金プラチナ短期相場観
消費増税先送りに賛否両論、それでも円安継続で国内金価格も上昇
更新日:2014年11月19日(水)
予想どおり、というより予定どおり消費増税先送りが決定し、衆院解散・総選挙を表明した安倍総理。増税先送りに伴う景気下振れ回避、追加の景気対策への期待も高まり、GDPショックからの復活と景気回復基調への回帰も見込まれるところです。
杓子定規の財政健全化によって景気低迷が続くようでは本末転倒、景気安定を優先すべき、との考えはサマーズ元米財務長官他多数の賛同者もあり、好感するメディアも多いようです。
しかし、増税先送りは肯定しつつも、ウォール・ストリート・ジャーナルのようにアベノミクスの失敗を指摘する論調も見られます。総選挙での野党側の格好の争点にもなります。
少し前に、格付け会社S&Pは消費増税先送りによる景気回復優先を評価するコメントを出していましたが、フィッチ・レーティングスは「日本の消費増税先送りは格付けにとって重大な展開」との見解を示し、年内に格付け見直しを終了するとしています。現時点での日本国債の格付けはS&Pが「AA-」で見通しネガティブ。フィッチは「A+」のネガティブ。現状でもフィッチのほうが厳しめの評価をしていますが、追加の景気対策などの状況によっては格下げの可能性も生じそうです。
安倍内閣の長期政権確立で景気対策なども順調に進み、消費増税先送りの効果が見られ始めるようなら、日本株高・円安ドル高基調がさらに継続することになりそうです。もし、期待通りの効果が見られないようなら、日本株は反落へ。ただし、米国経済の堅調推移の足を引っ張ることさえなければ、たとえ格下げでも、日本国債売りに伴う円安基調継続へ。
よほどのことがない限り、しばらくは円安基調継続の可能性は高そうです。これに伴い、国内金価格もサポートされやすい状況が続くことになります。
18日のNY金相場は1.15%の大幅反発。欧州時間から徐々に反発傾向を強め、ドイツのZEW景況感指数の上振れによるユーロ買いドル売りに連動して急騰すると一時10月31日以来の1,200ドル台へ。結局10月21日高値1,255.6ドルから11月7日安値1,130.4ドルまでの下落幅に対する61.8%戻しライン1,207.8ドル手前で失速、50%ライン1,193ドル近辺に収束し、上値目標1,190ドル台半ばにしっかりと到達した状態。短期上昇トレンド継続で次の上値抵抗線は61.8%ライン。サポートラインは1,150ドル台。
プラチナ相場は0.27%の小反発。金に連れ高となった場面でも1,210ドル台半ばでは上値が重く、1,190ドル台から1,220ドルのレンジ内での上下動を繰り返す保ち合い相場継続。緩やかな上昇トレンドに移行できそうでできない状態で金との価格差は今年最小となる7.5ドルまで縮小。
ドル円相場は0.18%の小幅高で4日続伸。安倍首相会見までジリ高の展開で117円05銭まで上昇、会見開始直前に発表された独ZEW指標の好結果に伴うユーロ買いドル売りに連れ、一時116円台前半まで急落。事実で売る流れも重なった様子も、それほど長続きせず116円台半ばから後半での揉み合い状態へ。2日連続で117円05銭近辺で上値を押さえられたことで抵抗感も高まりやすいところながら、今朝時点で既にこの水準を突破し、2007年10月16日以来の高値水準となる117円20銭近辺まで上昇。反落リスクとともに、日本株買いとドル買い円売りの流れもまだしばらく継続の様相。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場11/18終値とチャート
19日の国内金価格は1.16%の大幅高で4日続伸。3日連続の年初来高値更新。止まらない円安基調に加え、NY金の大幅反発というダブルサポートにより、行き過ぎ局面継続の場合の上値メド4,770円近辺をクリア。4,800円台到達は昨年5月15日以来。移動平均線が上から昇順に並ぶパーフェクトオーダー状態となり、短期上昇トレンド終盤を示唆している可能性も。
プラチナ価格は0.44%の反発。金と同様に円安サポートを受けながら、緩やかなマイペースでの昇トレンドが継続。上値目標4,830円近辺にほぼ到達し、4,880円近辺の第2目標水準も視野に。サポートラインは4,740円台。
※参考:金プラチナ国内価格11/19とチャート
- 2014年11月19日(水)時点の相場
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国内金 : 4,803 円 11/19(水) ▲55(1.16%) 国内プラチナ : 4,822 円 11/19(水) ▲21(0.44%) NY金 : 1,197.1 ドル 11/18(火) ▲13.6(1.15%) NYプラチナ : 1,204.6 ドル 11/18(火) ▲3.3(0.27%) ドル円 : 116.85 円 11/18(火) ▲0.21(0.18%)
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