金プラチナ短期相場観
雇用統計の好結果にも中国不安は払拭されず
更新日:2016年1月9日(土)
12月の米雇用統計では、失業率は7年ぶり低水準の5.0%を維持し、非農業部門雇用者数(NFP)は3カ月連続で市場予想を上回り、前月比+29.2万人の大幅増。過去2か月分も合計5万人の上方修正となり、ポジティブ・サプライズと言える好結果。
平均時給が11月の25.25ドルから25.24ドルへとわずかに減少し、前月比-0.04%となったことをマイナス材料とする向きもあるようですが、前年同月比では+2.52%となっており、2009年7月(+2.59%)以来、6年5カ月ぶりの大幅上昇でプラス材料。2014年12月分でも前月比は-0.24%と減少しましたが、翌1月にはその反動で+0.57%の大幅上昇となりました。
賃金上昇傾向が今後のインフレ支援材料となり、FRBの年4回利上げという思惑への支援材料となっていく可能性が示唆された形です。
しかし発表後、市場はリスク資産の急騰で反応しましたが、上昇幅は限定的となって反落、1カ月前と同じような初期反応となりました。前回はドラギショックやFOMC(利上げ)前という状況からの警戒感も影響した模様ですが、今回は年初来の中国不安再燃や地政学リスクによるリスク回避の流れが続いた局面で、その流れに戻ってしまった様子。株価やドル円などは発表直前の水準まで戻すだけでは済まず、下げ幅を更に拡大する流れとなっています。
NYダウは年初1週間で1000ドル以上の下落となり、下落率6.19%は昨年8月17日からの週の5.82%を超え、近年最大の大幅下落となりました。
雇用統計の好結果にも株安円高、ドル高新興国通貨安などのリスク回避の流れが収束することはなく、中国不安を中心とする年初の波乱相場継続の様相を呈しています。中国不安を払拭するためには、中国当局の小手先の対応ではなく、イエレンFRB議長によるマーケットを落ち着かせるような発言が待たれます。
また、好材料への反応が極めて限定的となってきている最近の状況からすると、市場の大きな流れが変わり始めている可能性にも警戒しておくべきかもしれません。
8日のNY金相場は0.89%安で6日ぶりの反落。雇用統計の好結果には1100ドル付近から10ドルほどの急落、しかし株価の上値もドル買いも限定的となって流れは反転。市場のリスク回避ムード払拭には至らず、むしろ再燃で米株などは下げ幅拡大、今朝にかけては売りが加速する展開となり、金は1100ドル台を回復。結果的に1090ドル付近がサポート水準となって堅調推移を維持、週明けにかけて一段高も予想されそうな流れに。
週間ベースでは+37.7ドル(3.56%)の反発。3.56%の上昇は昨年夏の中国ショック時、8月17日からの週(+4.21%)以来の上昇率。
NYプラチナ相場は0.14%の小幅続伸。雇用統計後の反発局面は880ドル台半ばまで、890ドルの抵抗水準を超えられない状態は2週間継続。株価反落の流れと金の反発の流れにどっちつかずで方向感喪失気味の状態。870ドル近辺から890ドルまでのレンジ推移が続きそうな状況で下方向へは850ドル辺りまでの下落余地も、上方向にはレンジ上限が重く、その分突破できれば大幅高への可能性も。
週間ベースでは-13.0ドル(1.46%)となり、4週間ぶりの反落。
ドル円は0.21%のドル安円高で6日続落。人民元急落と中国株式市場のパニック一服からのリスク回避ムード後退で118円台前半へと反発した東京市場からは雇用統計待ち状態へ。予想外の好結果となった雇用統計に118円台後半へと急騰したのは一瞬、30分後には元の水準を割り込み、好材料出尽くしの売りと中国リスクへの警戒感再燃でリスク回避の流れ再開。前日安値117円30銭付近まで下落し、終値では売られ過ぎ過熱感を維持した状態で2月4日(117円20銭台)以来の円高水準へ。雇用統計が反発へのきっかけとならず、いつ反発してもおかしくない状況のなかでも、いつ晴れるかわからない中国リスクへの不透明感が継続し、8月安値116円10銭台への警戒感も高まることに。
週間ベースでは-2.89円(2.41%)の反落。2013年8月前半(-2.7%)以来、2年5カ月ぶりの大幅下落。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場1/8終値とチャート
- 2016年1月9日(土)時点の相場
-
国内金 : 4,494 円 1/8(金) ▲24(0.54%) 国内プラチナ : 3,559 円 1/8(金) ▼52(1.44%) NY金 : 1,097.9 ドル 1/8(金) ▼9.9(0.89%) NYプラチナ : 878.7 ドル 1/8(金) ▲1.2(0.14%) ドル円 : 117.42 円 1/8(金) ▼0.24(0.21%)
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