金プラチナ短期相場観
賃金上昇でもインフレ懸念なし?賃金上昇自体も進まない?
更新日:2018年2月24日(土)
トランプ減税を受けて米国の大手企業では賃金引き上げの動きが相次ぎ、早速1月の雇用統計では平均時給の上昇率が前年比+2.9%へと急上昇。今後もこの流れが続けば賃金上昇率は加速し、インフレ押し上げ効果につながるとの連想から米長期金利は急上昇し、株価急落へと市場の混乱を招きました。
しかし、ムニューシン米財務長官は22日、トランプ政策によって賃金は上昇するだろうが必ずしもインフレが加速するとは限らない、との見方を示しました。米国内でのエネルギー生産増により、原油高によるインフレへの影響が緩和されていることなどもその理由の一つのようです。
1月に平均時給の上昇率は急加速しましたが、個人時給の中央値ではそれほどでもありません。
アトランタ連銀が発表している個人時給中央値の3カ月平均で示す、賃金上昇トラッカーでは1月は前年比+3.0%。2015年10月以来、2年2カ月ぶりの低水準に落ち込んだ12月の+2.9%からわずかに0.1%の上昇。2016年から2017年にかけての3.5%前後の水準からは大きく減速した状態が続きます。
また、賃上げ率が+0.5%から-0.5%の範囲内にとどまる「ゼロ賃金」の割合は3カ月連続で増加し、12月の14.4%から1月には14.9%となり、1年ぶりの高水準となっています。
米国内での賃上げの動きからは、今後も平均時給の上昇余地はある程度見込まれそうですが、中小を含めて広範囲に行き渡るかどうかは不透明であり、時間もかかりそうです。また、中央値での減速傾向とゼロ賃金の拡大傾向が続いている現状も平均時給押し上げへの足かせともなりそうです。
賃金上昇でもインフレ加速とは限らないのかもしれませんが、賃金上昇の加速自体もそれほど進まない可能性もありそうです。
23日のNY金相場は3日ぶりの反落で0.18%の小幅安。1330ドルをはさんでの小幅揉み合い状態に終始。この3日間は1320ドルから1340ドルまでのレンジでの保ち合いが続き、動意も低下。200日、90日移動平均線は1286ドルから1300ドルで緩やかな上昇傾向を維持し、20日移動平均線は1336ドルで水平状態から下降の兆し。中長期的上昇トレンド継続中の短期下落トレンドも小康状態に。半期に一度のFRB金融政策報告では、米国経済の底堅さを踏まえての段階的な追加利上げが正当化されることがあらためて示されており、次週27日に前倒しとなったパウエルFRB議長の議会証言でもその再確認と議長自身の考え方や人間性などからも今後のFRB政策の方向性を見極めることに。比較的堅そうな1310-20ドルのサポート水準を割り込んだ場合には1260ドル台辺りまで水準を切り下げる展開となる可能性も。上方向には1340ドルを超えると1360ドルラインが当面の抵抗水準に。
週間ベースでは-25.9ドル(1.91%)の反落。
NYプラチナ相場は0.06%の小反落。NY朝に990ドル付近まで下げて反発も1000ドル台回復には失敗、990ドルでの底堅さも大台ラインに抵抗感も。方向感は軟調気味から中立へ、990ドルを維持できなくなると次のサポートは960ドル。大台回復できれば1010ドル台が次の抵抗水準、これを上抜けるとトレンド好転で高値更新トライへ。
週間ベースでは-13.5ドル(1.33%)と反落。
ドル円は0.08%のドル高円安で小反発。ドル高基調となった東京市場では株高とともに107円台を回復も、欧州・NY市場にかけては米10年債利回りも2.9%割れへと低下し、ドル円は再び106円台半ばまでの円高推移。NY終盤にかけては米株高に牽引されるように106円台後半へ反発。週末と次週のパウエル証言待ちという状況もあってか戻り売り圧力はそれほど強まらず、日足レベルでの方向感はほぼ中立状態へ。107円台後半へと反発できれば109円近辺まで上値を伸ばす展開にも。106円を再度割り込むようだと今年安値更新と105円近辺までのトライも。
週間では+0.53円(0.5%)、3週ぶりの反発。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場2/23終値とチャート
- 2018年2月24日(土)時点の相場
-
国内金 : 4,900 円 2/23(金) ▼26(0.53%) 国内プラチナ : 3,684 円 2/23(金) ▲4(0.11%) NY金 : 1,330.3 ドル 2/23(金) ▼2.4(0.18%) NYプラチナ : 998.8 ドル 2/23(金) ▼0.6(0.06%) ドル円 : 106.84 円 2/23(金) ▲0.09(0.08%)
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