金プラチナ短期相場観
ISM非製造業景況指数も急低下で米国経済減速懸念も急浮上
更新日:2016年2月4日(木)
米サプライマネジメント協会(ISM)が3日発表した1月の非製造業景況指数は53.5となり、12月の55.8から急落。市場予想も大きく下回り、2014年2月以来ほぼ2年ぶりの低水準となりました。
低下傾向が続いていた製造業をフォローするように米国経済を支え、その数値水準も56近辺以上を維持していた状態から、製造業に連れるように急低下。主要構成指数も軒並み低下し、景気指数は60前後での推移から1月は53.9へと急落し、2012年8月以来3年5カ月ぶりの低水準。新規受注や雇用も2-4ポイントの低下となり、価格指数は12月の51.0から46.4へと節目の50割れ。
足下での世界景気低迷状態の影響は、製造業のみならず、非製造業にも波及してきた様子です。
3月初旬に発表される2月分の数値が急反発しない限りは、3月FOMCでの利上げ見送りは濃厚となってきました。
これまでのリスク回避の流れで危惧されたドル高懸念を緩和するように、ドルインデックスは99ポイント付近から97台前半へと急落。ドル安を受けて原油も急反発、利上げ見送りを好感するように米株も上昇、しかし円高懸念で日本株は低調。
原油安や中国懸念に加え、ドル安に伴う円高リスク、さらには米国経済減速懸念が更に拡大するリスクも浮上してきそうな状況となり、様々なリスクが複雑に絡み合い、市場の不安定な状態はまだしばらく続きそうです。
そんななか、金相場の堅調推移は、もうしばらく続く可能性もあるのかもしれません。
3日のNY金相場は1.25%の大幅反発。NY連銀ダドリー総裁の「市場の混乱次第で見通し変更の可能性」示唆発言と米1月のISM非製造業景況指数悪化でドル全面安の流れが急加速、ドル以外の通貨や原油などと共に急騰した金は1130ドルの壁と200日移動平均を突破し、目標水準1140ドルに到達。昨年10月30日以来3カ月ぶりの高値水準となり、いったんは落ち着きやすい状況へ。当面のサポートラインは1110ドル台。
NYプラチナ相場は3日ぶりの反発で2.85%の大幅高。金に連れ高となり、株価反発にも支えられての急反発で1週間ぶりに880ドル台を回復。短期上昇トレンド再開の可能性が高まり、当面の目標水準は900ドルの大台超え。下方向には850ドルが重要なサポートラインに。
ドル円は2円超、1.75%の大幅ドル安円高で3日続落。ダドリー総裁のハト派発言に加え、ISM非製造業景況指数下振れなどにより利上げ先送り観測が強まりドル安進行。急落で118円台前半の節目を割り込んだことにより下値目安117円ちょうど付近まで下落。欧州時間の120円からは3円もの大幅下落で目標水準にも到達したことで、その後は下落幅の3分の1戻しとなる1円の反発。日銀のマイナス金利導入によるドル買い円売り分を全て吐き出した形で、さらなる円高は限定的か。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場2/3終値とチャート
4日の国内金価格は0.09%の小幅続落。ドル安に伴う大幅円高による急落リスクをNY金の反発が相殺。流れとしては上向きを維持し、4750円再トライへの可能性も残す状態ながら、やや失速気味。目先は4700円が抵抗線となりつつあり、ここを突破して上値トライへと向かう為にはNY金の一段高かドル円の大幅反発が必要。下方向には4550円がサポートライン。
国内プラチナ価格は3日ぶりの反発で1.84%の大幅高。ボラティリティの高い状態のなかでも方向感は上向きを維持し、調整傾向からの持ち直し。目先3640円と3520円台が上下の節目となり、上抜けなら3710円台へ、下抜けなら3450円割れの可能性も。
※参考:金プラチナ国内価格2/4とチャート
- 2016年2月4日(木)時点の相場
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国内金 : 4,643 円 2/4(木) ▼4(0.09%) 国内プラチナ : 3,594 円 2/4(木) ▲65(1.84%) NY金 : 1,141.3 ドル 2/3(水) ▲14.1(1.25%) NYプラチナ : 880.1 ドル 2/3(水) ▲24.4(2.85%) ドル円 : 117.87 円 2/3(水) ▼2.09(1.75%)
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