金プラチナ短期相場観

金プラチナ短期相場観

金融政策正常化に向けて、より緩和的な利上げフェーズへ

更新日:2015年3月24日(火)

フィッシャーFRB副議長は、年内にFRBが利上げに踏み切る可能性が高いことを明言すると同時に、利上げフェーズに入っても従来のように一定の間隔で利上げが続くような形にはならず、その都度引き上げ、引き下げの双方を検討することを強調しました。かなりスローペース、あるいは小刻みの利上げフェーズになるだろう、との見込みは従来からイエレン議長やFRB関係者の言及、前回FOMCでのFF金利予想からも示唆されていましたが、今回、FRBでの重要なポジションを担うフィッシャー副議長が言及したことで、より緩和的な利上げフェーズとなることが確実視されます。

また、労働市場は完全雇用に近づいているとしながらも、労働市場の一段の回復とインフレ率の中期目標2%に向けてのメドが、金融引締めへの条件であることにも言及しています。
インフレ率低迷状態からの脱却と、政策金利の上げ下げを主要手段とする金融政策正常化へと早めに移行したいという思惑とで葛藤するFRBの苦悩が表れます。

先日のFOMCでは、GDP見通しやインフレ見通し、金利見通しとともに、失業率の見通しも引き下げられていました。
2015年末が前回の5.2-5.3%から5.0-5.2%へと引き下げられたのと同時に、長期見通しも前回までの5.2-5.5%から5.0-5.2%へと引き下げられています。長期見通しが引き下げられたのは失業率のみ。

現在の改善状況が比較的順調なので、このままならもう少し下がるだろう、という安直な予想とともに、やや不安要素も見え隠れします。
2月分の雇用統計で発表された失業率は5.5%。前回までの長期見通しの上限に、既に到達していました。
通常、失業率が低下すればインフレ率上昇へとつながるはず。
しかし、失業率がいくら低下しても低インフレ状態が続く状態にあり、同じように失業率低下とともに上昇圧力が増すと思われた賃金にも上昇の気配が見られない状況。

従って、物価上昇と賃金上昇を促すためには、従来よりもさらに失業率が低下する必要があると考えられ始めているものと推測されます。
労働市場とインフレのアンバランスな状態が進行すると、いくら失業率が低下してもインフレ率も賃金も上昇しない、という状態に陥ることはないのでしょうか?

労働市場が一段と回復しても、インフレ率2%へのメドがなかなか立たなければ、金融引締めを行うことはできないことになります。

NY金・日足チャート 2015/2/20 - 3/2323日のNY金相場は0.26%の小幅高となり4営業日続伸。米2月の中古住宅販売件数も予想を下回り、相変わらず雇用以外は冴えない米経済指標もドル全面安の流れを後押し、堅調推移が続く金は3月6日以来、2週間ぶりの高値圏となる1,191ドルまで上昇。ようやく1,200ドルの大台も見えてきたものの、ここから先には38.2%戻しラインの1,205.1ドル、90日移動平均1,210ドル、2月末高値1,213.1ドルなどの抵抗水準も多く、減速しやすい状況。

NYプラチナ・日足チャート 2015/2/20 - 3/23プラチナ相場も0.29%の小幅上昇で3日続伸。ようやく流れも好転し始めたところで21日移動平均線にぶつかって上値を押さえられる形に。1月末からほぼ2カ月間、抵抗線となっている21日移動平均線を超えられない状態が続くようなら反落リスクも高まることに。

ドル円・日足チャート 2015/2/20 - 3/23ドル円は0.37%の続落。120円の節目をはさんだ揉み合い状態から、欧州時間以降は119円台後半へと水準を切り下げる軟調推移が継続。120円のサポートラインを割り込んだことで、ドル売り円買いの流れはもう少し続きそうな状況。目先の下値目標水準は118円台後半。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/23終値とチャート

24日の国内金価格は0.1%の小幅高で4日続伸。やや円高、やや金買いの流れ継続で緩やかな堅調推移へ。9日移動平均線も上向き始め、4,950円台の目標水準を目指す緩やかな上昇基調継続が見込まれる。

プラチナは0.36%続伸で方向感は好転。9-21日の短期移動平均線がいずれも水平状態となり、以前から水平状態の90日移動平均線を含めて全て水平状態へと移行し、ようやくニュートラル状態。4,570円台から4,900円台までの間でレンジ形成へ。
※参考:金プラチナ国内価格3/24とチャート

2015年3月24日(火)時点の相場
国内金4,907 円 3/24(火) ▲5(0.10%)
国内プラチナ4,733 円 3/24(火) ▲17(0.36%)
NY金1,187.7 ドル 3/23(月) ▲3.1(0.26%)
NYプラチナ1,144.5 ドル 3/23(月) ▲3.3(0.29%)
ドル円119.70 円 3/23(月) ▼0.45(0.37%)

3/23(月)のその他主要マーケット指標

明暗分かれる製造業PMI(景況感) 3/25(水)

金融政策正常化に向けて、より緩和的な利上げフェーズへ 3/24(火)

国内金価格の長期三角保ち合い 3/23(月)

南アランド建てプラチナ相場のサポートライン:13000ランド 3/21(土)

ドル高警戒感vs金利上昇警戒感 3/20(金)


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