低調な米経済指標にリスクオフのドル買い円買い、金は売り
更新日:2021年01月16日(土)
この日発表された米経済指標は低調な結果が続きました。
商務省が発表した12月の小売売上高は前月比-0.7%。横ばい推移予想に対して想定外の3ヵ月連続の前月比マイナス。自動車を除く小売売上高も前月比-0.2%の予想を大幅に超える-1.4%とマイナス幅を拡大しての3カ月連続マイナス。
例年なら活況となるはずの第4四半期、第3四半期に盛り返した今年の消費は年末にかけて落ち込みました。
労働省が発表した12月生産者物価指数(PPI)はほぼ事前予想どおりの前年比+0.76%、11月からは変わらず横ばい推移。食品とエネルギーを除くコアPPIも市場予想どおりで前年比+1.19%。ただし11月の+1.44%からは鈍化。貿易サービスも除くコアPPIは前年比+1.08%となって11月の+0.9%からは上昇。
消費者物価と同様、生産者物価もインフレの伸びは低水準にとどまり、インフレ加速の兆しは見られません。
NY連銀が発表した1月の製造業景況指数は+3.5。市場予想の+6.0程度を下回り、12月の+4.9からも低下、4ヵ月続落となってプラス圏を回復した7月以降では最低、7ヵ月ぶり低水準。半年後の見通しを示す期待指数も5月以来、8ヵ月ぶりの低水準に。
秋にかけて急回復した製造業景況感は、ゆっくりと減速傾向となっています。
ミシガン大発表の消費者信頼感指数の1月速報値も市場予想を下回る79.2となり、低水準で伸び悩む状態が続きます。
唯一好結果となったのはFRB発表の鉱工業生産。12月は前月比+1.6%となって市場予想と11月の+0.5%を上回り、5ヵ月ぶりの高水準。
ただし、前年比では-3.58%。2019年9月以降、16ヵ月連続の前年割れ。
鉱工業生産は回復基調が続いてはいるものの、好調だった2018-19年の頃にはまだ及びません。
超長期的には右肩上がりの鉱工業生産指数は、2018年末を最後に、過去最大更新がストップしています。
軒並み予想を下回った指標結果に加え、バイデン政権の1.9兆ドルの追加経済対策発表で材料出尽くしとなった感もあり、株価の調整とともにドル高・円高となって特にユーロ売りが進行、合わせて金も売られました。
15日のNY金相場は-21.5ドル、1.16%の大幅続落で12月1日(1818.9)以来、1ヵ月半ぶりの安値。1870ドル台辺りまでの上昇余地に対しては前日高値1850ドル半ばが超えられずに失速。1850ドルをはさんでの保ち合い推移となった時間外から、ロンドン・NY市場にかけてはユーロ安ドル高の流れに連れて軟調推移。ユーロ圏では新型コロナ感染拡大がとまらず、イタリアは非常事態宣言を4月末まで3ヵ月延長することを決め、死者数が過去最多となったドイツではメルケル首相がメガロックダウンの検討に入り、フランスでは夜間外出禁止令の開始時間を2時間前倒し、入国管理も強化。政局でも今週伝えられたイタリアの連立政権分裂不安に加え、この日はオランダでも内閣総辞職が伝えられるなど、複数の不透明要因からユーロドルが売られて12月1日(1.2070)以来、1ヵ月半ぶりの安値。連れ安となったNY金は1840ドルのサポートを割れて一段安、一時1822ドルまで下落。下値目安となる今年安値1810ドル台の少し手前でいったん下げ止まった状態。若干の下げ余地を残しながら、上方向にはゆるやかに上昇する200日移動平均線(1845.1)が抵抗線に切り替わる可能性もある重要ポイント。ここから1850ドル台までが当面の抵抗水準にも。
週間ベースでは-5.5ドル、0.3%の小幅続落。
NYプラチナは-36.5ドル、3.24%の大幅安となって4日ぶりの反落。前日NY午後から何度もトライした1130ドルを結局超えられず、1150ドルを目指す流れは出だしで躓いた格好に。時間外早々に1129.9ドルの高値をつけて反落すると、金に先行して株安に連れる形で軟調推移。NY朝には1100ドルの大台を割り込んで1080ドル割れへと急落。下値サポート候補20日移動平均線(1068.2)の少し手前での反発も1090ドルまでにとどまってNY引け後には再び1080ドル割れ。流れが変わり始めた矢先の大幅巻き戻しとなり、上値の重い状態がしばらく続く可能性も。20日線を割り込むようだと下方向への節目1040ドルが意識され、これが当面のサポートにも。そうならない場合には1000ドルの大台ライン付近が意識されるような展開につながる可能性も。上方向には1130ドルが当面の強めの抵抗線、突破できた暁には2016年以降の最高値圏再トライへ、1160ドル台までが上値目標に。
週間ベースでは+18.6ドル、1.74%の反発。
ドル円は10銭ほどのドル高円安、0.09%の小反発。欧米主要株が調整の動きとなり、リスクオフ的なドル高・円高の流れとなって値動きは限定的に。欧州時間につけた安値103円60銭近辺からNY時間につけた高値103円90銭近辺まで、この日の変動値幅は31銭にとどまって今年最小。昨年来の平均70銭の半分以下。3日連続下ヒゲで水平状態の20日移動平均線(103.55)にサポートされ、足場固めの様相にも。上値も重い状態ながら104円30銭辺りを超えることができれば、104円台後半へと上値を伸ばすような展開にも。
週間ベースでは-7銭、0.07%の小反落。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場1/15終値とチャート
2021年01月16日(土)時点の相場
国内金:6,734 円 1/15(金)
▼3(
0.04%)
国内プラチナ:4,039 円 1/15(金)
▲59(
1.48%)
NY金:1,829.9 ドル 1/15(金)
▼21.5(
1.16%)
NYプラチナ:1,089.9 ドル 1/15(金)
▼36.5(
3.24%)
ドル円:103.89 円 1/15(金)
▲0.09(
0.09%)
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