ユーロ圏総合PMIは11ヵ月ぶり高水準、サービス・製造業格差拡大
更新日:2023年04月22日(土)
米欧の総合PMIでは今年、回復基調が進行。サービス業がそれを牽引するのが最近のトレンド。しかしここにきて格差拡大が鮮明となる面も。
ユーロ圏の4月総合PMI速報値は54.4。市場予想と3月の53.7を上回って6ヵ月続伸、4ヵ月連続節目50超で昨年5月以来11ヵ月ぶりの高水準。ドイツも53.9で6ヵ月続伸、3ヵ月連続50超で1年ぶり高水準。フランスは53.8で3ヵ月続伸、3ヵ月連続50超で11ヵ月ぶり高水準。いずれも上昇局面継続で好調持続。
牽引役は今回もサービス業。サービス業PMIはユーロ圏56.6、ドイツ55.7、フランス56.3。いずれも市場予想を2ポイント超上回って5ヵ月続伸となり、ほぼ1年ぶりの高水準。フランスは3ヵ月、ドイツとユーロ圏は4ヵ月連続の節目50超。
これに対して製造業は低調。製造業PMIはユーロ圏45.5、ドイツ44.0、フランス45.5。いずれも市場予想を2ポイント前後下回って3ヵ月続落となり、2020年5月以来、ほぼ3年ぶり低水準。コロナ後最低となり、ドイツとユーロ圏は10ヵ月連続の節目50割れ。
ユーロ圏のサービス業と製造業は足下で逆行、回復基調(と悪化基調)で格差は拡大の一途。
サービス業が好調で総合PMIを牽引する構図は米国も同様。
米国の4月速報では、サービス業PMIが53.7で総合PMIは53.5。いずれも市場予想を2ポイント超上回って4ヵ月続伸、3ヵ月連続節目50超となってサービス業が1年ぶり、総合は11ヵ月ぶりの高水準。
米国の製造業PMIは50.4となって市場予想の49.0を上回り、4ヵ月続伸で6ヵ月ぶりの高水準となって節目50超え。
サービス業には遅れながらも、製造業も回復基調を維持し、悪化し続けるユーロ圏とは対照的。
また、同じ米国内でも4月に9ヵ月ぶり高水準へと急反発したNY連銀製造業景況指数と方向性は同じ、コロナ後最低へと大幅に悪化し、低迷が続くフィラデルフィア連銀製造業景況指数とは対照的。
この予想外の結果を受け、軟調推移となっていたドル円は急反発、NY金は大台割れへと急反落。
21日のNY金は-28.6ドル、1.42%の大幅反落。3月31日(1986.2)以来、3週間ぶりの安値。終値ベースでは4月になって初の大台割れ。下げ幅としては今年の絶対値平均14.7ドルの1.95倍、今年6番めの大幅安。時間外序盤の2010ドル台半ばが高値となり、調整局面が進行、東京市場終了後、ロンドン序盤にかけて米10年債利回り上昇とドル高の流れに連れて2000ドル近辺まで下落。大台割れでは下げ渋るも、NY市場で米サービス業PMI、製造業PMIがいずれも予想外の好結果となったことをきっかけに大台割れ、1980ドル近辺まで急反落。その後の自律反発でなんとか1990ドル台まで戻した格好。高値保ち合いが崩れたことから、短期下値目安1960ドル前後までを目安にもう一段の調整が進行しやすい状況に。
週間ベースでは-25.3ドル、1.26%の続落。
NYプラチナは+31.1ドル、2.81%高となって5日続伸。終値ベースで昨年高値となった3月8日(1153.2)以来、1年1ヵ月半ぶりの高値。上げ幅としては今年の絶対値平均14.7ドルの2.1倍、今年7番めの急騰。5日続伸は3月以来、1ヵ月半ぶりで今年2度め。前日の小動きからの反動が再び上方向へと作用した格好に。1110ドル近辺での小康状態から1100ドル近辺へと小幅下落後、ロンドン・NY市場にかけて上昇基調再開。今年最高値を更新するとNY朝には1130ドル台へと水準を切り上げ、高値では一時1150ドル手前まで上昇。1130ドル付近までの反落後もNY引け後には1140ドル台回復へと高止まり状態で週末。しばしば極端に一方的な流れとなりやすいプラチナ市場では、南アの電力事情による供給懸念や中国の景気回復に伴う需要回復期待などを背景に強まり始めた買い圧力が増幅されたような状態にも。さらなる行き過ぎ目安としては1150ドルの節目を超えると昨年最高値1197.0ドルが意識される可能性。調整目安としては1100ドルを割れて1050ドル近辺までの急反落も。
週間ベースでは+84.7ドル、8.04%高で6週続伸。11月以来、半年ぶりの急騰。6週続伸は2018年1月以来、5年3ヵ月ぶり。
ドル円は10銭のドル安円高、0.07%の小幅続落。134円の下値サポートを東京午前には維持し切れなくなって軟調推移、欧州時間にかけては134円がレジスタンスに切り替わるような格好にもなって133円台半ばへ。しかし、133円50銭台では下げ渋る状態にもなり、NY市場では米4月サービス業PMIと製造業PMI速報値が想定以上に上ブレたことを好感してドル買い急進、134円40銭台へと1円弱の急騰。NY午後にはやや調整も134円を割れず、サポート割れも回避した格好に。やや綱渡り気味ながらも134円から134円80銭までの小幅保ち合いを維持して月末へ。FOMC前のブラックアウト期間ながら、月末の米指標結果に一喜一憂する展開にも。あらためて下限割れなら133円割れへ、上限突破なら136円トライへも。
週間ベースでは+39銭、0.29%の小幅続伸。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場4/21終値とチャート
2023年04月22日(土)時点の相場
国内金:9,451 円 4/21(金)
▲5(
0.05%)
国内プラチナ:5,080 円 4/21(金)
▼7(
0.14%)
NY金:1,990.5 ドル 4/21(金)
▼28.6(
1.42%)
NYプラチナ:1,138.7 ドル 4/21(金)
▲31.1(
2.81%)
ドル円:134.14 円 4/21(金)
▼0.10(
0.07%)
4/21(金)のその他主要マーケット指標
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