉み合い状態が続き、この日の欧州時間以降にブレイク。前日高値106円40銭付近まで上昇したところで戻り売りスタート。欧州・NY時間にかけては米株の一段安主導でリスク回避の流れが加速。為替は円高・ドル高でドル円では円高優勢となって4日ぶりの106円割れ。NY午後には米10年債利回りが下げ渋り、米株も下げ渋り、ドル円も105円80銭台では下げ渋って一時106円を回復する場面も。日足レベルでは上値を切り下げる流れが続き、反発基調となりつつあった20日移動平均線(106.12)も頭打ち。106円30銭が目先の抵抗水準となり、これを突破できればあらためて6月末高値圏108円前後を目標に上値トライの展開へも。下値は105円30銭が当面のサポート。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場9/8終値とチャート
9日の国内金価格は-28円、0.39%の続落。7月27日(7137)以来、1ヵ月半ぶり安値となり、7月末以降の下値サポート水準7200円前後、と見做せる範囲では最安値。細かく見れば7210円の節目を割れたことでもう一段の下落も想定され、7170円前後までの下落余地はありか。下げ渋るNY金に下支えされるか、あるいはNY金が調整拡大へと向かうようだと国内価格も下げ幅拡大へ、7100円近辺が次の下値目安にも。
プラチナ価格は-32円、0.94%安で3日ぶりの反落。NYプラチナの上値の重さを反映して国内価格の反発基調も続かず、8月上旬以降の下降チャネルの上限トライはおろか、21日移動平均線(3452)、9日移動平均線(3411)にも届かずに失速。目先、3340円を下回れば下値切り下げで3300円割れへ、上方向には3400円の節目超えへと反発できれば21日線付近までが上値目安に。
※参考:
金プラチナ国内価格9/9とチャート
2020年09月09日(水)時点の相場
国内金:7,190 円 9/9(水)
▼28(
0.39%)
国内プラチナ:3,362 円 9/9(水)
▼32(
0.94%)
NY金:1,943.2 ドル 9/8(火)
▲8.9(
0.46%)
NYプラチナ:910.3 ドル 9/8(火)
▲12.1(
1.35%)
ドル円:105.93 円 9/8(火)
▼0.36(
0.34%)
9/8(火)のその他主要マーケット指標
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