鈍化継続予想の米国CPI、欧州、OECD、G20ではインフレ加速中
更新日:2022年11月10日(木)
米中間選挙でも最大の争点となったインフレ問題。
注目の米CPIは6月に前年比+9%台でピークをつけた後、鈍化傾向となっており、スローペースながら10月も8%程度へと鈍化継続が予想されています。コアCPIでも8-9月と再加速となった状態からは一服となって前年比+6.5%程度がメインの予想。万が一鈍化しなけば、波乱の展開も予想されるところです。
高止まり、ともいえる状況ながらも一定の鈍化局面に移行し始めた可能性もある米国のインフレ状況に対し、OECD加盟国では高インフレとの闘いがまだまだ続いている国も多数。
OECDのデータによれば、9月時点で米国のCPI、前年比+8.20%を上回ったのは、ユーロ圏、ドイツ、英国、OECD、G20など。下回ったのは韓国、日本。
ユーロ圏の9月CPIは前年比+9.93%。5ヵ月連続過去最高を更新中。米国のピークとなった6月の+9.06%を上回る高インフレでの推移が継続中。
ユーロ圏の経済もインフレも牽引するドイツは9月に前年比+10.0%、先日発表された10月速報値では+10.4%。過去最大の伸びを6ヵ月連続更新中。
英国も9月は+8.81%。4ヵ月連続8%台での推移が続き、1990年12月(9.20)以来、31年9ヵ月ぶりの高水準へと上昇。
OECD平均では+10.55%となり、1988年5月(10.58)以来34年4ヵ月ぶりの高水準。G20平均では+9.52%。1997年以降のデータでは最高を更新。
韓国は6月に前年比+6.34%まで上昇し、1998年11月(6.78)以来23年8ヵ月ぶり高水準となった後は鈍化傾向、9月は+5.67%。
日本は8月に+3.01%となり、2014年9月(3.25)以来ほぼ8年ぶり高水準、9月は+3.00%へとわずかに鈍化傾向。
なお、この日発表された中国の10月CPIは前年比+2.1%。2年5ヵ月ぶり高水準となった9月の前年比+2.8%からは鈍化。9月分でも日本よりも低インフレ。
9日のNY金相場は-2.3ドル、0.13%の小幅安で4日ぶりの反落。3日で90ドル弱の急騰直後の一服状態となったこの日、時間外は1710ドル台前半を中心に小幅揉み合い推移。NY午後に米長期金利低下とドル売りが強まった場面では一時前日高値を上回り、1720ドル台半ばまで急騰。1ヵ月ぶり高値更新もこれを維持できず、NY引けにかけては1710ドル台半ばへ、NY引け後には1710ドル割れへと小幅に水準を切り下げての揉み合い推移。ただし安値でも1705ドルまでと下値も限定的。3月高値(2078.8)から11月安値(1618.3)の23.6%戻し(1727.0)をほぼ達成した状態で十字線を形成し、目先の行方をCPIの結果に委ねる構え。予想下ブレなら一段高へ、短期的にはダブルボトムの値幅分上昇した場合の水準1737.7ドル近辺が目安に、中期的には38.2%戻し(1794.2)近辺を目指す流れにも。上振れの場合の調整目安は1680ドル近辺から20日移動平均線(1661.1)近辺も。
NYプラチナは-17.2ドル、1.7%安で4日ぶりの反落。3日で90ドル上昇してきた勢いはこの日の時間外も継続、前日NY引け後の1010ドル付近からジリ高推移となってロンドン序盤にかけて1020ドル台へ、6月6日高値(1038.3)以来5ヵ月ぶり高値となる1020ドル台半ばまで上昇して失速。NY朝に1010ドルを割れると1000ドルの大台ライン付近ではいったん下げ渋るも、これを維持し切れず。NY引け後には990ドル付近まで下げて大台再トライの動きも。上昇局面一服となっての小幅調整で1010ドル台が目先の上限に、これをしっかり上抜けるようなら6月高値圏1030ドル台が次の上値目安に。調整継続なら9月安値から11月高値の23.6%戻し(970.9)近辺がサポート候補に。
ドル円は70銭のドル高円安、0.48%高で4日ぶりの反発。東京朝には前日安値を下回り、145円10銭台まで下落。10月27日安値(145.10)以来、2週間ぶりドル安円高水準は午後にも、欧州時間にも試しながらも反発。145円割れも回避してこの近辺での底堅さも確認。時間足レベルではトリプルボトムを形成し、前日までの3日続落での下値トライへの流れもいったん巻戻し、底打ちの可能性も示唆してNY朝から反発局面へ。146円台を回復するとNY午後には一時146円80銭近辺まで上昇。CPI確認前の調整一服という格好にもなり、目先は145円台半ばがいったん下値サポートとなる形に。これを維持できなくなれば調整再開も、短期下値目安は10月上旬安値圏144円割れへ。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場11/9終値とチャート
10日の国内金価格は+22円、0.25%の続伸で6月23日(8778)以来、4ヵ月半ぶりの高値。比較的強めの抵抗水準候補とも想定された9月高値(8698)から10月高値(8726)までの重要水準を抜け出す形に。警戒感と注目度が高まった分だけ市場の混乱も警戒され、ドル高でも金高でも、どちらでもサポートされる可能性もある状況でのCPI待ち。最高値近辺も意識され、サポート候補は9月末安値からここまでの23.6%戻し(8634)近辺。
プラチナ価格は-28円、0.56%安で4日ぶりの反落。7年9ヵ月ぶりの5000円台はわずか1日で陥落。NYプラチナが1000ドルの大台を維持できなかったことに足を引っ張られた格好。単なる一服感からの調整という面もあり、5020円台が当面の上限とならなければ上値トライ再開も。高値更新なら短期上値目標は10月末高値(4867)から11月安値(4744)までの261.8%戻し(5066)近辺。調整継続なら9月安値(4052)から11月高値(5022)までの23.6%戻し(4793)近辺がサポート候補。
※参考:
金プラチナ国内価格11/10とチャート
2022年11月10日(木)時点の相場
国内金:8,744 円 11/10(木)
▲22(
0.25%)
国内プラチナ:4,994 円 11/10(木)
▼28(
0.56%)
NY金:1,713.7 ドル 11/9(水)
▼2.3(
0.13%)
NYプラチナ:997.3 ドル 11/9(水)
▼17.2(
1.70%)
ドル円:146.39 円 11/9(水)
▲0.70(
0.48%)
11/9(水)のその他主要マーケット指標
米CPI鈍化は予想以上、市場反応も予想以上でドル安金高急進 11/11(金)ドルインデックスの三番天井とNY金の三番底 11/09(水)中国10月輸出入はともに低調、問題は年末年始に向けての急増 11/08(火)三角保合いの国内金価格、斜行三角保合いのプラチナ 11/07(月)
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