金プラチナ短期相場観
経済制裁合戦で勝ち目のないロシアの歩み寄りで市場は平常モードへ
更新日:2014年3月29日(土)
1週間前、格付け会社スタンダード・アンド・プアーズとフィッチ・レーティングスによって見通しを「ネガティブ」に引き下げられたロシア国債の格付け。今度はムーディーズも引き下げ方向で見直すことを発表。経済制裁合戦が進む欧米との対立によるロシア経済への見通しに懸念を表明しています。主要格付け会社3社のうちでムーディーズだけが他社の1ランク上となる「Baa1」としており、今後の動向次第では3社とも投資不適格まであと2ランクの「BBB(Baa)」となる可能性が高まってきました。
なお、旧ソ連、ソ連寄りの旧社会主義国でロシアよりも上位に格付けされる国は、エストニア、チェコ、スロバキア、ポーランド、ラトビア、リトアニア、スロベニアと、今では7ヶ国もあります。
ロシア首脳によれば、ロシア株の低迷や通貨ルーブルの下落により、今年の資本流出額は1,000億ドル前後に達する可能性があり、その場合、経済成長率は0.6%前後に減速するとの見通しも示しています。
片や米国のソブリン格付けに対してはフィッチ・レーティングスが見通し「ネガティブ」を「安定的」へと引き上げています。景気が上向き(のはず)の米国経済にとって、今回の経済制裁合戦ではほとんど影響を受けません。
プーチン大統領は、欧米側の追加制裁には報復制裁の姿勢を崩さない一方、プーチン大統領側からの申し入れによりオバマ大統領との電話会談が行われ、来週にも米ロ外相会談が開催されるようです。
今後の動向にも若干注意は必要ですが、確実に異常事態へのリスクは低下方向へと向かっているようです。
日本では新年度を迎え、消費増税へのリスクが待ち構えていますが、マーケットは徐々に異常時警戒モードから平常モードへと切り替わりつつあるようです。そして米国経済の回復状況を確認し、異常時モードの金融政策から平常モードの金融政策への切り替えを目指すFRBの動向を見極める第2四半期が始まります。
NY市場、金相場は0.07%の小幅安で3日続落。買い戻しの流れも限定的、上は1,300ドルのラインが抵抗線となった形で反落、下値は1,285ドル台まで売り込まれて反発。12月31日安値1,181.4ドルから3月17日高値1,392.6ドルまでの上昇値幅の半年戻しを達成したことで落ち着きも見られる局面。反発の目安としては38.2%戻しの1,311.9ドル、下値目安としては61.8%戻しライン1,262.1ドルから1月末までのレンジ高値水準となる1,250ドル近辺が意識されやすい水準。200日移動平均線は1,298.8ドル(乖離率-0.39%)。
週間ベースでは-42.2ドル(-3.16%)となり2週続けての大幅下落。2週続落は昨年10月末以来。
プラチナ相場は5日ぶりの反発となる0.54%高。目標水準1,400ドル近辺に到達したことでようやく、いったんは下げ止まった形。過熱感の高い状態が続き、反発の余地は十分にあるはす。200日移動平均線は1,424.8ドル(乖離率-1.41%)。
週間では-31.3ドル(-2.18%)で3週続落。
ドル円は0.68%の続伸。NY時間に入って株価や国債金利の上昇とともに円安が進行。イエレン発言後の102円60銭台が天井となっていた状態からようやく脱出、3月13日以来の高値となる102円97銭まで上昇。103円ちょうどのラインが抵抗線となるも、102円台前半での揉み合い状態からは上抜けたことで、節目の103円30銭台へのトライに向かう可能性が高まった状態。
週間ベースでは+0.68円(+0.66%)の続伸。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/28終値とチャート
- 2014年3月29日(土)時点の相場
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国内金 : 4,434 円 3/28(金) ▼29(0.65%) 国内プラチナ : 4,791 円 3/28(金) ▼16(0.33%) NY金 : 1,293.8 ドル 3/28(金) ▼0.9(0.07%) NYプラチナ : 1,404.7 ドル 3/28(金) ▲7.5(0.54%) ドル円 : 102.87 円 3/28(金) ▲0.69(0.68%)
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