金プラチナ短期相場観

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株価と金の一段安を救った?かもしれない世銀とNY連銀

更新日:2015年9月16日(水)

世界銀行は、米国の利上げに伴う世界経済と金融市場への悪影響を指摘し、新興国の通貨危機などへの懸念も示し、報告書の形でFRBをけん制しました。これまでにも世銀のエコノミストからは利上げ見送りを主張する声は挙がっており、IMFやローレンス・サマーズ元米財務長官などとともに、利上げ反対論側の勢力拡大の構図となってきました。

米国の経済指標もこれに加勢するかのように、ここに来て利上げを否定するような結果が続出しています。
8月の小売売上高は予想を下回る前月比0.2%にとどまり、7月分こそ0.1ポイント上方修正されましたが、今年3月の1.5%をピークに着実に低下傾向を示しています。
NY連銀製造業景況指数の推移 2015年9月サプライズとなったのはNY連銀の製造業景況指数。9月分は市場予想の-0.5を大幅に下回る-14.67。リセッション時の2009年4月以来6年4カ月ぶりの低水準へと急落した8月の-14.92とほぼ同水準。新規受注や出荷などの個別指数も数年来の低水準が続き、雇用も前月のプラス圏から遂にマイナス圏へと陥落。
8月分の6カ月先予想は好結果となって一時的な下振れの可能性を示していたものの、9月分ではこれも2013年1月以来の低水準へと低下。現状も見通しも最悪状態に近く、これだけを見ると、利上げを行う国の中心エリアの経済指標にはとても見えません。

この後発表された8月の鉱工業生産と設備稼働率も予想を下回り、鉱工業生産では7月分が0.6%から0.9%の高水準へと上方修正されたものの8月分の-0.4%は今年5月と2013年7月、2012年8月と並ぶ低水準。

本来なら大幅下落となりそうな米株は、一連の低調な経済指標が今回ばかりはサポート材料となって大幅反発。利上げ先送り感台頭による思惑買いか、もしくはそれを見込んだ一部の投機筋の買いが先導する形となった模様。
本来ならリスク回避の株安で買われそうな金は、利上げ先送り感と株高の流れとの板挟みに、行き場を失ったかのような膠着状態に。

世銀とNY連銀の指標によってサポートされた形の米株は、このまま利上げ見送りなら一段安の危機から反発基調へと転じる可能性が高まりそうです。
利上げ見送りでサポートされそうな金も、一段安の危機は回避も株高が進み過ぎた場合には、上げ幅は限定的となるのかもしれません。

NY金・日足チャート 2015/8/14 - 9/1515日のNY金相場は0.46%の反落。9日の日に1100ドル付近まで下落した翌日からは4日連続で1100-1110ドルの小幅レンジ内での小動き。この2日間は高値も安値もレンジ内に収まり、15日の値幅は前日よりもさらに縮小、わずか7ドルで今年3番目の小動き。株価や為替がFOMCを前にして落ち着かないような値動きとなっているのに対し、金は静観の構え。結果確認後に大きく動き出す前ぶれの様相も。上下双方向へのレンジブレイクに伴う見込み値幅20ドル程度は短時間で到達してしまう可能性も。

NYプラチナ・日足チャート 2015/8/14 - 9/15NYプラチナ相場は0.29%の小幅反発。前日からの軟調推移の延長戦上で一時950ドル割れまで下げたことで、ゆるやかながらも反発基調に転換。目標水準到達により、今回の短期下落局面にはいったん区切りをつけた可能性も。ここからはFOMC動向に伴う株価と金の動向に連動する形で上下に振られる展開か。利上げ決定なら下方向、先送りなら上方向へ。

ドル円・日足チャート 2015/8/17 - 9/15ドル円は3日ぶりの反発も0.15%の小幅高と限定的。しかし日銀追加緩和を期待する向きが予想以上に多かった様子で120円60銭台まで上昇した後には失望売りで119円40銭台まで下落し、5日ぶりの安値水準。NY時間には米株の上昇に連れて120円台半ばを回復と荒い値動きで下方向への行って来いとなり、長い下ヒゲを残す形に。しかし上値も120円70銭付近の多数のテクニカル指標が集中する重要水準にしっかりと抑えられた状態。利上げ決定とならない限りこの水準を超えられない可能性も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場9/15終値とチャート

16日の国内金価格は0.39%の小幅安で3日続落。今年安値更新で節目の4580円割れとなり、三角保ち合い先端付近で耐え切れず下方ブレイクしてしまった形。現時点では下方向への流れが加速する可能性が高まり、目標水準としては4510円付近。しかし、利上げ見送りでNY金反発、ドル売り円買い限定的となれば大きく切り返す可能性も。4630円の抵抗線超えなら流れ反転で4700円台を目指す反発基調へ。

プラチナ価格は3日ぶりの反発で0.38%の小幅高。下値メド3980円台到達に伴う達成感からの反発も限定的。イベントがなければこの近辺での揉み合い形成か若干の反発基調となる可能性も。利上げ見送りなら反発基調への転換をサポート、予想外の利上げ決定なら株や金に連れて一段安へ。3980円台を割り込んだ場合の下値警戒水準は最大で3880円近辺も。
※参考:金プラチナ国内価格9/16とチャート

2015年9月16日(水)時点の相場
国内金4,578 円 9/16(水) ▼18(0.39%)
国内プラチナ4,001 円 9/16(水) ▲15(0.38%)
NY金1,102.6 ドル 9/15(火) ▼5.1(0.46%)
NYプラチナ958.2 ドル 9/15(火) ▲2.8(0.29%)
ドル円120.41 円 9/15(火) ▲0.18(0.15%)

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