米CPI鈍化は予想以上、市場反応も予想以上でドル安金高急進
更新日:2022年11月11日(金)
近年稀に見る注目度となった米10月CPI。これまで予想を上回る高インフレとなるケースが多く、春以降は何度もサプライズとなってドル高の流れが急速に進行してきた流れの巻戻し、とばかりに予想を下回る結果を受けてドル安が急速に進行。
米10年債利回りも4%を割れて1ヵ月ぶりに3.8%台へと急落、利上げペース減速への思惑からダウやドイツDAXは3%超、ナスダックは7%超など欧米株も軒並み急騰、NY金も2%超の急騰となり、大転換の日を迎えたかのような市場反応となり、節目の日となる可能性も。
・CPI(米労働省発表)=前年比+7.75%。9月の+8.20%から一段と低下、4ヵ月続落で1月(7.48)以来、9ヵ月ぶりの低水準。6月(9.06)ピークアウト後の鈍化傾向が継続。
・コアCPI(米労働省発表:食品とエネルギー除く)=前年比+6.28%。40年1ヵ月ぶり高水準となった9月(6.63)から低下、3ヵ月ぶり低水準。ピークアウトの可能性を残しての揉み合い状態に。
・メディアンCPI(クリーブランド連銀:価格変動分布50%台)=前年比+7.00%。9月の6.98%をわずかに上回り、8ヵ月連続過去最高更新。
・16%トリム平均CPI(クリーブランド連銀:上下8%づつをカット)=前年比+6.95%。9ヵ月連続過去最高更新となった9月(7.31)から低下、4ヵ月ぶり低水準。ピークアウトの可能性。
・スティッキーCPI(アトランタ連銀:比較的価格固定される商品)=前年比+6.52%。40年1ヵ月ぶり高水準となった9月(6.53)からわずかに低下、40年で2番めの高水準。
コアCPIなどの鈍化傾向が続くことが重要、となりそうです。
10日のNY金相場は+40.0ドル、2.33%の大幅反発で8月25日(1771.4)以来、2ヵ月半ぶりの高値。上げ幅としては今年の絶対値平均13.7ドルの2.9倍、今年5番めの急騰。1710ドル近辺での小幅揉み合い推移から、NY市場で米10月CPIの結果を受けて1750ドル台へ、40ドル程の急騰。インフレ鈍化で12月以降の利上げペース緩和への思惑が急速に強まり、NY引け後には一時1760ドルまで上昇。90日移動平均線(1715.0)を再び上抜けての急騰で、3月高値(2078.8)から11月安値(1618.3)の23.6%戻し(1727.0)ライン、10月末安値と11月安値とで形成したダブルボトムの値幅分上昇した場合の水準1737.7ドル近辺も突き抜けての一段高。短期的には一服感も、中期的には38.2%戻し(1794.2)近辺も今後は意識され、9月末以降の安値で構成するトリプルボトムのネックライン、10月高値(1738.7)も上抜け、これを維持する限りはいずれ1800ドル台半ばも視野に。
NYプラチナは+57.7ドル、5.79%の大幅反発で3月11日(1088.6)以来、8ヵ月ぶりの高値。上げ幅は今年の絶対値平均16ドルの3.6倍、今年最大で2020年7月21日(+61.0円、7.11%)以来、2年4ヵ月ぶりの急騰。1000ドルの大台ラインを挟んでの小幅揉み合い状態から、NY市場での急騰局面では1040ドル台へ、NY午後には1050ドル台を回復し、NY引け後には1060ドル手前まで上昇。その後は1050ドル割れへと小反落。1010ドル台の節目突破に伴う短期上値目標、6月高値圏1030ドル台も突き抜けての一段高となり、3月高値(1197.0)から9月安値(796.8)までの61.8%戻し(1044.1)を達成。この近辺でいったん落ち着くなら、今後はいずれ76.4%戻し(1102.6)が意識されることにも。目先のサポート候補、大台維持がポイントにも。
ドル円は543銭のドル安円高、3.71%の大幅反落で9月5日(140.57)以来、2ヵ月ぶりのドル安円高水準。下落幅としては今年の絶対値平均66銭の8.3倍で今年最大、下落率でも2016年6月24日(-3.85円、3.63%)を上回り、少なくとも2005年以降では最大の急落。146円台前半での保ち合い推移から、NY朝のCPI発表を受けて144円割れへと2円超の急落。145円台半ばの下値サポート割れに伴う短期下値目安144円割れに到達すると、その後も水準を切り下げてNY午後には142円割れ、自律反発も142円台前半までにとどまるとNY終盤には一時140円20銭台まで下落。2021年9月22日以来、1年2ヵ月ぶりに90日移動平均線(141.29)を割り込み、8月安値(130.39)から10月高値(151.94)までの半値戻し(141.17)も達成し、今朝の東京市場では142円台を回復。目先、9月の保ち合い水準142円台から143円台辺りで落ち着けるかどうか。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場11/10終値とチャート
11日の国内金価格は-39円、0.45%安で3日ぶりの反落。比較的強めの抵抗水準候補と想定された9月高値(8698)から10月高値(8726)までの重要水準を一度は上抜けながらも巻戻し。あっさり上抜けるよりは一定の揉み合いを形成したほうが抜け出した後にサポートへと切り替わるケースも。反面、上値を押さえられ続けると反落リスクも。目先、8740円台の節目をしっかり上抜けると8800円付近までが短期上値目標に。サポート候補は9月末安値からここまでの23.6%戻し(8634)近辺。
週間ベースでは+211円、2.48%で5週ぶりの反発。
プラチナ価格は+82円、1.64%の反発。NYプラチナの大台回復後の急騰にサポートされ、5000円の大台割れからも1日で回復、単なる一服感からの調整を挟んでの一段高。5020円台の上限候補上抜けに伴う短期上値目標、10月末高値(4867)から11月安値(4744)までの261.8%戻し(5066)を達成。短期的には一服感も、多少の行き過ぎなら5100円超えも、4990円の下値サポートを割り込むようだと一定の調整へ、4930円程度までが下値目安に。
週間ベースでは+322円、+7.0%の反発。2ヵ月ぶり、今年3番めの急騰。
※参考:
金プラチナ国内価格11/11とチャート
2022年11月11日(金)時点の相場
国内金:8,705 円 11/11(金)
▼39(
0.45%)
国内プラチナ:5,076 円 11/11(金)
▲82(
1.64%)
NY金:1,753.7 ドル 11/10(木)
▲40.0(
2.33%)
NYプラチナ:1,055.0 ドル 11/10(木)
▲57.7(
5.79%)
ドル円:140.96 円 11/10(木)
▼5.43(
3.71%)
11/10(木)のその他主要マーケット指標
ドル円の61.8%戻しと20週移動平均線 11/12(土)鈍化継続予想の米国CPI、欧州、OECD、G20ではインフレ加速中 11/10(木)ドルインデックスの三番天井とNY金の三番底 11/09(水)中国10月輸出入はともに低調、問題は年末年始に向けての急増 11/08(火)
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