金プラチナ短期相場観
見方分かれるFOMC議事要旨にも米国経済の加速基調は継続で一致
更新日:2018年2月22日(木)
米国経済の加速基調を背景にインフレ上昇を見通し、緩やかな利上げを正当化したFOMC議事要旨では、税制改革を受けての景気見通し上振れリスクも一部では警戒され、インフレ見通しに懸念を示す向きもあった模様。
全体的にはタカ派寄りともとれるものの、最近聞かれる年4回の利上げを裏付けるほどでもなく、見方は分かれるところです。
市場反応としても上下に乱高下の展開となったなかで、米長期金利は急騰。2014年1月9日以来、4年1カ月ぶりの高水準となる2.93%台へと上昇しています。
これに対して株価は下落、金もやや軟調、ドル円は金利急騰に追随し切れず再びドル安円高へ。
この日発表されたマークイットなどの2月製造業PMI速報値では、日米欧いずれも50超の拡大基調で好調を維持する状態ながら、ユーロ圏は2カ月連続の低下で4カ月ぶりの水準まで減速。加速し過ぎた流れが巻き戻される状態となっています。日本もほぼ4年ぶり高水準となった1月の54.8から2月は54.0へと減速。
これに対して米国は3カ月連続上昇で2月は55.9となって2014年10月以来、3年4カ月ぶりの高水準。年明け以降、米国だけが加速基調継続となっています。
金利急騰を受けて市場の動きも不安定化、ややチグハグな動きも見られ、世界的に一方的な景気加速基調が続いた流れにも足並みの乱れが見られ始めるなかで、米国経済の加速基調が続いていることだけは、見方が一致しているようです。
21日のNY金相場は0.07%の小反発。1330ドル台前半での小幅揉み合い状態から、NY引け後にはFOMC議事要旨発表を受けて乱高下、1320ドル台後半へと若干水準を切り下げて落ち着いた状態。ドル安の巻き戻しが続いていることでNY金の軟調推移も継続中。1月と2月に1360ドル台半ばの高値を2度つけての反落状態でダブルトップ形成への警戒感もあり、下値はネックラインでもある1310ドルが重要なサポート水準。ここを割り込んだ場合には下げ幅拡大が警戒され、当面の下値目標は1270ドル前後まで。
NYプラチナ相場は0.74%の続落。1000ドルを少し割り込んでの推移から、注目された南アフリカの予算案では付加価値税引き上げが示され、財政赤字削減への期待感から南アランドが急騰し、プラチナも大台を回復。しかしこれも一時的にとどまり、NY引け後には金の軟調推移に連れて990ドル台前半へ。990ドルラインは軽めのサポートラインとなる可能性もあるものの流れは軟調方向、ここを割れると次のサポートラインは960ドル。
ドル円は0.41%のドル高円安となって4日続伸。ドル安の巻き戻しの流れはこの日も続き、東京市場午後には107円90銭台まで上昇。しかしその後は上昇一服となって107円半ばをはさんでの保ち合い推移に。見方が分かれるFOMC議事要旨には乱高下も、米10年債利回りが4年1カ月ぶり高水準となる2.95%台へと急騰し、これに追随する動きに。しかし、この流れも続かず、今朝の東京市場では107円台前半へと軟調推移の展開に。ドル円と米10年債利回りとの90日相関係数は-0.88台となり、過去6年間では最強の逆相関関係。この関係性がドル円の本格的な反発基調への足かせに。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場2/21終値とチャート
22日の国内金価格は0.04%の小反発。200日移動平均線(4920)付近で下げ渋る状態となり、短期的な下落局面も終盤入りの可能性も。目先は4900円近辺程度まで若干の下落余地を残し、4980円の抵抗線までのレンジで保ち合い傾向の展開にも。
プラチナ価格は0.67%の続落。反発の流れ一服か、下落基調のなかでの戻りを終えた状態か、微妙な状況にも。NYプラチナが一段安へと向うようなら後者の流れとなり、下値は今年安値3629円までが意識される展開にも。さらにここも割り込むようなら3600円割れへ。前者の場合、反発再開なら3710円が抵抗水準となり、ここを超えると3760円台辺りまでが次の上値目安にも。
※参考:金プラチナ国内価格2/22とチャート
- 2018年2月22日(木)時点の相場
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国内金 : 4,926 円 2/22(木) ▲2(0.04%) 国内プラチナ : 3,680 円 2/22(木) ▼25(0.67%) NY金 : 1,332.1 ドル 2/21(水) ▲0.9(0.07%) NYプラチナ : 996.6 ドル 2/21(水) ▼7.4(0.74%) ドル円 : 107.77 円 2/21(水) ▲0.44(0.41%)
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