FOMC直前、ADP雇用の2ヵ月連続大幅上振れでNY金は急落
更新日:2021年11月04日(木)
テーパリング開始決定を既に織り込み、市場の波乱も限定的?とタカをくくっていた向きも多かったのではないかとも思われた今回のFOMC。しかしその直前、米10月ADP雇用の好結果をきっかけにMY金は急落の展開を余儀なくされました。
米10月ADP雇用者数は前月比+40万人程度の市場予想に対して+57.1万人。先月、9月分発表時にも同程度の予想に対して+56.8万人(今月+52.3に下方修正)となっており、2ヵ月連続での大幅上振れ。ポジティブ・サプライズと言える状況はその2時間弱後に発表された10月のISM非製造業景況指数にも伝播した格好で、こちらは62.0の予想に対して66.7で過去最高。
ADP雇用者数の伸びとしては、総数では6月以来、4ヵ月ぶりの高水準となり、そのうち製造業が+11.3万人で1年1ヵ月ぶりの大幅増。サービス業は+45.8万人で4ヵ月ぶりの伸び。
2020年2月時点の雇用者数を100として、その回復状況を見ると、総数では10月時点で96.1%まで回復。製造業が98.57%と先行し、サービス業は95.62%となっています。
業種別を詳細に見ると、建設業では100.53%となって2020年2月をわずかに上回り、遂にコロナ前を100%回復。
ほとんどの業種が95%以上の回復率に到達してきたなかで、情報関連が90.67%と出遅れ、レジャー・ホスピタリティは87.57%とさらに大きく下回る状態。
ただし、そのレジャー・ホスピタリティも昨年までの状況と比較すれば、今年に入ってからはワクチン接種拡大と経済再開、レストラン再開などに連れて急速に回復スピードを増してきているようです。
ADP雇用者数の総数を2020年2月と比較すると、100%回復までは残りあと504.4万人。
前月比+50万人ペースが今後も続くなら、100%回復まではあと11ヵ月。2022年9月には100%回復見通しとなります。
パウエルFRB議長はこの日、FOMC後の会見で「高インフレは一時的」との見解を基本的には維持し、「利上げの時期を忍耐強く見極める」従来姿勢を維持しました。
それでも2022年半ばにテーパリング終了見通しとなる決定により、2022年後半の利上げスタートへの可能性に備える状況にもなってきたようです。
3日のNY金相場は-25.5ドル、1.43%の大幅続落となって10月12日(1759.3)以来、3週間ぶりの安値。前日NY午後に割り込んだ1790ドルに抵抗感が生じて軟調推移。アジア時間には保ち合い下限1780ドルでサポートされて下げ渋り、欧州時間からNY朝にかけては米10年債利回り低下とドル安優勢の流れを受けて1780ドル台後半へと小幅に反発。しかし米10月ADP雇用の想定以上の好結果を受けて急反落。格好の戻り売りタイミングにもなってしまった様子で、米10年債利回りの反発とドル高への切り返しにも先行するような勢いで水準と切り下げると1780ドルの節目割れ、一段安となって1770ドルを割れると米10月ISM非製造業景況指数も過去最高とポジティブ・サプライズ。さらに水準を切り下げざるを得ず、一時1760ドル割れへ。短期下値目安1760ドル近辺にしっかり到達したこともあり1760ドル台前半まで戻して小康状態に。NY引け後のFOMCでのテーパリング開始決定は想定どおり、タカ派に傾斜しないパウエル議長会見を経て警戒感も一服、1770ドル台半ばまで反発。短期的な流れは調整局面入りも、下値トライ一服となった状態で次は雇用統計待ちへ。
NYプラチナは-16.8ドル、1.62%の続落。今年4番めの急騰となった11月1日の大幅高を2日かけてほぼ全戻し、10月末水準へと逆戻り。時間外には1030ドル台から1050ドル手前まで反発も、1050ドルが抵抗水準にもなって上げ渋り。NY市場では金の急落局面に追随、1020ドル付近まで30ドル弱の急反落も、下方向への節目1010ドル台から1020ドル近辺ではサポートされ、NY引け後のFOMCを経て金の反発局面にも追随。時間外には1030ドルから1040ドル台へと反発基調へ。1010ドル台から1070ドルまでの広めのレンジ下限を試し、レンジ半ばへと持ち直しの様相となって週末の雇用統計待ちへ。
ドル円は6銭程度のドル高円安、0.05%の小反発。東京市場が休場となったなか、114円近辺を上限に113円70銭台までを下限に保ち合いの展開が欧州時間まで継続。FOMC待ちの様子見状態から、NY朝のADP上振れへの反応は限定的となり、ISM非製造業景況指数の好結果にも114円10銭台までと上値は限定的。想定の範囲内とも言えるFOMC結果には113円70銭台から114円20銭までのレンジで乱高下、NY終盤にかけては米10年債利回りが再び1.6%へと上昇基調を強めるなかでも114円ちょうど付近で小康状態に。今朝の東京市場では114円10銭台へと上値再トライへの兆しにも。雇用統計も想定以上に好結果となれば114円20銭の上限突破となって一段高へと向かう可能性も。そうなれば当面の上値目標は115円台半ばまで。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場11/3終値とチャート
4日の国内金価格は-59円、0.82%の反落で10月20日(7097)以来、半月ぶりの安値。9日移動平均線(7161)の再度上抜けも束の間、再び下抜けての一段安となり、文化の日の祝日を挟んで流れが変わった様子も。9日線自体も垂れ始め、パーフェクトオーダー崩れとともに短期トレンドも崩れ始めた格好にもなり、過去最高値と今年高値を結ぶ中期抵抗線との攻防にも破れて反落、9月安値(6764)から10月高値(7214)までの23.6%戻し(7108)に到達。短期下値サポート7130円台割れに伴う下値目安は38.2%戻し(7042)、7040ドル近辺まで。
プラチナ価格は-70円、1.66%安となって4日ぶりの反落。高値保ち合い上抜けに伴う上値トライ再開への可能性もあった状態はタイミングの悪さもあり、祝日をはさんで切り返し。流れとしては軟調方向優勢の状態も、NYプラチナの下げ渋りにサポートされる可能性も。週末の雇用統計をトリガに金が反発へと向かえば、下げ渋って上値トライ再開へと追随する展開にも。確率的にはまだ低そうに見えるものの4210円台の高値更新へと向かえば一段高の展開へ、上値目標4300円台半ば辺りまでを目指す流れにも。
※参考:
金プラチナ国内価格11/4とチャート
2021年11月04日(木)時点の相場
国内金:7,109 円 11/4(木)
▼59(
0.82%)
国内プラチナ:4,142 円 11/4(木)
▼70(
1.66%)
NY金:1,763.9 ドル 11/3(水)
▼25.5(
1.43%)
NYプラチナ:1,022.5 ドル 11/3(水)
▼16.8(
1.62%)
ドル円:114.01 円 11/3(水)
▲0.06(
0.05%)
11/3(水)のその他主要マーケット指標
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