金プラチナ短期相場観
完全雇用と利上げ時期
更新日:2014年4月17日(木)
イエレンFRB議長の講演は、経済回復後も相当期間低金利維持を予想、政策決定はひとつの指標だけでなく、広範囲の指標を基準にする、などとハト派寄りの発言が目立ちました。また、過剰に低いインフレは過剰に高いインフレよりもリスクが大きいこと、完全雇用に戻るのは2016年、など低インフレに対する警戒と雇用状況の改善には時間を要することなどを引き合いに、3月の「6ヶ月発言」を完全否定するような内容となっています。
FRBのいう「完全雇用」とは、失業率5.2-5.6%。現在の6.7%は2008年秋のリーマンショック直後、金融危機が始まった頃の水準にまでは戻ってはいるものの、まだまだ不十分。さらにその前、2008年前半以前の水準に戻って始めて「完全雇用」と言える状態。
現在の失業率6.7%から完全雇用まではあと1.1-1.5%低下する必要があります。
これまでの失業率の低下ペースを見ると、
ピークとなった2009年10月の10%から2013年12月の6.7%まで、4年と2ヶ月(合計50ヶ月)かかって3.3%低下しました。50ヶ月/3.3%=15.1515。計算上、失業率が1%低下するのに約15ヶ月を要したことになります。
目標値を5.4%とすると、今後1.3%低下するのは、15ヶ月*1.3%=19.5ヶ月後。1年と8ヶ月後、つまり2015年12月。
完全雇用に達しない限り利上げは行わないとしている訳ではありませんが、多少、サバを読んでいるのかもしれません。
イエレンFRB議長は、市場からの利上げ催促のプレッシャーを緩和するために、低インフレや雇用回復の遅さを強調しているフシもありそうです。
NY市場、金相場は0.25%の小反発。前日の大幅下落の反動も限定的となり1,300ドル前後での小動きに終始。1,280ドル台のサポートラインも比較的堅そうな様子でわずかに買い優勢の状況が継続。上方向のレジスタンスは1,330ドル。イースターを控えて金相場も一服か。
プラチナ相場は0.47%安の続落。上方向への勢いは大きく後退。1,420ドル台のサポートライン、緩やかに上昇する90日移動平均線も1,418ドルに位置し、この近辺が意識される水準。上方向1,510ドル近辺への再トライの望みは消滅寸前で1,470ドル辺りがレジスタンスラインとなりつつある状況。
ドル円は0.31%上昇し、小幅ながら4日続伸。軽めの抵抗線となりつつあった102円ちょうどのラインを超えたことで102円台半ばまで上値余地は拡大。円高圧力のほうが強い状態が続き、100円80銭近辺までの下値リスクは抱えるものの、102円前後で新たなレンジ形成へと向かう可能性も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場4/16終値とチャート
国内金価格は0.07%の小反発。しかし4,580円のサポートライン割れ状態からは抜け出せず、流れは下方向へ。下値目標水準は4,440円近辺。
プラチナは0.2%の続落。5,020円台のサポートラインをかろうじて維持し、上値目標5,180円への再トライの可能性もわずかに残るものの、5,100円前後の長期レジスタンス水準が大きな抵抗線となった形で反落への可能性が高まる状況。サポートラインを割れると大幅下落の可能性。
※参考:金プラチナ国内価格4/17とチャート
- 2014年4月17日(木)時点の相場
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国内金 : 4,578 円 4/17(木) ▲3(0.07%) 国内プラチナ : 5,032 円 4/17(木) ▼10(0.20%) NY金 : 1,303.5 ドル 4/16(水) ▲3.2(0.25%) NYプラチナ : 1,437.8 ドル 4/16(水) ▼6.8(0.47%) ドル円 : 102.23 円 4/16(水) ▲0.32(0.31%)
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完全雇用と利上げ時期 4/17(木)
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン