金プラチナ短期相場観
利上げ警戒感が急速に高まった時期の下落率
更新日:2015年6月8日(月)
イエレンFRB議長が講演で「年内の利上げは妥当」となるだろうと発言した5月22日以降、それまで低調続きだった米経済指標の好転も目立ち始め、雇用統計も大幅に上振れ。この間、フィッシャー副議長やダドリーNY連銀総裁からも同調発言が聞かれ、市場の利上げ織り込み度も微妙に前倒しが進んでいます。
そんな背景から、ドル買いの流れが進み、金は軟調推移が続きます。この利上げ警戒感が急速に高まった期間の下落率を比較してみます。
ドル円:121.53(5/22)→ 125.57(6/5)+4.04(+3.32%)
NYダウ:18,232.02 → 17,849.46 -382.56(-2.10%)
NYゴールド:1,204.0 → 1,168.1 -35.9(-2.98%)
NYプラチナ:1,148.6 → 1,092.0 -56.6(-4.93%)
米国経済が好調の時には、しばしば強い相関関係を示すドル円とNYダウの関係性は崩れ、利上げへの警戒感から米株の下落基調が強まり始めています。結果的に、NYダウとNY金の短期的な相関関係が強まっています。
ここ数年、逆相関関係が最も強いNY金とドル円の関係性は、相変わらず継続してはいますが、このところ急速に弱まっています。
現在、ドル円との逆相関関係が最も強いのはNYプラチナ。
ドル高に伴う下落率を見ても、金は比較的底堅さも見られる状況となりつつあり、NYプラチナは地合いの弱さが目立つ状況となっています。
なお、利上げへの警戒感が高まりやすく、ドル高に対して売られやすい新興国通貨のなかで、この期間で最も下落したのは南アランド。
5月22日の1ドル=11.90ランドから6月5日には12.58ランドまで上昇し、5.72%のドル高南アランド安、13年ぶりランド安水準の更新が続きます。
プラチナとの逆相関関係が強い南アランド相場が、対ドルで下落し続けていることも、プラチナ安の要因のひとつとなっているようです。
8日の国内金価格は0.34%の反発。雇用統計上振れに伴うNY金の下落よりも円安サポートが上回り、4月末から続く緩やかな上昇トレンドを維持。しかし、その流れは失速状態にあり、高値圏での揉み合い形成へ。5100円のレジスタンス超えなら5100円台半ばを目指す上昇トレンド再加速へ。5040円台のサポートラインを割れると90日移動平均線が横たわる4980円台辺りまでの下落余地。
プラチナは0.76%上昇としっかりめの反発。下値目標4710円台に対してわずかに届かず流れが変わった可能性も。今朝時点で1100ドルの大台近辺まで戻してきているNYプラチナの持ち直し状態が続くようなら、5月半ばから続いた短期下落トレンドもいったん終了の可能性。ただし現状ではまだ流れは下向きで、21日移動平均線をデッドクロスした9日移動平均線に上値を押さえられている状態。ここを超えると4780円台が当面の抵抗水準に。
※参考:金プラチナ国内価格6/8とチャート
- 2015年6月8日(月)時点の相場
-
国内金 : 5,061 円 6/8(月) ▲17(0.34%) 国内プラチナ : 4,759 円 6/8(月) ▲36(0.76%) NY金 : 1,168.1 ドル 6/5(金) ▼7.1(0.60%) NYプラチナ : 1,092.0 ドル 6/5(金) ▼7.2(0.66%) ドル円 : 125.57 円 6/5(金) ▲1.22(0.98%)
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