金プラチナ短期相場観
金とプラチナの相関関係低下後には同時上昇トレンドがやってくる
更新日:2015年9月30日(水)
9月29日時点でのNY金相場とプラチナ相場の30日間相関係数は0.26219。9月18日以降0.70を割り込み、急落状態となっています。
通常、NY金相場とNYプラチナ相場は強い相関関係にあり、非常に似通った推移となりますが、時折り相関関係が崩れる場面も見られます。今回は、9月半ばからの金相場上昇に対し、プラチナが急落局面を迎え全く逆方向への動きとなった結果、相関係数が急落しました。
過去数年間の推移を見ても、両者の30日間相関係数は0.8から0.9以上の強い相関関係を示す水準での推移時間が長く、その数値が低下しても短期間にとどまってすぐに反発するケースが多く、0.4以下の水準(ほとんど無関係状態)まで落ち込むケースは非常に稀です。
過去数年でそんなケースが数回発生しましたが、全て短期間のうちに相関係数は0.8以上へと急反発しています。
そして、相関係数の急反発とともに、あるいは若干遅れるケースもありましたが、必ず金とプラチナは同時上昇トレンドを形成してきました。
同時上昇トレンドを形成するから相関係数も急上昇する、ともいえますが、同時下落トレンドでも相関係数は急騰します。
現在0.26台にある30日相関係数が底打ちしたかどうかの判断はまだできませんが、今回の金とプラチナのデカップリング状態が解消に向かうとき、同時上昇トレンドを形成する可能性は高まります。
29日のNY金相場は0.43%安で3日続落。株安ドル安が進行し、プラチナも連れ安となった日中の流れに追随するように1120ドル台前半まで値を下げた後、1130ドル台へと小幅反発。コンファレンスボードの米9月消費者信頼感指数が1月以来の高水準となったことを受けて反落すると再び1120ドル台へと水準を切り下げる展開。やや方向感喪失気味で1120ドル台から1150ドル台までのレンジ内下方推移。下限割れの場合には1100ドル近辺が下値メドに。
プラチナも0.59%安で3日続落。東京時間の株安ドル安の流れに連れて水準を切り下げると瞬間的に900ドルの大台を割り込む899.5ドルまで下落。下値メド900ドル前後の水準に早々の到達となったこともあり、その後は反発基調に転じて大きく値を戻す展開。8月21日高値からこの日の安値までの値幅に対する38.2%戻しの水準が952.6ドル。この近辺が当面の上値抵抗水準となりやすく、超えると流れも変わりやすい水準だが。
ドル円は0.15%の小幅ドル安円高の続落。円高方向へと動き出したかに見えた流れは119円20銭台までで切り返し、株価反発とともに再び120円近辺まで持ち直す展開に。消費者信頼感指数が予想を大きく上回ると120円16銭まで上昇も、米株の伸び悩みとともに120円台では上値も重い状態に。119円付近の下値の堅さを再確認する結果とはなったものの、流れはやや円高方向へと傾きつつある状況は変わらず、マイナス材料があれば一段安となり、下値目標118円割れの可能性を維持。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場9/29終値とチャート
30日の国内金価格は0.32%の小幅安で3日続落。下向きの90日移動平均線と上向きの9日移動平均線、21日移動平均線は下げ止まって水平からわずかに上向きへ、とほぼニュートラルな状態。短期的にはわずかに上方向への可能性を残し、長期サポート水準4600円台半ばを維持する状態にあり、4630円台辺りまでの水準ではサポートされやすいところ。ただし、ここからは経済指標の結果で上下に大きく振られる展開も予想される。万が一、今年安値を更新するような状況となった場合には、61.8%割れ水準、昨年後半安値4470円台辺りまでの下押しの可能性も。
月間ベースでは-75円(1.59%)の反落。
プラチナ価格は0.69%の反発。長短期ともに下落トレンド進行中。短期的には下落基調が加速した直後の自律反発も限定的となり、9日移動平均線からの下方乖離が拡大し過ぎ。通常なら9日移動平均線の3940円台辺りまでの反発があっても全くおかしくない状況。しかし、通常ではない現状では下方リスクを抱える状態が続き、もし早々に3770円台を割りこむような状況となった場合にはさらなる大幅安の可能性にも警戒。最大では3600円を大きく割りこむようなケースもあり得なくはない状態。
月間ベースでは-429円(10.14%)の大幅安となり、4カ月続落。下落率としては2013年6月(-13.6%)以来、4カ月続落は2012年3月から6月まで以来。
※参考:金プラチナ国内価格9/30とチャート
- 2015年9月30日(水)時点の相場
-
国内金 : 4,649 円 9/30(水) ▼15(0.32%) 国内プラチナ : 3,801 円 9/30(水) ▲26(0.69%) NY金 : 1,126.8 ドル 9/29(火) ▼4.9(0.43%) NYプラチナ : 917.1 ドル 9/29(火) ▼5.4(0.59%) ドル円 : 119.74 円 9/29(火) ▼0.18(0.15%)
中国発世界経済の先行き不透明感はわずかに緩和、米国は? 10/1(木)
金とプラチナの相関関係低下後には同時上昇トレンドがやってくる 9/30(水)
スイスの資源大手グレンコアの破綻懸念リスク?に戦々恐々 9/29(火)
長期サポート水準で反発し始めた金、下抜けてしまったプラチナ 9/28(月)
ちらつき始めたシャットダウンリスク、FRB政策判断遅延要因にも 9/26(土)
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン