過去最高更新続く生産者物価指数PPI前年比、2年前比でも
更新日:2021年09月11日(土)
米労働省が発表した8月の生産者物価指数(PPI)は前年比+8.27%。市場予想の+8.2%程度を上回り、7月の+7.77%からも0.5%上昇。8ヵ月続伸となり、調査開始の2010年11月以降のデータでは、5ヵ月連続の過去最高を更新。
食品とエネルギーを除いたコア指数は前年比+6.73%。これも市場予想の+6.6%程度を上回り、7月の+6.23%からは0.5%の上昇。8ヵ月続伸となって6ヵ月連続の過去最高。(※データ=2011年4月以降)
さらに、食品とエネルギー、貿易サービスを除いたコア指数では前年比+6.29%。7月の+6.12%からは0.17%の小幅上昇も、15ヵ月続伸で6ヵ月連続の過去最高。(※データ=2014年8月以降)
原材料不足や輸送面のボトルネック、労働コスト上昇などサプライチェーンの混乱状態は続き、生産コストを押し上げる状態も続きます。企業サイドは販売価格へ転嫁する動きも増え始め、消費者物価のインフレ高騰へと負の連鎖が続く状況となっているようです。
PPIを2年前と比較すると8月には+8.00%。PPIでは前年比と2年前比との格差は縮小傾向となってはいますが、未だに2年前比を上回る水準で前年比インフレ高騰状態が続きます。
コアPPIの2年前比は+7.28%。コアPPIでは前年比よりも2年前比のほうが高く、並びとしては通常モードとはなっていますが、その差は接近状態のまま。
そもそもPPIもコアPPIも、前年比でも2年前比でも、急騰状態がなかなか止まりません。
タカ派で知られ、2020年にFOMC投票権が回ってくるクリーブランド連銀のメスター総裁はこの日、「インフレは一過性ではない可能性」もあり、「インフレは年内高水準が続き、来年には低下に転じる」とする自身の予想に対して上振れリスクがあるとの発言。
それでもテーパリングについては「年内開始、2022年上半期終了を支持」することを明言しています。
10日のNY金相場は-7.9ドル、0.44%の反落で8月25日(1791.0)以来、半月ぶりの安値。ロンドン早朝にかけてはユーロ高ドル安の流れにも連れて1800ドルの大台回復も、高値は1806ドルまで。週初に下抜けた200日移動平均線(1809.2)には3日連続かすりもせずに反落すると再び大台割れ、NY市場では1800ドルラインが抵抗線となって揉み合いながらも軟調推移。米8月PPIでのインフレ高止まり確認とドル高、米10年債利回り上昇も重石となり、NY引け後には下値サポート1790ドル割れ。短期トレンドは先週末の雇用統計後の急騰でピークアウトし、下方向へと傾斜し始めた様子となり、次週1790ドルの節目を回復できなければ調整局面拡大へ。8月半ばの急反発後の安値圏、1770ドル近辺までが短期調整目安に。1800ドルが当面の抵抗水準、しっかり超えることができれば1820ドル台までが反発の目安に。
週間ベースでは-41.6ドル、2.27%安となって5週ぶりの反落。
NYプラチナは-18.0ドル、1.85%の大幅安となって4日続落。昨年11月23日(931.7)以来、10ヵ月ぶりの安値。前日までの終値ベースでの今年安値で8月安値、970ドル付近での攻防状態から、ロンドン市場で980ドルまで反発したところで力尽きた格好に。戻り売りの展開となってNY朝には元の水準970ドル近辺まで下げていったんは下げ渋り、NY午後には金の軟調推移に連れて970ドルを割れると一段安。950ドル付近まで急落すると前日までの今年最安値954ドル付近で一度は下げ渋るもNY引け後にはこれも下抜けて一時940ドル付近まで急落。990ドルの節目割れに伴う短期下値目安940ドル近辺にしっかり到達すると950ドルまで回復。短期的には目標水準到達による一服感も想定されるものの、金が一段安となってこれに連れる展開となった場合には、さらに水準を切り下げる可能性も。その場合には昨年11月以降の上昇局面の起点となった900ドル割れから800ドル台後半での保ち合い水準が意識される可能性。
金との価格差は835.6ドルとなり、1月4日(875.1)以来8ヵ月ぶりで今年2番めの水準まで拡大。
週間ベースでは-65.1ドル、6.37%安で3週ぶりの反落。
ドル円は20銭のドル高円安、0.18%高で3日ぶりの反発。前日NY午後には一時109円60銭付近まで下げながらも109円70銭の節目を回復し、この水準での底堅さを確認。この日も東京朝に一時109円70銭近辺まで下げて反発へ、米10年債利回りの1.3%割れからの回復基調と株高の流れにも連れる形で円安の流れとなって欧州朝までに110円付近まで上昇。しかし110円ラインにわずかに届かず、これが抵抗水準となる形に。NY朝には米8月PPIの上振れにドル買いが強まる場面もあったものの、上値は109円90銭台、下値は80銭台までのレンジで保ち合い推移。ゆるやかな上昇軌道を維持する90日移動平均線(109.91)をはさんで上下動が続く状態となり、目先は109円70銭から110円30銭までが主要レンジに。9月FOMCでの今後の見通しを見極めるまでは、保ち合いを大きく逸脱するような展開は難しい状況か。
週間ベースでは+21銭、0.19%の反発。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場9/10終値とチャート
2021年09月11日(土)時点の相場
国内金:6,926 円 9/10(金)
▼4(
0.06%)
国内プラチナ:3,780 円 9/10(金)
▲2(
0.05%)
NY金:1,792.1 ドル 9/10(金)
▼7.9(
0.44%)
NYプラチナ:956.5 ドル 9/10(金)
▼18.0(
1.85%)
ドル円:109.92 円 9/10(金)
▲0.20(
0.18%)
9/10(金)のその他主要マーケット指標
黄金比61.8%戻しの前にテーパリングと半値戻しの壁 09/13(月)世界のプラチナ需給-2021年第2四半期 09/10(金)求人件数は5ヵ月連続過去最高、求人不足から人材不足へ 09/09(木)独ZEW期待指数はコロナ後最低、鉱工業生産はコロナ前比5.5%減 09/08(水)
最近よく読まれた記事
明日の国内金プラチナ相場価格リアルタイム予想
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン