円安・ユーロ安にポンドも急落、ドル独歩高で金も急落
更新日:2022年09月24日(土)
円買い介入後もドル高円安基調に大きな変調は望めないのではないか、という兆しのようにも見えた週末。
この日はポンドも急落。
英国ではトラス新政権が1972年以来となる大規模減税を打ち出し、予定されていた法人税引き上げも撤回。経済活性化を意図した政策にも財政悪化懸念が強まり、株安・債券安・通貨安のトリプル安。円安にポンド安が加わってポンド円はこの日4円55銭、2.84%もの急落。下落率ではコロナショックの2020年3月18日(-4.34円、3.34%)以来2年半ぶり、下落幅ではEU離脱の国民投票後の2016年6月27日(-5.12円、3.66%)以来6年3ヵ月ぶり(※ちなみに国民投票開票日の6月24日は-17.91円、11.35%の暴落)の大幅安。
ユーロ安基調も続き、対ドルでのパリティ割れ後の下落一服から、この日は下落基調再開、20年ぶりのドル高ユーロ安を更新して0.97ドル割れ。
そのきっかけの一つにもなったユーロ圏総合PMIの9月速報値は48.2。市場予想どおりながら、前月比-0.7で5ヵ月続落、2021年1月(47.8)以来、1年8ヵ月ぶりの低水準。
直近3ヵ月連続で節目50割れとなり、7-9月期は全面的に縮小基調を示す状態となり、ユーロ圏のリセッション入りの可能性も示唆。
製造業は48.5となり、市場予想の48.8を下回って8月から-1.1で8ヵ月続落。これも3ヵ月連続の節目50割れとなり、2年3ヵ月ぶりの低水準。
サービス業は48.9。市場予想の49.1を下回って8月からは-0.9、5ヵ月続落で1年7ヵ月ぶりの低水準。節目50割れは2ヵ月連続。
国別ではフランスが1年5ヵ月ぶり低水準となった8月の50.4から9月は51.2へと反発。サービス業が1年4ヵ月ぶり低水準となった8月の51.2から9月は53.0へと反発したことが牽引。
ドイツの総合PMIは45.9となって7ヵ月続落で2年4ヵ月ぶり低水準。直近3ヵ月は節目50割れ。ドイツは製造業もサービス業も3ヵ月連続節目50割れでコロナ後の最低水準に。
米国の総合PMIも3ヵ月連続で節目50割れとなったものの、9月速報は49.3となって市場予想の45.5を大幅に上回り、8月の44.6からも急反発。製造業が下げ渋ってサービス業が急反発したことが要因に。
総合PMIの動向もユード安ドル高をサポートしているようです。
新興国通貨安も継続するなか、円安・ユーロ安にポンドの急落も加わってのドル独歩高でNY金の売り圧力も再燃の様相に。
23日のNY金相場は3日ぶりの反落で-25.5ドル、1.52%の大幅安。2020年4月3日(1645.7)以来、2年5ヵ月半ぶりの安値。時間序盤の1685ドルが高値となり、1680ドル台の抵抗水準付近での小幅保合い推移はアジア時間まで。ポンド急落にユーロ安も加わり、押し上げられた格好のドル高の流れが強まったロンドン市場では軟調推移。1670ドルの節目を割れると急降下、1650ドル割れでは下げ渋りながらも自律反発も限定的、NY引け後には1640ドル台半ばの安値をつけて1650ドル付近での攻防状態に。1670ドルの節目割れに伴う短期下値目安1640ドル程度にほぼ到達した状態となり、短期的には下値トライ一服の可能性も、中期的にはドル独歩高の流れに押されて一段安の可能性、次の節目は1600ドル付近。
週間ベースでは-27.9ドル、1.66%の続落。
NYプラチナは-47.3ドル、5.22%の大幅安で3日続落。9月7日(847.2)以来、半月ぶりの安値。下げ幅としては今年の絶対値平均15.7ドルの3倍、今年3番めの急落。900ドルの大台を維持して小幅もみ合い推移となった時間外序盤の高値は908.2ドル。9月安値(796.8)から高値(943.5)までの23.6%戻し(908.9)で上値を押さえられ、90日移動平均線(903.8)も維持できずに調整局面継続へ。ロンドン・NY市場でのドル高金安に連れると38.2%戻し(887.5)でサポートされずに一段安、NY引け後には61.8%戻し(852.8)近辺まで下落。880ドルの節目割れに伴う短期下値目安850ドル台までしっかり下げた形にもなり、短期的には一服感も。中期的には金の軟調な展開に追髄すると800ドルの大台割れが再び意識される局面も。
週間ベースでは-42.3ドル、4.69%安で3週ぶりの反落。
ドル円は96銭のドル高円安、0.67%の反発。東京時間朝には142円50銭台まで急騰後には142円を割れて141円70銭台まで急落するなど落ち着かない状態が続く様子。それでも徐々に下値を切り上げる形となり、欧州時間には欧州通貨安に支えられてのドル高の流れで143円を回復。142円台前半へと売り込まれての乱高下状態を挟みながら、NY午後には143円30銭近辺で落ち着き始めた状態にも。円安・ユーロ安にポンド安も加わり、ドル独歩高の状態に株安のリスク回避的なドル買いも入りやすい状態となり、ドルインデックスは一時20年4ヵ月ぶり高水準となる113ポイント台まで上昇。ドル円としては一時的な急落リスクを抱えながらも中期的にはドル高円安基調は変わらずか。短期的には142円30銭が下値サポートとなり、割れると調整再開で7月高値(139.39)近辺までが下値目安に。上方向には144円10銭の節目を超えると再度介入警戒感も高まりながらも、それがなければ一段高へ、今年高値更新で146円台後半辺りまでが上値目標に。
週間ベースでは+39銭、0.27%高へとなんとかプラス転換で6週続伸。6週続伸以上は今年3度め。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場9/23終値とチャート
2022年09月24日(土)時点の相場
国内金:8,432 円 9/22(木)
▲29(
0.35%)
国内プラチナ:4,518 円 9/22(木)
▼85(
1.85%)
NY金:1,655.6 ドル 9/23(金)
▼25.5(
1.52%)
NYプラチナ:858.7 ドル 9/23(金)
▼47.3(
5.22%)
ドル円:143.35 円 9/23(金)
▲0.96(
0.67%)
9/23(金)のその他主要マーケット指標
混沌の9月末、国内金価格の重要なサポート水準 09/26(月)24年ぶりの円買い介入、ドル円は24年ぶり高値から5円超急落 09/23(金)3会合連続0.75%利上げに追加利上げ示唆も想定内、市場は乱高下 09/22(木)年末4.375、ターミナルレート=23年3月4.625、23年末=4.125%へ 09/21(水)
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