金プラチナ短期相場観
警戒感低下に高まる警戒感
更新日:2014年6月10日(火)
欧米株上昇に伴い、VIX指数が低下しています。ゆっくりながらも確実に回復傾向を示す米国経済指標、縮小中ながらも継続中のFRBの量的緩和、当面継続見込みのゼロ金利。さらには日銀の量的緩和に加えてECBも緩和策、さらに量的緩和の追加も示唆し、日欧のゼロ金利は米国以上に継続見込み。
そんな背景をさらに肯定するような結果となった米5月の雇用統計が発表された先週末のVIX指数の終値は10.73。過去、11を割れたのは2007年2月23日(10.58)まで遡ります。歴史的最低水準となった当時のその後、2007年夏のサブプライムショック、2008年秋のリーマンショックを経てVIX指数は急上昇しました。
警戒感の低下を象徴するように、欧米株は連日の最高値更新が続き、NYダウは昨日も過去最高値、DAXも同様で遂に終値でも初の10,000ポイント超え。さらには、あのスペイン10年債利回りが米国債のそれを遂に下回っています。昨日の米10年債利回り2.6%台に対し、スペインの10年債利回りは2.5%台。確かに最近のスペインは財政改革も進み、経済見通しも上向きつつあり、主要3社により一時ジャンク債寸前まで下げられていた格付けが引き上げられつつあります。それでも失業率は25%と依然高どまり、2年前には一時7%台まで上昇していたスペイン債の利回りがここまで低下するとは誰が想像できたでしょう。
株が買われ、債券が買われるほど良い状況で、ゴルディロックスの状態とも言われる最近の状況。しかし、ゴルディロックスは決して長くは続かないとも言われます。
通常それほど高くはないVIX指数と金との30日間の相関係数が、最近上昇傾向にあります。
とりあえずは楽観の反動には要注意、というところでしょうか。
週明け9日のNY市場、金相場は0.11%の小反発。1,250ドル台での推移は3日連続、その前は1,240ドル台で4日連続、さらにその前2日間は1,250ドル台と1,240-50ドル台での小康状態が9日間継続中。1,230ドル近辺を目指した短期下落トレンドの勢いはほとんど衰退した状態ながら反発も限定的、方向感模索中で株価急落などのきっかけがあれば反発の勢いを強める可能性も。上方向への節目は1,290ドル台、1,310ドルには厚めの抵抗線。
プラチナ相場も0.09%の小幅高で4営業日続伸。それでも方向感はまだわずかに下方向。南ア鉱山ストでは、政府調停による労使交渉も決裂。そう簡単には妥結に至らないことを相場は織り込み済の様子。下方向への節目は1,430ドル台、上方向には今年高値となる1,490ドル台。
ドル円は前週末からほとんど変わらず、上下30銭にも満たない小動きに終始。小幅上昇の米10年債利回りにもそれほど材料視されず。102円台半ばで流れが止まってしまった様子ながらも勢いはわずかにドル高円安方向。103円超え程度までの上昇余地は残る状況。円高方向へは101円30銭台がサポートライン。102円40銭付近で新たなサポート水準形成の流れも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/9終値とチャート
国内金価格は0.11%の小幅安となり、6営業日ぶりの反落。短期下落トレンドから完全には脱出し切れず、4,350円程度までの下落リスクも継続。4,400円前後での揉み合い状態を形成しつつあるような動きで、この状態がしばらく継続するなら下落リスクも低下。
プラチナも4日ぶりの反落で0.18%の小幅安。5月末までのサポート水準5,090円台が抵抗線となり、下方向への流れも継続、下値メド4,980円も継続。しかし、少し長めのスパンで見ると4月後半の4,940円台、5月上旬の4,980円台、6月初旬の5,020円台と下値を切り上げる展開となっており、5,050円程度までの下押しでとどまると、右肩上がりのサポートラインを維持し、反発への可能性も高まることに。5,090円台を上抜けると5,150円程度までの上昇余地。
※参考:金プラチナ国内価格6/10とチャート
- 2014年6月10日(火)時点の相場
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国内金 : 4,422 円 6/10(火) ▼5(0.11%) 国内プラチナ : 5,084 円 6/10(火) ▼9(0.18%) NY金 : 1,253.9 ドル 6/9(月) ▲1.4(0.11%) NYプラチナ : 1,454.3 ドル 6/9(月) ▲1.3(0.09%) ドル円 : 102.52 円 6/9(月) ▼0.01(0.01%)
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