金プラチナ短期相場観
米ADP雇用者数は頭打ち、ISM雇用指数は回復基調
更新日:2016年5月5日(木)
米4月のISM製造業景況指数(PMI)はボーダーラインの50超を2カ月連続で維持したものの、予想を下回りました。しかし、4日に発表されたISM非製造業景況指数(NMI)は予想を上回り、4カ月ぶりの高水準となる55.7へと上昇しました。
その中で最近の雇用指数の推移に着目すると、PMIの雇用指数は昨年12月以降はボーダーラインの50以下での推移が続く状態ながら、今年1月の45.9を下限として底打ち、4月には49.2まで上昇し、回復基調の兆しも見られます。NMIの雇用指数はボーダーライン割れとなった2月の49.7を下限に3月の50.3、4月には53.0へと大きく上昇、こちらも回復基調。
いっぽう、4日発表の4月ADP雇用者数は予想を大きく下回る前月比+15.6万人に留まりました。3カ月平均で見たADP雇用者数の伸びは、2月の+22.9万人をピークに下降、3月は+19.8万人とこれまでのボーダーラインとなる20万人割れ、4月時点では+18.6万人とさらに鈍化。
雇用統計の非農業部門雇用者数(NFP)の3カ月平均でも、12月の+28.2万人をピークに3月の+20.9万人まで下降中。4月の数字が予想を大きく下回るようなら3カ月平均でもボーダーライン割れとなる可能性も否定できません。
失業率が5%に達し、完全雇用レベルに到達している現状では、雇用者数の伸びは頭打ち状態にあり、ボーダーラインもこれまでの20万人から低下していくことも予想されます。極端に低い数字とならない限りは、悪化している、という状態ではなさそうです。
そしてISMの雇用指数の回復基調は、企業側から見た雇用状況の改善傾向を示し、イエレンFRB議長が懸念している労働市場のたるみ解消へとつながることになるのかもしれません。
4日のNY金相場は1.35%続落。短期調整局面継続で1270ドル台前半まで下落後、4月のADP雇用者数の伸びが大きく鈍化したことを受けて前日水準1290ドルまで急反発。しかし、その後4月のISM非製造業景況指数が予想以上の好結果による急反落で上げ幅を帳消し。それでもまだ底堅さを示すように今朝には1280ドル台を回復。目先は雇用統計の結果待ち状態へ。上値を押さえられやすい1300ドルラインを突破するようなら1320ドル前後、あるいはそれ以上の水準を目指すような展開も。下方向には1250ドル前後までの調整も想定可能、その下1230ドルは重要なサポートライン。
NYプラチナ相場も1.49%の続落。金に追随する展開で1050ドル付近まで下げて今朝には1060ドル台を回復。中長期的にはおよそ1年ぶりに200日移動平均線を90日移動平均線がゴールデンクロス目前と堅調地合い継続を示唆。しかし短期的な上昇トレンドの勢いは失速気味。再加速か短期トレンド転換かの分岐点が今週末となる可能性も。1030ドル前後までの調整継続の可能性は比較的高く、1010ドルが重要なサポートライン。上方向へは1090ドルラインが固そうで、抜けると1100ドルの大台突破へ。
ドル円は0.38%のドル高円安で小幅に3日続伸。東京市場では日米政府関係者による為替コメントで介入期待感再燃などもあり、107円台を何度か試す展開と戻り売りとの攻防に。NY市場ではADP雇用下振れで106円20銭台まで下げた後、米3月の貿易赤字縮小やISM非製造業景況指数上振れなどのドル買い材料に支えられて再び107円トライの展開へ。4月28日高値111円80銭台から5月3日安値105円50銭台までの23.6%戻しとなる107円ちょうど付近までの反発は容易に想定されたとおりの展開。しかし、38.2%戻しとなる108円ちょうど付近はまだ遠い状況。ポジティブ・サプライズなら108円を超え、61.8%ラインとなる109円半ばまでの反発も可能か。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/4終値とチャート
- 2016年5月5日(木)時点の相場
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国内金 : 4,725 円 5/2(月) ▼50(1.05%) 国内プラチナ : 3,904 円 5/2(月) ▲6(0.15%) NY金 : 1,274.4 ドル 5/4(水) ▼17.4(1.35%) NYプラチナ : 1,055.6 ドル 5/4(水) ▼16.0(1.49%) ドル円 : 106.99 円 5/4(水) ▲0.40(0.38%)
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