世界のインフレ高騰を牽引、米11月CPIはさらに上昇?
更新日:2021年12月07日(火)
もはや一時的ではないインフレ高騰を牽引する米国の消費者物価(CPI)は10月時点で、前年比+6.22%まで上昇していました。これは1990年11月(6.27)以来、実に四半世紀を超えてほぼ31年ぶりの高水準。
これに追随するように、主要国の消費者物価もインフレ高騰状態が続きます。
ユーロ圏も10月には前年比+4.05%。リーマンショック直前の2008年7月(4.12)以来、13年3ヵ月ぶりの高水準。
米国に先行して早期利上げも予想される英国でも、10月のCPIは前年比+3.85%。2011年11月(4.18)以来、ほぼ10年ぶりの高インフレとなっていました。
さらに、お隣り韓国でも10月は前年比+3.18%まで上昇し、2012年1月(3.35)以来、9年9ヵ月ぶりの高水準。既にインフレ対策として利上げフェーズをスタートし、8月に続いて11月にも2回めの利上げで政策金利を1.00%へと引き上げています。
OECD(経済協力開発機構)としての数値も10月は前年比+5.18%となり、1997年2月(5.22)以来、24年8ヵ月ぶりの高水準となっています。
しかし、今週発表される米国の11月のCPIでは、市場予想として前年比+6.7%、あるいは+6.8%といった水準も予想されているようです。
いずれにしても前年比+6.4%以上となれば、少なくとも1982年7月(6.44)以来、実に39年4ヵ月ぶりの高水準。
ちなみに当時の米FF金利誘導目標は9%台から10%台。
39年前と現在では時代も前後の背景も違い、同じようなFF金利設定はとても想定できないものの、市場予想通りの一段高となれば、早期利上げ観測が一段と強まることも避けられません。次週FOMCではテーパリングの早期終了決定と来年の利上げ見通しは年3回、では済まない可能性すら出てくるかもしれません。
6日のNY金相場は-4.4ドル、0.25%の反落。週明け時間外は1780ドル台での揉み合いからスタートし、一時1790ドル手前まで上昇してこの日の高値を付けると軟調気味に推移。週末の反動で米10年債利回りが上昇し、ドル高優勢の展開に押された格好にも。週末には米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のファウチ所長がオミクロン株について「これまでのところ重症化の度合いは、それほど高くないようだ」と発言。それを裏付けるように南アフリカ共和国の主要医療施設の初期データによれば、感染者数は急増しながらも比較的軽症が多く、入院者数の急増は見られなかったことが伝えられたことも市場のリスクを緩和。NY市場では株高の流れが急速に強まり、NYダウは640ドル超と今年最大の上げ幅となったことなども重石に。ただしFOMC前のタイミングでは下値も比較的堅く、NY午後にかけても1780ドルをはさんでの揉み合い推移。引き続き1760ドルから1790ドルまでの保ち合いレンジを維持、上限突破できれば短期上値目標は1810ドル程度まで、下限を割れると下値目安は1730ドル近辺まで。
NYプラチナは+10.2ドル、1.1%高で3日ぶりの反発。11月29日(964.5)以来、1週間ぶりの高値。週明け時間外序盤に930ドル付近から940ドル手前まで上昇、これがこの日の高値となってレンジ上限940ドルにわずかに届かず失速するとロンドン時間には920ドル台へ。NY午前には一時920ドル割れ、先週末安値をわずかに下回って9月21日安値(902.2)以来、2ヵ月半ぶりの安値をつけて切り返すとNY午後には930ドル台後半まで反発。レンジ下限920ドルでの底堅さも確認できたものの、レンジ上限940ドルでの上値の重さはそれ以上、何度も確認する展開に。その上限を突破できたなら反発局面形成へ、短期上値目標水準は960ドル近辺まで。下限割れの場合には一段安へ、9月安値890ドル台再トライの展開にも。
ドル円は66銭のドル高円安、0.58%の反発で11月29日(113.53)以来、1週間ぶりのドル高円安水準。週明け東京市場朝に112円80銭近辺から113円台へと水準を切り上げると、113円ちょうどをはさんでの小幅揉み合い推移の展開に。欧州時間からは米長期金利上昇とドル高の流れに連れて徐々に堅調推移、オミクロン株への警戒感後退を背景にNY時間には株高の流れが急速に強まるリスク選好の流れに追随、113円20銭近辺から50銭台まで一段高。インフレ警戒感とともにFRBのタカ派傾斜を材料に徐々にドル高優勢の流れとなってきた感も。113円をはさんでの保ち合い上限113円20銭をしっかりと上抜けたことで、多少フライング気味ながらも上値トライへの流れが進行しやすい状況にも、短期的には114円台半ば辺りまでが上値目標に。112円80銭が当面の下値サポートとなり、これを下回るようだと流れは逆転、112円台前半までを目安に下値トライの展開へ。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場12/6終値とチャート
7日の国内金価格は+26円、0.37%の続伸で11月30日(7153)以来、1週間ぶりの高値。9月安値(6764)から11月高値(7483)までの61.8%戻し(7039)達成後の反発局面継続で半値戻し(7124)も視野に。ゆるやかな上昇軌道が続く90日移動平均線(7031)にサポートされた流れで短期的な地合い回復に向けては9日移動平均線(7132)上抜けは必須条件。重要度を増す90日線を割り込むようだと下値トライ再開へ、6990円近辺までが短期下値目安に。
プラチナ価格は+17円、0.46%の続伸で11月30日(3876)以来、1週間ぶりの高値、とはいえ水準的にはその後の急落局面からの戻りは限定的。9月末から10月初旬の保ち合い形成水準に位置し、多少の下値サポート効果も期待される水準にも。短期トレンド回復に向けてはその保ち合い上限付近、3800円の大台回復が待たれる状況にも。12月安値3710円台再更新へと向かうようだと一段安へ、3670円前後までが短期下値目安に。
※参考:
金プラチナ国内価格12/7とチャート
2021年12月07日(火)時点の相場
国内金:7,108 円 12/7(火)
▲26(
0.37%)
国内プラチナ:3,749 円 12/7(火)
▲17(
0.46%)
NY金:1,779.5 ドル 12/6(月)
▼4.4(
0.25%)
NYプラチナ:936.4 ドル 12/6(月)
▲10.2(
1.10%)
ドル円:113.50 円 12/6(月)
▲0.66(
0.58%)
12/6(月)のその他主要マーケット指標
輸出入は過去最大、米貿易赤字は過去最大から急縮小 12/08(水)高値保ち合い均衡水準で迎えるタカ派転換後初のFOMC 12/06(月)低調なNFPにも労働市場改善でタカ派シナリオに変化なし 12/04(土)失業保険申請件数4週移動平均で100%回復まであと18750件 12/03(金)
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