金プラチナ短期相場観

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イエレン議長講演でタカ派一蹴

更新日:2016年3月30日(水)

FRBのイエレン議長は講演で、世界経済への警戒感とドル高への懸念を示し、あらためて慎重姿勢を貫くことを明言しました。4月利上げの可能性や、インフレ加速への警戒感などを示した一連の連銀総裁たちのタカ派発言を一蹴する形となり、3月FOMCの結果を正当化。
前日のPCEデフレーターが急加速から減速の兆しも見られたことを裏付けるように、「コアインフレ加速や持続可能性への判断は時期尚早」であることにも言及しました。
2月のコアPCEは1.7%となり、3月FOMCで示された2016年末予想中央値1.5-1.9%のレンジ内に達してはいるものの、12月の1.4%から1月に1.7%へと跳ね上がり、2月も1.7%で横ばい。これも一時的の可能性があり、再反落の可能性も含め、現状以上を一定期間維持できるかどうかを見極める必要がある、ということのようです。

裏を返せば、この水準があと3カ月程度も続けば、インフレ加速と持続の可能性への判断も可能となりそうです。5月分まで現状水準維持なら、5カ月連続でのターゲット水準となり、わずかでもさらなる上昇の兆しが見られるようなら、6月末以降にはインフレ加速に伴う利上げ観測が急速に高まることにもなりそうです。
但し、その頃に中国経済や新興国の状況、さらには英国のEU離脱問題絡みなどで世界的な不安が再び高まっていないことも重要な必要条件となります。

FOMC内が一枚岩ではないこともあらためて示す形とはなったものの、FOMCの慎重な基本姿勢が示され、その方向へとイエレン議長が誘導していくものと思われる向こう2-3カ月間程度は、ハト派優勢地合いが続き、追加利上げ1回めは早くても年後半、が濃厚と言えそうです。
それまでは、金相場にとってのタカ派地合いが続くことになりそうです。

NY金・日足チャート 2016/2/26 - 3/2929日のNY金相場は1.29%の大幅高となり4営業日ぶりの反発。原油安株安の流れに1220ドル台後半へと水準を切り上げてスタートしたNY市場では、イエレン議長のハト派発言を受けて1230ドル台後半へと急騰、引け後には1240ドル台へ。前日に1206ドルの安値をつけて反発した流れがさらに加速した形となったことで調整局面終了か、とも思わせるような展開に。しかし、短期的な流れとしてはまだゆるやかな下落基調を脱し切れてはおらず、週末の指標結果に大きく反応する可能性も残され、ポジティブな結果が続けば再度下値トライへと向かう展開も。1220ドルを割り込んだ場合にはあらためて1200ドルの大台割れ、下値目標1190ドル台が意識されることに。逆の展開では1270ドルが厚めの抵抗水準に。

NYプラチナ・日足チャート 2016/2/26 - 3/29NYプラチナ相場も2.17%の大幅高となって4日ぶりの反発。金に連れての急反発では20ドル弱もの大幅上昇となって水準を切り上げ、200日移動平均線下抜け翌日に再び大きく上抜ける展開となったことで、今後のサポートラインとなる可能性も。前日安値で下値目標930ドル台にタッチしていたことも大幅上昇への要因に。目先は940ドル台を下値サポートラインとして1000ドルの大台ラインまでの間で保ち合い形成へ。そのためには週末のイベント通過でも下値を維持することが重要に。割りこむような展開となった場合には920ドル前後を試す下落基調再開も。

ドル円・日足チャート 2016/2/29 - 3/29ドル円は8日ぶりの反落で0.67%のドル安円高。114円手前では上値が重く、イエレン発言を受けて112円台へと急落。ドル全面安となりユーロ、ポンド、豪ドルなどはいずれも対ドルで1%前後買われたのと比較すると円買い度合いは控えめ、ドル安に伴う円高リスクは比較的緩和された状態。しかし、円安に振れた場合の勢いにも乏しい状態。保ち合い状態が長期化するなかでやや上値を切り下げる形となり、111円30銭から113円半ばまでにレンジ幅を縮小。ポジティブな指標結果にレンジ上抜けの場合でも円安方向への目安は115円台前半辺りまでか。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/29終値とチャート

30日の国内金価格は0.69%の続伸。為替の変動幅よりもNY金の変動による影響度合いが大きくなる状態が続き、国内金価格とドル円との相関関係は過去5年で最大の逆相関。タカ派ムード払拭に伴う下げ止まりから堅調方向への流れと、週末の雇用統計などの好結果に伴う反落リスクとの攻防へ。4720円から4830のレンジを上抜けなら4900円台へ、下抜けなら4670円前後へ。

国内プラチナ価格は1.38%の大幅続伸。21日移動平均線をわずかにデッドクロスした9日移動平均線にちょうど上値を押さえられた状態。ここを上抜けると短期的な流れも少しづつ堅調方向へ。下値目安3650円程度までの下落余地を残しながら保ち合い傾向への兆しも。3840円の抵抗線方向へと向かうか、下値トライ再開かは週末の指標結果次第の状況に。
※参考:金プラチナ国内価格3/30とチャート

2016年3月30日(水)時点の相場
国内金4,801 円 3/30(水) ▲33(0.69%)
国内プラチナ3,749 円 3/30(水) ▲51(1.38%)
NY金1,235.8 ドル 3/29(火) ▲15.7(1.29%)
NYプラチナ965.2 ドル 3/29(火) ▲20.5(2.17%)
ドル円112.67 円 3/29(火) ▼0.76(0.67%)

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