量的緩和縮小議論開始、FOMCは2023年末までに2回の利上げ
更新日:2021年06月17日(木)
FOMC声明文からは「新型コロナウイルスのパンデミックは、米国および世界中で多大な人的および経済的苦難をもたらしている」との一文が昨年4月以降、コロナ後のFOMCでは初めて削除され、代わって「ワクチン接種の進展により、米国での新型コロナウイルスのまん延は減少」との象徴的な一文に。
そしてFF金利見通しは市場予想を上回るタカ派的と取れる結果となったようです。2021年のGDP見通しが前回の6.5%から7.0%へ引き上げられ、2021年末のPCEインフレは前回の2.4%から3.4%へ、コアPCEも2.2%から3.0%へと引き上げられたことなども背景に、FF金利予想中央値は前回までの2023年末までのゼロ金利維持から、「2023年には0.25%×2回の利上げ」に引き上げられました。
ドットチャートからは、2023年にもゼロ金利維持を予想したのが前回は18名中11名。これが今回は18名中5名。61%から28%へ、過半数から少数派へと切り替わってしまいました。FRB議長と副議長2名、FRB理事3名の計6名、FOMCで副議長を務めるNY連銀のウイリアムズ総裁を含めて計7名の執行部のうち、2名が利上げを予想し、NY連銀を除く11地区の連銀総裁全員が利上げを予想した(可能性がある)ことになります。
しかも、そのうち0.25%×2回の利上げ予想が3名(前回:1)、3回の利上げ予想は3名(前回:3)、4回の利上げ予想も3名(前回:2)、6回の利上げ予想も2名(前回:0)。かなりの上方シフトとなっています。
また、パウエルFRB議長は会見で「量的緩和縮小の議論を開始」するとの発言も。そして「インフレは一時的である可能性が強い」としながらも「過去数ヵ月で予想を上回った」ことを認め、「FRBの予想以上に上昇し持続する可能性がある」ことにも言及。
なお、FOMC予想中央値では2021年末までの3%台へと急騰後、2022年以降は2.1-2.2%程度で落ち着く予想となっており、実質インフレ目標到達済の状態。
現状、加速し始めている雇用の回復ペースがこのまま順調なら、あるいはさらに加速するようなら、ドットチャートは今後さらに上方シフトされる可能性もありそうです。
16日のNY金相場は+5.0ドル、0.27%高で4日ぶりの反発。FOMCへの警戒感から前日まで3日続落、この日は警戒感を抱えながらも自律反発でNY市場で一時1866ドルまで小幅に上昇。しかし、NY引け後のFOMC結果を受けて急反落。警戒していた以上にタカ派的な結果、見通しが示されたとの印象が強かった様子。結果確認で短期下値目安1840ドル台へと20ドル程の急落後、一時的には下げ渋るもパウエルFRBも議長会見を経て200日移動平均線(1843.8)を割れるとさらに水準を切り下げ、3月安値から6月高値の38.2%戻し(1825.3)近辺まで下落。それでも下げ止まらず、会見終了後には一時5月6日(1781.8)以来6週間ぶり安値となる1804ドルまで20ドル程の急落。その後は1820ドル近辺まで戻していったん落ち着き始めた様子も。日足レベルでは5月末から1900ドル前後の高値圏でラウンドトップを形成してピークアウトし、レンジが切り替わった格好にも。3月安値から6月高値の38.2%戻し(1825.3)から半値戻し(1796.3)までが目先の主要レンジ候補にも。
NYプラチナは-6.7ドル、0.58%の続落で3月5日(1128.3)以来、3ヵ月半ぶりの安値。時間外から軟調推移となってNY市場では下値サポート1140ドル台まで下げた状態でFOMC、結果を受けて下値目安1120ドル台まで急落、若干行き過ぎて一時1116ドルまで下落。これも3月5日(1110.0)以来の安値となり、その後は1120ドル台へと自律反発。目先は1110ドル台が下値サポート候補となり、上値は1140ドル台が抵抗水準に切り替わった可能性。そこまで戻るかという懸念も。
ドル円は65銭程のドル高円安、0.59%の反発で4月2日(110.71)以来、2ヵ月半ぶりの高値。東京時間には110円10銭を挟んだ保ち合いから欧州時間には109円80銭付近まで軟調推移、NY午後にはFOMCの結果を受けて米10年債利回りが1.5%割れから1.57%台へと急騰した流れとともに110円40銭台まで60銭程の急騰。パウエルFRBも議長会見を経て110円70銭台まで上昇し、3月31日につけた終値ベースでの今年高値110円74銭付近に到達、109円70銭の節目超えに伴う短期上値目標110円70銭近辺も達成。今朝の東京市場では110円80銭台へと堅調維持。短期的には一服感も、若干の行き過ぎで今年最高値110円90銭台から111円トライを試す可能性も。中期的にはもう一段のドル高トライが進行する可能性も高まり、昨年高値112円20銭台までが次の上値目標にも。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場6/16終値とチャート
17日の国内金価格は-100円、1.4%安となって4日続落。下げ幅としては今年の平均41円の2.4倍、今年5番めの急落で5月14日(7001)以来、1ヵ月ぶりの安値水準に。市場予想よりもタカ派的となったFOMCの結果を受けて米長期金利急騰、ドル高急進となってNY金は急落後の自律反発でも今朝時点では1820ドルで頭打ち。サポート候補の3月安値から6月高値の23.6%戻し(7117)を突き抜けており、次のサポート候補としては38.2%戻し(6983)近辺。上方向には5月半ばの押し目7120円台まで戻せるかどうか。
プラチナ価格は-74円、1.67%の続落で3月9日(4331)以来、3ヵ月ぶりの安値。FOMC直前に弱気のパーフェクトオーダーを完成してしまったことから金の急落にも連れて一段安、重要な節目4396円(11月安値から今年2月高値の23.6%戻し)を割り込み、短期下値目安は4320円程度まで。ゆるやかな上昇軌道を維持する90日移動平均線が反転し始めたら中期的にも下落トレンドスタート・サイン。その前に下落基調の21日移動平均線(4494)を上抜けできれば地合い回復方向へも。
※参考:
金プラチナ国内価格6/17とチャート
2021年06月17日(木)時点の相場
国内金:7,050 円 6/17(木)
▼100(
1.40%)
国内プラチナ:4,363 円 6/17(木)
▼74(
1.67%)
NY金:1,861.4 ドル 6/16(水)
▲5.0(
0.27%)
NYプラチナ:1,141.9 ドル 6/16(水)
▼6.7(
0.58%)
ドル円:110.71 円 6/16(水)
▲0.65(
0.59%)
6/16(水)のその他主要マーケット指標
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