金プラチナ短期相場観
米消費は第2四半期に急回復へ、しかし期待インフレ率は低迷
更新日:2016年5月14日(土)
減速傾向が懸念されていた米国の消費は急回復の兆しを示しました。4月の小売売上高は前月比+1.3%となり、市場予想の+0.8%を大きく上回り、3月の-0.3%からの急反発で昨年3月の+1.6%以来の伸び率。6カ月平均でも3カ月連続上昇で半年ぶりの水準を回復。自動車を除いた数値も前月比+0.8%と予想を上回り、3カ月連続上昇で昨年5月の+0.9%以来の高水準。
第1四半期の失速状態から、急速に勢いを取り戻し始めている様子を示します。
この傾向は5月のミシガン大学消費者信頼感指数にも表れました。4月の89から急反発となった5月の95.8は、昨年1月の96.1に次ぐ高水準。
米国の消費関連の指数はいずれも約1年ぶりの高水準へと回復基調を強める結果となり、FRBのタカ派メンバーにとっての追い風となりそうです。
しかし、同じミシガン大学発表の期待インフレ率はまだ低迷状態からは抜け出せない状況が続きます。
1年後のインフレ率を予想する1年期待インフレ率は、4月の2.8%から5月には2.5%へと急低下。この水準は今年1-2月と昨年1月と並び、2010年9月(2.2%)以来の最低水準となっています。2011年から続く下落基調からも抜け出せない状態が続いています。
5年期待インフレ率では、4月の2.5%から2.6%へと0.1ポイント上昇しましたが、2.5%は過去10年間での最低水準。昨年10月と今年2月、4月と3度記録してわずかに反発、最低水準での揉み合い状態です。2008年からの下落基調もまだ続いている状況です。
第2四半期に入って急回復する消費とは対照的に、期待インフレ率の低迷状態は続いています。
FRBのタカ派メンバーにとって、決め手となるインフレ上昇への確証は、まだまだ得られそうにはありません。
13日のNY金相場は0.12%の小幅反発。前日の上方向への行って来いの展開に続き、この日は下方向への行って来い。1270ドル台後半まで水準を切り上げたところから、米4月小売売上高の上振れで1260ドル台へと急落、揉み合いをはさんで5月ミシガン大学消費者信頼感指数の好結果に1260ドル台前半へと一段安。しかし、株価急落の流れにドル高の巻戻し傾向が強まると同時に金は反発。結局1270ドルをはさんでの上下動を繰り返す日々が続く状況。上値は微妙に切り下がる軟調推移の調整局面進行で1250ドル前後までの下値余地も継続。
週間ベースでは-21.3ドル(1.65%)安となり、3週間ぶりの反落。
NYプラチナ相場は0.18%の小幅続落。高値1060ドル台からの急落局面では一時1040ドルを割り込んで1039ドルまで下落して反発。1050-60ドルでの保ち合い状態が続き、下値目安1030ドル付近にタッチして十字線に近い足型を残したことにより、調整局面での下値トライは終了?の可能性もなくはないが、その為には1070ドルの節目をしっかりと上抜ける必要。再度1030ドル付近、あるいはさらに一段安へと下値を試す可能性のほうがやや優勢か。
週間ベースでは-33ドル(3.04%)となり、3月後半以来7週間ぶりの反落。
ドル円は0.38%の反落。東京市場での株安・円高の流れも108円50銭台で耐えて保ち合い、米小売売上高の好調ぶりに109円台へと急反発、ミシガン大の消費指数の好結果に109円50銭台まで上昇も長続きせず。NYダウが200ドル超の大幅反落となったNY市場ではリスク回避的な流れが強まり、対円を除いてドル全面高。クロス円の大幅下落にも連れてドル円は再び108円台半ばへ。この水準では底堅さも見られ、耐え切れるかどうかが目先の課題。縮小傾向のレンジ上抜けなら110円台後半へと反発基調加速の可能性を残しながら、下方ブレイクで107円割れへと向かう展開への警戒感も高まる状況に。
週間ベースでは+1.47円(1.37%)の続伸。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/13終値とチャート
- 2016年5月14日(土)時点の相場
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国内金 : 4,759 円 5/13(金) ▼1(0.02%) 国内プラチナ : 3,917 円 5/13(金) ▼33(0.84%) NY金 : 1,272.7 ドル 5/13(金) ▲1.5(0.12%) NYプラチナ : 1,052.1 ドル 5/13(金) ▼1.9(0.18%) ドル円 : 108.59 円 5/13(金) ▼0.41(0.38%)
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