求人件数は過去3番目の高水準、労働需給逼迫状態も高止まり
更新日:2022年03月30日(水)
米労働省が発表した月次求人労働異動調査(JOLTS:Job Openings and Labor Turnover Survey)によると、2月の求人件数は1126.6万件。市場予想の1100万件程度を上回り、1月からは0.15%の小幅減。過去最高となった12月(1144.8)からは続落も1100万件を超えたのは直近3ヵ月のみ。過去最高水準付近での高止まり状態。
これに対して失業者数は2月時点で627.0万人。コロナ直前、2020年2月(571.7)以来、2年ぶりの低水準。
この結果、求人件数と失業者数との差は499.6万件の求人過多。過去最大となった12月(512.9)に次いで過去2番めの高水準。求人件数が失業者数を上回る状態は昨年5月から10ヵ月連続、2千件以上上回るのは7月以降、8ヵ月連続。直近4ヵ月は4千件超上回る状態が継続中。
自発的離職者の割合を示す離職率は2月に2.9%となり、1月の2.8%から上昇、過去最高となった昨年11-12月の3.0%に次いで過去2番めの高水準。昨年6月以降は9ヵ月連続で2.8%以上となり、これも歴史的高水準での高止まり状態。
米労働市場では歴史的高水準で人の入れ替わりが活発化している状況が示され、失業者数を求人件数が大幅に上回る、いわゆる「売り手市場」状態も歴史的高水準で継続中。
米国の労働需給は歴史的高水準での逼迫状態となり、これに伴う賃金上昇圧力も強まる状態が続きます。これ以外の要因も含めて、米国のインフレ圧力も歴史的高水準での推移が続きます。
29日のNY金相場は-21.8ドル、1.12%安で3日続落。3月16日(1909.2)以来、2週間ぶりの安値。1920ドルの下値サポートをなんとか維持したアジア時間には、1930ドル台半ばまでの小反発で高値を付けるとロンドン時間にかけて戻り売り。トルコ・イスタンブールで行われたロシアとウクライナ代表団の交渉ではわずかながらも進展が見られたとも伝えられ、有事のドル買いの巻き戻しと株高基調とともに金買いの巻き戻しも進行。NY朝につけた安値では2月28日(1892.2)以来、1ヵ月ぶり安値水準となる1890ドル台前半まで下落。ロシア側からは首都キエフとその北部の都市チェルニヒフ周辺での軍事作戦縮小も発表されたものの、ブリンケン米国務長官の懐疑的な見方も示され、NY引けにかけては1920ドル台へと反発。結果的には1920ドルの節目割れに伴う短期下値目安1890ドル前後にも到達し、下値サポート近辺まで急回復。雇用統計も控える週後半、下値目安再トライへの警戒感も抱えながら一服感からの反発も。上方向には1960ドル台が当面の抵抗水準、これを上抜けることになればダブルボトム完成で2000ドルの大台再トライへと向う流れにも。
NYプラチナは-12.3ドル、1.24%安で3日続落。1月14日(964.6)以来、2ヵ月半ぶりの安値。時間外は990ドルを挟んでの小幅揉み合い推移となり、大台回復の素振りすら見せずにロンドン時間に一段安。NY金の下落局面に追随する形でNY朝には一時960ドル割れ。一段安の目安、1月半ば水準950ドル台まで下げるとNY午後にかけては990ドル付近まで急反発、ほぼ下へ行って来い。12月安値(886.0)から3月高値(1197.0)の76.4%戻し(959.4)も達成したことから、いったんは下値トライ一服となりやすいところだが。
ドル円は104銭のドル安円高、0.84%の大幅反落。下げ幅としては今年の絶対値平均40銭の2.6倍で今年最大、
オミクロン株ショックとなった昨年11月26日(-2.05円、1.78%)以来、4ヵ月ぶりの急落。円安への警戒感がにわかに高まったこともあり、急進してきた円安の調整と有事のドル買いの巻き戻しが同時進行したような格好にも。前日の急騰、急反落の流れを受けてこの日の東京朝も乱高下、123円30銭台から124円30銭台までのレンジでの上下動を経て午後には123円10銭台へと急反落。123円台半ばでの保ち合い推移となった欧州時間を経て、NY朝には米10年債利回り急低下にも連れての急落で一時122円割れ。NY終盤ににかけては122円90銭台へと反発し、今朝の東京市場では一時123円20銭台まで上昇後に再び122円ちょうど付近まで急落する場面も。ピークアウト警戒感も高まる高値圏での乱高下状態のまま雇用統計待ちへ。短期的には122円の下値サポートを割れるようなら120円台後半辺りまでの一段安も。124円が目先の上限となり、超えると125円再トライも。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場3/29終値とチャート
30日の国内金価格は-76円、0.91%安で3日続落。3月23日(8160)以来、1週間ぶりの安値。ドル円のピークアウト警戒感と地政学リスク緩和期待による有事の金買いの巻き戻し懸念による軟調局面となりやすい地合いにも。それでも9日移動平均線(8230)超を維持して強気相場も維持、ただしそれも最終局面、短期サイクル的にも調整局面がもう一段進行してもおかしくはない状況にも。しかし雇用統計に向けてはドル買いか、金買いか逆行しやすい状況にもなり、結果的に国内金価格の調整も限定的にというパターンも想定可能か。押し目となった3月16日(7988)から最高値(8397)までの38.2%戻し(8241)付近で一服感も。もう一段の調整なら50%戻し(8193)近辺も、逆に最高値再更新なら8440円台が次のターゲット。
プラチナ価格は-36円、0.84%安で3日続落。3月16日(4099)以来、2週間ぶりの安値。21日移動平均線(4325)の下で推移する9日移動平均線(4283)を下回って短期軟調局面が進行中。4290円台の節目割れに伴う短期下値目安4200円近辺に向けた流れもジワリと進行中。中期的にはほぼ水平状態の90日移動平均線(4087)を上方乖離、堅調推移を維持。
※参考:
金プラチナ国内価格3/30とチャート
2022年03月30日(水)時点の相場
国内金:8,259 円 3/30(水)
▼76(
0.91%)
国内プラチナ:4,228 円 3/30(水)
▼36(
0.84%)
NY金:1,918.0 ドル 3/29(火)
▼21.8(
1.12%)
NYプラチナ:978.8 ドル 3/29(火)
▼12.3(
1.24%)
ドル円:122.88 円 3/29(火)
▼1.04(
0.84%)
3/29(火)のその他主要マーケット指標
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