金プラチナ短期相場観
米国vs中東・中国・北朝鮮の構図で金は上昇へ
更新日:2016年1月7日(木)
米FOMC議事要旨では、ほぼ全員がインフレ目標2%への上昇を合理的に確信した反面、一部には物価の先行き不透明感を懸念する声もあり、2016年の利上げペース鈍化への懸念を裏付ける内容となっていました。
年4回の利上げを見込んだ12月FOMCから半月余り経過し、物価先行き不透明感以外にも、複数の外的要因が懸念材料として乱立し始めました。
年初からの中国人民元安と株価暴落状態は、昨年夏の勢いで世界を巻き込む同時株安状態を引き起こし、今朝も人民元安からのリスク回避の株安円高が急速に進行。中国株式市場では4日に続いてまたもサーキットブレイカー発動、再開、終日売買停止の悪循環となっているようです。
サウジアラビアのイランとの国交断絶からの中東情勢不安に加え、昨日は北朝鮮の水爆実験発表という想定外の地政学リスクも加わり、市場の警戒感を増幅しています。
金融政策正常化に向かう米国vs中東・中国・北朝鮮のリスク要因、という構図が出来上がり、年初のマーケット混乱状態は収束の兆しがなかなか見えない状況となってきました。特に警戒すべきは人民元安と原油安の動向、でしょうか。
日経平均は21年ぶりとなった大発会からの3日続落をさらに更新濃厚となり、ドル円相場は昨年10月安値118円00銭台を今朝下抜けて一時117円60銭台まで下落、8月24日の急落でつけた安値116円10銭台も意識される展開となっています。
リスク回避の株安連鎖とドル買い円買い、債券買いとともに金も買い優勢の流れとなり、このまま行くと週末の雇用統計で多少の好結果はスルーされそうな展開にもなりかねない状況です。むしろ、悪い流れが続くパターンとして、雇用統計も予想外の悪化、というケースも想定しておくべきかもしれません。
6日のNY金相場は1.25%の大幅高で4日続伸。年初から続く中東・中国不安に想定外の北朝鮮リスクも加わり、リスク回避の流れが加速。コンスタントな上昇基調を描き、終値ベースでは昨年11月5日以来2カ月ぶりの高値水準へ。節目の1080ドル突破にようやく成功、上昇トレンド形成への可能性が開け、目標水準は最大で1130ドル近辺。ただし、雇用統計前というタイミングと一目均衡表の雲の下限に達したテクニカル的な抵抗感が目先の上値を押さえる可能性。週末時点で現在の水準以上を維持していることがトレンド形成への必要条件。
NYプラチナ相場は1.69%の反落。900ドルの大台ラインを何度もトライして失敗、終値ベースでは890ドルを超えられない状態が続いたことにより失速、欧米株安に連れる形で880ドル割れへと急落。910ドルの目標水準を目指した上昇トレンドはいったん仕切り直し、850ドル程度まで下値余地も拡大。改めて890ドル台を完全に上抜けることができれば上昇トレンド再開へ。
ドル円は0.5%の大幅ドル安円高で4日続落。中国・人民元安への警戒感から急落し、北朝鮮の地政学リスクによる株安への連動で上値を押さえられ、中東情勢ではサウジ・イラン対立によるOPEC調整への期待感後退も原油安基調を後押しする状況となり、ドル高円高の綱引き状態に。ADP雇用の好結果にも反発は限定的に。118円20銭台までしっかり下げたことで目標水準には到達。これ以上想定外の材料が続かなければ反発の可能性も高まる場面だが・・・。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場1/6終値とチャート
7日の国内金価格は1.11%の大幅高で3日続伸。リスク回避の円高を上回る安全資産の金買いで2週間ぶりの水準を回復し、ゆるやかな下落トレンドを脱した可能性。4400円から4500円のレンジで方向感を見極める展開へ。NY金が上方向への節目を突破出来れば国内価格も上限突破で上昇トレンド形成へ、最大で4600円台半ば辺りまでの流れがスタートする可能性も。急反落で4400円を割れた場合には下値余地4300円まで。
国内プラチナ価格は1.69%の大幅反落。円高プラチナ安で約2週間ぶりの安値水準となり、下落余地3600円程度にほぼ到達。12月半ばからの上昇基調は失速した形だが、再び安値トライへと向かう可能性は今のところは低いと見る。3710円を上限に揉み合い形成も。
※参考:金プラチナ国内価格1/7とチャート
- 2016年1月7日(木)時点の相場
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国内金 : 4,470 円 1/7(木) ▲49(1.11%) 国内プラチナ : 3,611 円 1/7(木) ▼55(1.50%) NY金 : 1,091.9 ドル 1/6(水) ▲13.5(1.25%) NYプラチナ : 875.0 ドル 1/6(水) ▼15.0(1.69%) ドル円 : 118.47 円 1/6(水) ▼0.59(0.50%)
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