金プラチナ短期相場観

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FRBの追加利上げ根拠となる好調な労働市場にも減速傾向が

更新日:2016年2月5日(金)

ISM・雇用指数 2016年1月低インフレが続くなかでも唯一好調な(だった)米労働市場はFRBが利上げフェーズをスタートさせる重要な根拠となっています(ました)。しかし、その好調な労働市場の勢いは足下で減速傾向を示し始めています。
ISMの製造業・非製造業の景況感指数の雇用指数はいずれも急低下。製造業では昨年後半から低調で10月に47.7へと節目の50割れ、11月に50.8へと戻した後、12月には48、そして1月の45.9へと減速傾向が鮮明となっています。これに追随するように非製造業でも節目の50以上は維持しているものの、12月の56.3から1月には52.1へと急減速。

さらに、昨日発表された週間新規失業保険申請件数でも減速傾向が見られます。
件数では28.5万件と予想を少し上回り、前週からも小幅増加した状態で、好調の目安とされる30万件を下回る状態は11カ月続き、40年以上ぶりの長期間となっています。
しかし、昨年7月に41年ぶりの低水準となる25.5万件を記録したのがピークとなって以降、ゆるやかな増加傾向が続いています。4週移動平均でも10月の25.93がピークとなり、増加傾向に転じています。
増加傾向となって半年以上、4週平均でも3カ月以上経過し、節目の30万件超となる日も近いのでは?と思わせる水準となってきています。
雇用統計の調査対象週となる1月16日までの週には、29.4万件。昨年4月以来9カ月ぶりの水準となっていました。

ADP雇用者数では予想を上回る20万人台と好調を維持していましたが、雇用統計では思わぬネガティブな数字が飛び出さないとも限りません。
もし、そうなった場合には米国の景気減速への懸念が高まることになり、FRBの追加利上げへの思惑にも大きな影響を及ぼすことになりそうです。
また、多少の好結果となった場合でも、前回、前々回と同様にリスクオンの流れは限定的となることも想定できそうです。今の市場センチメントからは、その可能性が高いようにも思えます。
いずれにしても、金は底堅さを示す可能性が高そうです。

NY金・日足チャート 2016/1/5 - 2/44日のNY金相場は1.42%の大幅続伸で10月28日以来、3カ月と1週間ぶりの高値水準に。新規失業保険申請件数など米経済指標の弱さにドル安進行、追加利上げ先送りムードなどに支えられての堅調推移。10月高値1191.7ドルから12月安値1045.4ドルまでの下落幅に対する76.4%戻し(1157.2)を達成したことになり、100%戻しと1200ドルの大台回復が意識される水準。しかし、短期的にはやや買われ過ぎ。200日移動平均線を超えると数日間でピークを迎え、反落局面を形成してきたのがこの数年間のトレンド。調整局面でも200日移動平均線を維持し続けるようなら、長期トレンドが変わり始めた可能性も。

NYプラチナ・日足チャート 2016/1/5 - 2/4NYプラチナ相場は2.98%の大幅続伸。金の堅調推移と欧米株高傾向を好感するように連日の急騰で11月9日以来、3カ月ぶりの高値水準となり、短期目標水準900ドル台にも早々の到達。10月高値から1月安値までの半値戻し(919.1)付近まで反発し、3カ月ぶりの90日移動平均線超えとなり、プラチナ相場の現状トレンドでは反落警戒水準。

ドル円・日足チャート 2016/1/6 - 2/4ドル円は0.93%安で4日続落、この3日間だけで4円超のドル安円高となる急落状態で1月15日以来、3週間ぶりの円高水準。足下では同じようなペースでユーロ高ドル安なども進行するドル独歩安状態にあり、ドル・インデックスも3カ月ぶりの96ポイント台まで急落中で3カ月ぶりの水準へ。利上げ先送り観測が背景にあり、米株は比較的底堅く推移する状況。しかし、米国景気減速懸念がさらに高まる状況となれば、ドル安だけでなく米株安も再加速し、リスク回避ムードが一段と高まることにも。短期的には117円付近の目標水準を下抜けたことで、いったんは下げ止まりの可能性も高まるものの、1月20日安値115円90銭台が意識される状況に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場2/4終値とチャート

5日の国内金価格は前日比-1円と3日続落もこの2日間はほぼ変わらずの状態。堅調なNY金と円高急進との均衡状態が続く状態も、いずれもやや行き過ぎの状態にあり、戻り局面でのバランスの崩れ方が目先の行方を左右。雇用統計がポジティブとなって円高に歯止めがかかれば持ち直し方向か。単体で見れば上昇トレンドを維持。
週間ベースでは+87円(1.91%)となり、3週続伸。

国内プラチナ価格は1.53%の大幅続伸。1月末から続く上下動の激しい値動きで2月1日の3640円をわずかに上抜けたことで、上昇余地拡大の可能性が高まり、90日移動平均線(3732)手前、3710円台辺りまでが目先の目標水準に。ただし、雇用統計のネガティブサプライズをきっかけに株安傾向も強まる展開となった場合には、NYプラチナの反落とドル安円高の同時進行となる可能性も。
週間ベースでは+102円(2.88%)の続伸。
※参考:金プラチナ国内価格2/5とチャート

2016年2月5日(金)時点の相場
国内金4,642 円 2/5(金) ▼1(0.02%)
国内プラチナ3,649 円 2/5(金) ▲55(1.53%)
NY金1,157.5 ドル 2/4(木) ▲16.2(1.42%)
NYプラチナ906.3 ドル 2/4(木) ▲26.2(2.98%)
ドル円116.77 円 2/4(木) ▼1.10(0.93%)

2/4(木)のその他主要マーケット指標

強弱混在の雇用統計、ドル安の巻戻しにも円高、金は1170ドルへ 2/6(土)

FRBの追加利上げ根拠となる好調な労働市場にも減速傾向が 2/5(金)

ISM非製造業景況指数も急低下で米国経済減速懸念も急浮上 2/4(木)

急速に拡大するマイナス金利の影響と急速に縮小する緩和効果 2/3(水)

PCEデフレーターはFRBの思惑「中期的に2%」に向けた分岐点へ 2/2(火)


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