ADP雇用2月も回復ペース上がらず、ドル高の流れは衰えず
更新日:2021年03月04日(木)
コロナショックで失った雇用は回復率にして50%に到達も、足踏み状態のまま1年が経過しようとしています。この日発表されたADP雇用者数は前月比+11.7万人と市場予想を大幅に下回り、1月の+19.5万人からも急減速。雇用の回復ペースは上がりません。ただし、この結果を受けてのドル売りも限定的となり、米10年債利回り上昇に支えられてのドル高基調も崩れません。
ADP雇用は年次改定され、過去5ヵ月分は全て上方修正されて合計+10.7万人。ただし、2020年の年間合計では-7.8万人。雇用者数の大幅減からの回復基調は秋に鈍化して横ばい推移状態となっている状況には変わりありません。
この日発表されたISM非製造業景況指数も予想外に低調となり、1月の58.7から2月は55.3へと急低下。5月以来、9ヵ月ぶりの低水準となっています。雇用指数も11ヵ月ぶり高水準となっていた1月の55.2から2月は52.7へと反落。
2月は米国内でもコロナの新規感染者数は急激に減少し、ワクチン接種も拡大しつつあるにもかかわらず、雇用の回復ペースはまだ変わらず。週末の雇用統計でもあまり好結果とはならない可能性のほうが高いのかもしれません。
その場合には、追加経済対策などへの期待感から長期金利が下げ渋り、ドル高優勢地合いにもあまり変化は見込めないかもしれません。
3日のNY金相場は-17.8ドル、1.03%の反落で昨年6月8日(1705.1)以来、9ヵ月ぶりの安値。前日の反発基調は続かず、NY引け後の1740ドル手前で失速して戻り売り。欧州時間から米10年債利回りの上昇を受けて1720ドル台へと軟調推移、NY市場では米2月ADP雇用とISM非製造業景況指数がいずれも低調となったものの、サービス業PMIが好結果となったことを受けて米10年債利回りは1.48%台へと一段高、ドル高も追随する展開となったことを受けて1720ドルの節目割れ。これに伴う下値目安1700ドル付近までは急落の展開となり、一時わずかながらも1700ドルの大台割れ、安値では1699.4ドル。自律反発では1720ドル台まで戻すもこれを維持できず、逆にこの水準がレジスタンスに切り替わる形となってNY引けにかけては再び1710ドル割れ。短期的には安値更新で短期下値目安到達による一服感も、雇用統計を前に米長期金利とドル高の動向睨みで下値警戒感も継続。昨年3月安値から8月最高値の61.8%戻し(1694.7)でサポートされない場合、いずれ76.4%戻し(1601.5)が意識されることにも。
NYプラチナは-32.6ドル、2.68%の大幅安となって3日ぶりの反落。2日分の上げ幅を帳消し、2月8日(1175.2)以来3週間ぶりの安値水準に。時間外は1210ドル近辺での揉み合いも20日移動平均線(1218.1)が超えられず、NY朝には金の急落に追随。1200ドルの大台を割れると1180ドル割れへと一段安、戻りは1190ドル台で上値を押さえられてNY引けにかけては1170ドル割れ。1180ドル台の節目を下回り、強めのサポートにもなりつつあった1170ドル台も割り込みつつあり、もう一段の短期下値目安は1160ドル近辺。これもNY引け後の時間外に既に到達。反発方向には1210ドル台が当面の抵抗水準となり、超えると1240ドル程度までの反発も。下方向に1160ドル近辺で下げ止まらない場合には昨年9月安値(821.3)から2月高値(1348.2)までの38.2%戻し(1146.9)が次のサポート候補。
ドル円は32銭のドル高円安、0.3%の反発で昨年7月22日(107.19)以来、7ヵ月半ぶりの高値水準となって107円に到達。米長期金利の上昇基調とともにドル高の流れがジワジワと進行する状態が継続。東京朝の106円70銭近辺の安値から徐々に水準を切り上げる展開となり、NY時間には107円ワンタッチ後にADP雇用が下振れると106円80銭まで急反落も米10年債利回りの上昇とサービス業PMIが59.8と予想を上回る好結果となったことも好感、107円10銭台まで急反発。しかし、米10年債利回りの小反落とISM非製造業が9ヵ月ぶり低水準となったことなどもあり、106円80銭台へと急反落。NY終盤にかけては米10年債利回りの下げ渋りとともに107円台を回復。昨年3月高値から年初安値までの半値戻しとなる107円10銭台と年初からの上昇チャネル上限ラインに上値を押さえられる状態。時間を含む調整を挟めばいずれ61.8%戻しとなる108円20銭台を目指す展開にも。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場3/3終値とチャート
4日の国内金価格は-73円、1.12%の大幅反落。前日上昇幅(41円)を打ち消して余りある下げとなって下げ止まりも帳消し、一段安となって昨年5月27日(6428)以来、9ヵ月ぶりの安値水準。米債券市場が落ち着きを取り戻し始めているとは言えず、雇用統計を前にしても1.5%近辺で乱高下気味の展開にも。さらに株価や為替、商品、金なども長期金利の微妙な変動にも過敏に反応する状態にもなり、ボラティリティは縮小せず。目先は6470円の節目割れに伴う下値目安、昨年3月安値から8月最高値までの61.8%戻し(6423)近辺まで若干の下げ余地も。反発方向には6510円台が当面のレジスタンス、これを上抜けると2月安値6570円台が上値目標に。
プラチナ価格は-139円、3.1%の大幅反落。一服感も束の間、下落率では今年4番め、下げ幅では3番めの急落。7営業日前、2月22日の価格4760円、RSIは83.7の過熱状態から、415円(8.7%)の急落局面を形成し、今やRSIは52.3と中立状態。これ以上下げると今度は売られ過ぎを警戒するフェーズに。4450円台の節目割れに伴う下値目安4410円程度を突き抜けて2月10日(4286)以来、3週間ぶりの安値水準。中期的な水準で見れば、昨年3月安値から今年2月高値までの23.6%戻し(4237)程度までの調整は想定の範囲内。時間は別として。反発方向へは4480円台の節目を超えることができれば4550円付近を目指す流れにも。
※参考:
金プラチナ国内価格3/4とチャート
2021年03月04日(木)時点の相場
国内金:6,439 円 3/4(木)
▼73(
1.12%)
国内プラチナ:4,345 円 3/4(木)
▼139(
3.10%)
NY金:1,715.8 ドル 3/3(水)
▼17.8(
1.03%)
NYプラチナ:1,181.8 ドル 3/3(水)
▼32.6(
2.68%)
ドル円:107.00 円 3/3(水)
▲0.32(
0.30%)
3/3(水)のその他主要マーケット指標
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