PCEインフレ要因、需要は2%割れも供給サイドは3%台で高止まり
更新日:2022年08月30日(火)
米商務省が発表しているPCEインフレデータのうち、その影響が需要サイド要因によるものなのか、それとも供給サイド要因によるものなのかを分析し、それぞれのインフレ率を算出したデータがサンフランシスコ連銀から公表されています。
これによると、7月のPCEインフレのうち、需要サイド要因によるインフレ率が前年比+1.92%。供給サイド要因によるインフレ率は前年比+3.20%。判別困難なグレー部分が前年比+1.03%。
長期平均では需要サイド要因が前年比+0.64%、供給サイド要因が+0.87%。グレー部分の0.50%を含めた合計が+2.01%。長期平均=FRBの目標水準、という状態にもなっています。
需要サイド・インフレは昨年11月に前年比+2%を超え、今年2月には(1998年以降のデータで)過去最高となる+2.33%まで上昇してピークアウト。7月の+1.92%は昨年10月(1.86)以来、9ヵ月ぶりの低水準。それでも前年比+2%付近、長期平均の3倍の水準付近で高止まり。
供給サイド・インフレは昨年12月に前年比+2%を超え、今年3月には+3%超え、6月には過去最高となる+3.48%。7月まで5ヵ月連続で前年比+3%台、長期平均の3.6倍超の水準で高止まり。
一般的には、好景気でモノがよく売れて需要が供給を上回る、いわゆるデマンド・プル・インフレの部分が需要サイド要因ということになり、原材料や資源価格上昇による資源インフレや賃金インフレなど、生産コスト上昇に伴うインフレ、つまりコストプッシュ・インフレ部分が供給サイド要因に。
金融政策では利上げなどによって需要を抑制することでインフレ抑制を図ることがメインとなり、供給サイド要因のインフレ抑制には極めて限定的な影響しか及ぼさない、もしくはほぼ無効という見方が大勢。
景気鈍化の痛みを伴いながらも大幅利上げを断行し、需要サイド要因のインフレ抑制に効果が出始めたとしても、供給サイド要因部分のインフレ抑制に関しては、ただ祈るのみ、かもしれません。
29日のNY金相場は先週末からわずかに-0.1ドル、0.01%の小幅続落で8月22日(1748.4)以来、1週間ぶりの安値。1750ドルを割り込んでスタートした週明け時間外は軟調局面再開、アジア時間に先週末安値を下回って1740ドル台半ばの下値サポートを割れると1740ドル割れへと一段安、ロンドン市場では節目割れに伴う短期下値目安1730ドル前後に到達。1730ドル割れを回避して下げ渋るとNY朝にかけてはユーロドルの反発にも連れて1750ドル台を回復。アジア時間に20年ぶり高値となったドルインデックスが巻き戻され、フォンデアライエン欧州委員長が電力価格高騰抑制に向けた緊急介入計画に言及したことも影響。ただし高値では1750ドル台後半で失速するとNY午後には1750ドル付近に収束。若干下ヒゲ長めの十字線を形成し、下値トライ一服を示唆する形にもなり、1730ドル前後までの下値余地再トライの可能性を残しながらも週末の雇用統計までは比較的落ち着いた展開となる可能性も。
NYプラチナは-1.0ドル、0.12%の小幅続落。7月20日(846.5)以来、6週間ぶり安値圏で下値トライ一服の様相にも。850ドル割れへと急落の動きでスタートした週明け時間外は軟調推移、ロンドン市場では840ドルを割れて830ドル台半ばまで下落。860ドル台半ばの節目を先週末に割り込んだことに伴う短期下値目安、830ドル近辺にもほぼ到達し、ユーロドルとNY金の反発にも追随するとNY朝には850ドル台を回復。金と同様に下ヒゲやや長めの十字線に近い足形を残して下値トライ一服の様相にも。830ドル近辺再トライの可能性も残しながら、反発方向へは880ドルが当面の抵抗水準。これを上抜けることができれば900ドルの大台回復へと反発局面形成へ。
ドル円は121銭のドル高円安、0.88%の続伸。終値ベースで今年高値となった7月14日(138.92)以来、6週間ぶりの高値。週末の流れを受け継ぐ形で週明け東京朝から堅調推移、137円80銭台へと急騰スタート後もジリジリと値を上げる展開となって東京午後には138円台半ば、ドルインデックスが20年ぶり高値となる109.4ポイント台まで上昇した流れにもサポートされて149円ちょうど近辺まで上昇。欧州時間にかけてはユーロドルの上昇にも連れて上値トライ一服。NY朝には一時138円20銭台までの調整も、午後には再び138円80銭台まで上昇する場面も。直近の節目137円20銭上抜けに伴う短期上値目安138円台後半に到達しても一服感はなく、もう一段の買いに向けてきっかけ待ちの様相にも。好結果の指標があれば139円台再トライの可能性もあり、週末まで現状水準付近を維持するようだと雇用統計がそこそこの好結果なら140円トライへと向かう可能性も。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場8/29終値とチャート
30日の国内金価格は+35円、0.42%の続伸で8月10日(8521)以来、3週間ぶりの高値となり、その8月10日以来となる90日移動平均線(8463)上抜けトライに。NY金の下げ渋りによってドル高円安サポート優勢へとパワーバランスが崩れ始め、このまま90日線をしっかり上抜けることができれば8440円の節目突破に伴う短期上値目標8480円台から8500円の大台回復トライへと向かう流れにも。ただし下値サポート8420円を割れるようだと巻戻し、8360円程度までを下値目安に反落の展開へ。
プラチナ価格は+32円、0.78%の反発。昨年12月安値起点の中期三角保合い下限ラインを下抜けたことから中期的には下値警戒感も高まり始める状況も、今年2月以降の安値水準4100円前後での底堅さが勝った格好に。この中期重要水準を維持できれば徐々に流れも好転方向へ、8月高値(4462)から安値(4112)までの38.2%戻し(4246)程度までの早期回復がポイントにも。短期的には4110円を維持できないようだと7月安値(4070)近辺再トライへも。
※参考:
金プラチナ国内価格8/30とチャート
2022年08月30日(火)時点の相場
国内金:8,463 円 8/30(火)
▲35(
0.42%)
国内プラチナ:4,144 円 8/30(火)
▲32(
0.78%)
NY金:1,749.7 ドル 8/29(月)
▼0.1(
0.01%)
NYプラチナ:854.3 ドル 8/29(月)
▼1.0(
0.12%)
ドル円:138.72 円 8/29(月)
▲1.21(
0.88%)
8/29(月)のその他主要マーケット指標
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