金プラチナ短期相場観

金プラチナ短期相場観

米国の影響力低下と米雇用統計の市場への影響力低下

更新日:2014年6月7日(土)

今週ベルギーのブリュッセルで、ロシア抜きのG7サミットが17年ぶりに開催され、ウクライナのポロシェンコ次期政権への支持やロシアへの非難を盛り込んだ首脳宣言を採択し、追加制裁の可能性に言及して閉幕しました。そのロシア・プーチン大統領は6日、フランスで開催されるノルマンディー上陸作戦70周年記念式典でフランス、英国首脳と相次ぎ会談予定。秋には訪日も予定されます。米国には同調するG7と言えども各国それぞれの事情があり、対ロシアの関係においても昔の東西冷戦のようにはいきません。今や世界は多極化の時代、世界に対する米国の影響力もかなり低下しつつあるようです。

昨日はその米国のビッグイベント、雇用統計が発表され、5月分はそれなりの好結果となりました。非農業部門雇用者数(NFP)も失業率も市場予想を上回り、労働市場の改善傾向維持を示し、今年のNFPの年間平均は+21.4万人で過去10年間で最大水準となっています。さらに、2010年から2014年5月までの合計は+877.8万人に達し、金融危機の2008-2009年の2年間で失われた866万人の雇用を完全回復しています。
それでも、サプライズ感には乏しかったためかドル高の流れは限定的に。しかも発表直後には乱高下で急落する場面も。

イエレンFRB体制となって以降、一部の経済指標重視ではなく、様々な指標を幅広くチェックする方向へと変わりつつあるため、NFPや失業率が多少良かっただけではドル買い材料としては役不足となりつつあるようです。
雇用関連で注目される主な指標を並べたイエレン・ダッシュボードの状況は、
1)非農業部門雇用者増減数(+16.2万人)→5月分:+21.7万人
2)失業率(5%)→5月分:6.3%※前月と変わらず
3)労働参加率(66.1%)→5月分:62.8%※前月と変わらず
4)長期失業者の割合(19.1%)→5月分:34.6%※前月の35.3%から小幅改善
5)広義の失業率(8.8%)→5月分:12.2%※前月の12.3%からわずかに改善
※括弧内は2004-2007年の平均的水準で回復の目安となりうる数値
全9項目のうち5項目で最新分が発表され、相変わらずNFP以外はリセンション前の水準には届きませんが、改善傾向にはあります。
その他、平均時給も前年比+2.1%となり、予想をわずかに上回り、4月の2.0%からも小幅増となっています。

長期債利回りの低迷による影響も大きいようですが、米雇用統計の市場への影響力も少しづつ低下してきているのかもしれません。

NY金・週足チャート 2014/1/20 - 6/66日のNY市場、NYダウとS&P500、DAXが連日の過去最高値更新となるなか、金相場は0.06%の小反落。米5月雇用統計の好結果に対してドル円が乱高下となったことに連動するように小幅に上下動。1,245ドルまで下げて再び1,250ドル台前半へと戻す展開。5月30日から6日連続で安値1,240ドル台をつけて足場を固め、この週末にようやく1,250ドル台へと水準を切り上げて反発の兆しも。
週間ベースでは+6.9ドル(+0.55%)となり、3週間ぶりの反発。

NYプラチナ・週足チャート 2014/1/20 - 6/6プラチナ相場は0.55%の上昇で3日続伸。1週間前の水準をわずかに上回り、5月後半からの下落局面から脱しつつある状況。下方向の節目は1,430ドル。
週間ベースでは+0.3ドル(+0.02%)の小幅反発ながら下ヒゲの長い陽線を形成し、反発の可能性を示唆。

ドル円・週足チャート 2014/1/20 - 6/6ドル円は0.12%の小反発。雇用統計の好結果に102円30銭台から102円50銭台へと急騰したのは一瞬で、その後102円10銭台まで急落。その後はドル買い優勢で一時102円60銭まで買い戻し。株高の流れに追随も米長期債利回りの低迷に連れて伸び悩み。上値目標水準は103円10銭近辺。
週間ベースでは+0.75円(+0.73%)の反発。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/6終値とチャート

2014年6月7日(土)時点の相場
国内金4,426 円 6/6(金) ▲20(0.45%)
国内プラチナ5,054 円 6/6(金) ▲9(0.18%)
NY金1,252.5 ドル 6/6(金) ▼0.8(0.06%)
NYプラチナ1,453.0 ドル 6/6(金) ▲7.9(0.55%)
ドル円102.54 円 6/6(金) ▲0.13(0.12%)

6/6(金)のその他主要マーケット指標

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