米実質金利上昇圧力に上値を押さえられるNY金
更新日:2024年02月21日(水)
米10年債利回りは先週、昨年11月末以来2ヵ月半ぶりの高水準となる4.3%台まで上昇しました。
この時、期待インフレ率(BEI:Break Even Inflation rate)を差し引いて算出される実質金利は2%台へと上昇。年明け以降、ほぼ期待インフレ率は2.2-2.3%台での推移が続いている為、米10年債利回りと実質金利は同じような推移に。
米10年債利回りと実質金利が急騰したのは、米1月CPIが予想を上回ったタイミングで、この時にはNY金も1ヵ月ぶり安値水準へと急落。2000ドルの大台割れこそ回避したものの、実質金利上昇圧力に晒され、一段安への警戒感は続く状況となっています。
月初にはADP雇用が低調となって米10年債利回りは3.8%台へと急低下、実質金利も1.7%割れへと急低下、NY金は2070ドル台へと上昇。しかし2日後の米1月雇用統計は逆行、ポジティブ・サプライズとなって米10年債利回りは4.1%台、実質金利は1.8%台へと急騰。同時にNY金は2040ドル台へと急落。その後も金利上昇とNY金の軟調推移は続いて2月半ばへ。
米雇用の強さとインフレ高止まり懸念に伴う早期利下げ観測後退などを背景に、金利上昇圧力とNY金の下押し圧力は続くものの、その流れは足下で一服という状態に。
今後、
・米雇用関連指標やその他指標の好結果などが確認され、米10年債利回りが昨年11月半ば以来となる4.3%超へと一段と上昇した場合、
あるいは
・経済指標がそれほど悪化せずに利下げ観測もそれほど強まらず、でもインフレ鈍化などによりインフレ低下予想が再び強まって期待インフレ率が12月以前のように2.2%割れを試すような状態となった場合、
「NY金は2000ドルの大台割れリスク」が高まることにもなりそうです。
20日のNY金は連休前から+15.7ドル、0.78%高で3営業日続伸。2月8日(2047.9)以来の高値。週明け時間外には2020ドル台から2030ドル台回復トライに失敗も、連休明けの時間外に再トライ。米10年債利回りが4.3%割れへと低下してドル安の流れとなったロンドン・NY市場にかけて堅調推移、2030ドル台を回復すると2040ドル台まで一段高。NY午後には若干巻き戻しの流れとなって2040ドルは維持できず、NY引け後には2030ドル台半ばへ。それでも20日移動平均線(2035.1)を上抜け、2月高値(2083.2)から安値(1996.4)の半値戻し(2039.8)を達成。目先、反発局面一服ともなりやすく、FOMC議事要旨などがきっかけとなって一定の反落か、もしくは意外と一段高の展開にも。上方向への節目とも重なる61.8%戻し(2050.0)をしっかり上抜けるようなら一段高トライへ、2月高値(2083.2)圏が短期上値目標に。右肩上がりの90日移動平均線(2015.8)近辺が下値サポート候補に。
NYプラチナはわずかに+0.8ドル、0.09%高で4日続伸。2月1日(922.3)以来、半月ぶり高値圏での推移。週明け時間外には910ドル台から920ドル手前まで上昇後に910ドル割れへと反落、連休明けのアジア時間には900ドルの大台付近で下げ渋り。大台割れを回避するとロンドン市場にかけてNY金の堅調推移に追随、20日移動平均線(907.1)を上抜けて一段高、910ドル台を回復するとNY朝には高値で920ドル台まで上昇。ただし水平状態でレジスタンス懸念も漂う90日移動平均線(922.6)に上値を押さえられて失速するとNY引け後には910ドル台前半まで巻き戻し。結果的に若干下ヒゲ長めの十字線を形成して反発局面継続の様相に、900ドルの節目超えに伴う短期上値目標2月高値(933.8)近辺を目指す流れを維持してもう少しの上昇余地も。90日線突破が目先の重要課題。
ドル円は15銭のドル安円高、0.1%の続落。東京朝には150円ちょうど付近から堅調推移、今や統一見解となった「マイナス金利を解除しても緩和的」との日銀関係者発言を受けて円安の流れが優勢となり、午後には150円40銭台まで上昇。これが高値となって失速すると欧州時間にかけては150円20銭近辺まで、ゆるやかに巻き戻し。NY市場では米10年債利回り低下とドル安の流れがやや強まって150円割れ、安値では149円70銭近辺で下げ渋り、NY午後にはゆるやかな反発局面となって150円付近まで上昇。失速感も強まる状態も、今年高値を更新して150円90銭超へと抜け出すことができれば昨年高値圏トライへ、151円台後半までが短期上値目標。引き続き2月安値(145.89)から高値(150.88)の38.2%戻し(148.97)近辺が目先のサポート候補。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場2/20終値とチャート
21日の国内金価格は+20円、0.19%高で4日続伸。今年高値の2月9日(10691)以来、2週間ぶり高値圏で今年2番めの高値を更新。勢いに欠ける状態のまま、じわじわと水準を切り上げる展開となり、このまま今年高値更新となれば一段高トライへと向かいやすくはなり、短期上値目標は10770円程度まで。ただし反落警戒感も高止まり、21日移動平均線(10584)辺りまでが目先のサポート候補にも。
プラチナ価格は+34円、0.72%の反発。90日移動平均線(4693)にもサポートされ、中期三角保合い中間ライン4700円近辺で切り返す格好となり、久々の中期三角保合い上半分の領域再トライを諦めない粘り強さも。4760円の節目を突破できればダブルトップ形成リスクも後退して一段高トライへ、4800円台回復が短期上値目標。ただし、4700円割れへと反落の場合にはダブルトップ形成リスクを残したまま、再び中期三角保合い下半分の領域へと押し戻されることに、4640円程度までが短期下値目安に。
※参考:
金プラチナ国内価格2/21とチャート
2024年02月21日(水)時点の相場
国内金:10,673 円 2/21(水)
▲20(
0.19%)
国内プラチナ:4,735 円 2/21(水)
▲34(
0.72%)
NY金:2,039.8 ドル 2/20(火)
▲15.7(
0.78%)
NYプラチナ:914.3 ドル 2/20(火)
▲0.8(
0.09%)
ドル円:149.99 円 2/20(火)
▼0.15(
0.10%)
2/20(火)のその他主要マーケット指標
FOMC議事要旨では時期尚早な利下げリスクを懸念 02/22(木)週足でも国内金は上昇トレンド維持、プラチナは保ち合い 02/20(火)12月中旬から続いた国内金価格の上昇トレンドに失速の危機 02/19(月)PPIも上振れて再びドル高、も今回は限定的に 02/17(土)
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