FOMC、回復基調加速確認もテーパリングはスルー
更新日:2021年04月29日(木)
インフレ上昇への認識や見解、テーパリング及びその協議に関する言及などへの警戒感などから、最近では米10年債利回りは低下傾向から反発基調へ、ドル安の流れも反発の兆しとなり、FOMC直前のこの日も米10年債利回りは一時1.65%近辺まで上昇。ドル円も109円台へと上昇するなどドル高の流れもさらに進行の兆しも見られました。
現状維持のFOMC結果は規定路線、「経済と雇用は力強さ」を増して回復基調加速を確認。しかし「完全回復には程遠い」状況であり、「インフレ上昇は一時的要因」との認識は従来から変わらず。
パウエル議長会見でも、「一時的なインフレ上昇では利上げ要件を満たさない」ことを明言し、テーパリングについては「議論する時期ではない」と従来からの時期尚早スタンスを踏襲し、はやる市場心理を抑えようとする様子も。
結果的に米10年債利回りは1.61%台へと小幅に急反落、ドル高の流れも巻き戻されて円高、ユーロ高、金高方向へ。
ただし、この日の期待インフレ率(BEI)は4日続伸で2.41%へと一段高。2013年4月15日(2.41)以来、8年ぶりの高水準となっています。
3月31日の1.74%台から4月22日の1.54%台まで低下した後、反発基調となっていた米10年債利回りは1.61%台で伸び悩み。
この結果、3月18日には-0.56%、9ヵ月ぶり高水準となっていた実質金利は-0.80%まで、2ヵ月ぶり低水準へと低下。
パウエル議長がテーパリングをスルーしたことと、実質金利の低下基調継続が、足下の金価格の下値を支える構図となっています。
28日のNY金相場は-4.9ドル、0.28%の続落で4月19日(1770.6)以来の安値。FOMCへの警戒感から軟調推移となった時間外は1770ドル台から欧州時間に保ち合い下限となる1770ドル割れ、しかしこの水準で下げ渋るとNY朝に一時1761ドルまで下げて反発。NY午後には1770ドル台半ばを回復すると、NY引け後のFOMCの結果を確認して1780ドル台へ、パウエルFRB議長会見を経て1780ドル台前半で落ち着く状態に。タカ派的な見通しなどが見られなかったことへの安心感から下ヒゲを残して反発する形となったものの、上値の重さも払拭された訳でもなさそう。引き続き1770ドルから1790ドル台までの高値保ち合い継続の様相に。
NYプラチナは-37.3ドル、2.99%の大幅安となって4日ぶりの反落。下げ幅としては今年の平均騰落値幅20.2ドル(絶対値)の2倍弱、今年6番めの急落。3日間の上げ幅の大半を帳消し、4月22日(1208.5)以来、1週間ぶりの安値。前日NY引け後の時間外スタート時点の1230ドル台半ばがこの日の高値となり、5日移動平均線(1229.7)にサポートされることなくあっさりと1230ドルを割れるとロンドン時間には一段安となってNMY朝までに1210ドル割れ。しかし1200ドル台のサポート水準で下げ渋るとFOMC後には1220ドル台へと急反発。1200ドル台での底堅さを確認した反面、上値は一段切り下げて1230ドルに抵抗感も。
ドル円は10銭のドル安円高、0.09%安で3日ぶりの小反落。前日までの反発基調の流れは東京時間終了後まで続き、4月14日(109.10)以来2週間ぶり高値となる109円10銭手前まで上昇して失速。欧州時間からは徐々にFOMCへの警戒ムードも漂い始め、109円ラインが上限となって小幅保ち合いへ、NY午後のFOMC後には108円90銭台から60銭まで30銭余りの急落。パウエル会見を経て108円60銭近辺での膠着状態が続いた後、今朝の東京時間には108円50銭割れへと軟調推移。急低下後の米10年債利回りが1.61%で下げ渋る状態となっているのに対し、ドル安再燃後の流れはまだ続いている様子も。日足では20日移動平均線(109.03)に上値を押さえられた状態となり、下値は108円が心理的節目としてサポート候補、107円80銭の節目を割れるようだと一段安の展開で107円前後までが下値目安にも。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場4/28終値とチャート
2021年04月29日(木)時点の相場
国内金:6,756 円 4/28(水)
▲6(
0.09%)
国内プラチナ:4,630 円 4/28(水)
▼69(
1.47%)
NY金:1,773.9 ドル 4/28(水)
▼4.9(
0.28%)
NYプラチナ:1,212.2 ドル 4/28(水)
▼37.3(
2.99%)
ドル円:108.62 円 4/28(水)
▼0.10(
0.09%)
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