金プラチナ短期相場観
弱過ぎたユーロの恩恵を受けてドイツの景況感は記録的高水準
更新日:2017年5月24日(水)
前日のメルケル独首相に続き、この日はショイブレ独財務相も「ドイツにとってユーロの水準は低過ぎる」とユーロ安牽制発言でユーロ高を容認。ECBの緩和政策によるユーロ安が進行してきたことで「ドイツ製品が相対的に安くなってよく売れる」と一見、嬉しい悲鳴のようにも聞こえる不満も。
この実態を反映するように、5月のドイツIFO企業景況感指数は114.6まで上昇し、これまでの最大だった2011年6月の114.5を上回り、統計開始の1991年以降での最高水準を記録しています。
2016年から上昇傾向がとまらない状況はマークイットの製造業PMIでも同様です。こちらも5月速報値では59.4まで上昇し、6年1カ月ぶりの高水準となっています。フランスが6年ぶり高水準となった4月から失速した分をカバーし、ユーロ圏の5月速報値も57.0へと引き上げ、これも6年1カ月ぶりの高水準。
ギリシャを除くユーロ圏の景気加速基調は続いているようです。
対象的に失速傾向が鮮明となってきた様子の米国の5月製造業PMI速報値は52.5。4カ月連続の低下となり、昨年9月以来8カ月ぶりの低水準。半年ぶり低水準となる52.0へと低下した日本と並んで今年、第2四半期に入っても鈍化傾向がとまらない状態となってきました。
これまでのドル高・円高傾向も多少影響しているのかもしれません。
この状況に伴い、ドイツ首脳によるユーロ安牽制を受けたユーロドルは米大統領選開票日につけた高値1.1290ドル台に迫る1.1260ドル台まで上昇し、トランプラリーに伴うユーロ下落分をほぼ取り戻す状態となっています。
しかし、ユーロ安の恩恵を受けた「ドイツ製品がよく売れる」状態に変化が見られるには、まだまだユーロ高の進行余地は残されているように思われます。
同様に、トランプラリーによるドル高分をほぼ全戻しした状態のドルインデックスの下落余地も、まだまだ十分残される状況と推測されます。
23日のNY金相場は3日ぶりの反落で0.47%安。時間外には英マンチェスターの自爆テロも意識されたリスク回避の流れで1263ドルまで上昇して失速、NY市場では米10年債利回りの上昇とドル高の流れが強まったことを受けて1250ドルまで、10ドル超の反落。結果的に重要な節目水準1260ドル突破は値幅も時間も限定的となり、上値トライに向けた流れは巻き戻し。1250ドルから1260ドルまでの小幅保ち合いへと押し戻され、今朝の時間外では下限割れも警戒される水準に。1250ドル割れの場合には5月安値圏1220ドル近辺を目指す流れへ。反発へと切り返し、改めて1260ドルをしっかりと上抜けできれば今年高値更新トライへ。
NYプラチナ相場は0.09%の小幅安で3日ぶりの反落。950ドルの節目トライ4日めにようやくブレイクするとNY朝には4月25日(967.5)以来、1カ月ぶりの高値水準となる960ドル付近まで上昇。しかし、その後は金の反落に連れて940ドル台半ばまで、15ドル程の急反落。上値目安960ドル台には届かずに失速した状態、もしくは950ドル超え自体が一時的な行き過ぎだったか、いずれにしても930ドル台から950ドルまでの保ち合い状態再開。上方向への抵抗感はなくなったことで反発基調が強まれば960ドル台までは比較的上昇しやすく、しかし長い上ヒゲを残しての反落も警戒され、930ドル割れなら今年安値圏910ドル近辺が意識されるような展開にも。
ドル円は0.43%のドル高円安で続伸。東京市場朝のリスク回避の流れでは110円80銭台の節目までで下げ渋り、その後も何度か下値を試すも意外と底堅く、111円を挟んでの保ち合い状態に。NY市場では米4月新築住宅販売件数が4カ月ぶりに前月比マイナスとなったものの、3月分が9年半ぶり高水準へと上方修正されたこともあって影響は限定的に。逆に米10年債利回りがこの数日間の急落局面からの反発に転じ、ユーロ急騰からの調整もあってドル売りの巻き戻しへ、ドル円は111円後半へと急騰。今朝には一時112円近辺まで上値を試す場面も。目先は110円後半から5月の急落局面の50%戻し、112円前半まででの保ち合いか。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/23終値とチャート
24日の国内金価格は0.1%の小幅安で3日ぶりの反落。NY金も為替も保ち合い色が強まる展開となり、国内金価格の急変動は起こり難い状況に。そうなると基本的には底堅く推移する展開が予想され、ゆっくりとした上昇基調に転じた流れで当面の上値目標4880円近辺を目指し、9日移動平均線の21日移動平均線ゴールデンクロスを気長に待つ状態。
プラチナ価格は0.28%の小幅高で3日続伸。底値圏での乱高下状態から反発局面形成へ、という流れを目指しての保ち合いのなかでの上昇基調は失速気味ながらも継続。流れ的には保ち合い上限3660円台でいったん上値を押さえられて保ち合い継続へ、というパターンに陥りやすい状況か。しかし、底値圏での保ち合い長期化に伴い、上限突破時の上昇余力はその分だけ強まることに。現状の流れの延長線上で底値圏脱出の場合でも当面の上値目標は3780円近辺まで。
※参考:金プラチナ国内価格5/24とチャート
- 2017年5月24日(水)時点の相場
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国内金 : 4,822 円 5/24(水) ▼5(0.10%) 国内プラチナ : 3,645 円 5/24(水) ▲10(0.28%) NY金 : 1,255.5 ドル 5/23(火) ▼5.9(0.47%) NYプラチナ : 949.4 ドル 5/23(火) ▼0.9(0.09%) ドル円 : 111.78 円 5/23(火) ▲0.48(0.43%)
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