金プラチナ短期相場観
貿易問題に悲観と楽観、2018年はボラティリティ急拡大の米株主導
更新日:2018年4月10日(火)
NYダウの今年、1日あたりの値幅変動率の年間平均はここまでで1.6%となり、近年突出して低ボラティリティとなった2017年(0.5%)の3倍以上へと急拡大しています。
ゴルディロックス相場で最高値更新が続いた昨年までの流れは今年、年初に終焉を迎え、2月には金利急騰の兆しを警戒した米株暴落、米株を牽引してきたハイテク株の軟調推移などもあって高値更新が途絶えると3月以降は米中貿易摩擦への懸念も高まり、日々激しく上下動する展開が続いています。
過去、2013年にはアベノミクス相場で円安が急進してドル円の変動率が高まり、NY金も価格暴落もあって変動率は近年最大となりました。
2015年にはチャイナショックで世界同時株安、VWショックなどで株価とブラチナのボラティリティが高まり、2016年にはブレグジット、米大統領選、その後のトランプラリーなどでドル円のボラティリティが高まり、VWショックを引きずるプラチナは2016年1月に大底をつけて反発に転じたことで2016年のボラティティが最大となりました。
2017年以降、NY金はゆるやかな上昇基調にあり、NYプラチナは上下動を繰り返しながらも横ばい傾向の流れとなり、ボラティリティは低下しています。
NY金の1日あたりの変動率が4%を超えた日は2013年には12日もありましたが、その後激減し、2017年以降は1日もありません。
プラチナの場合、4%を超えたのは2015年と2016年に9日づつあり、2017年初日にも記録した後は1日もありません。
なお、ドル円では2.5%超となった日が2013年に6日、2016年に5日あり、2017年以降はありません。
NYダウの場合、3%を超える変動率となった日は、2015年に5日、2016年には3日、2017年はなく、2018年は現時点で既に7日記録しています。
米中貿易摩擦に関しては、トランプ米大統領特有のビーンボール発言などで振り回される市場では、米株が敏感に反応して急落する場面も多々見られますが、貿易戦争に踏み込むようなことはない、との楽観的な見方もあり、買い戻される場面でも米株の反発幅は大きくなっています。
NYダウとNY金との関係性は相関・逆相関の関係が長期間続くことは稀ですが、リスク回避局面では逆相関になりやすく、現状では90日相関係数では関係性は強くはないものの、30日相関係数は-0.60台へと急低下中。短期的には逆相関関係が強まりつつあります。
今年のNY金の値動きは比較的縮小傾向となってはいますが、ボラティリティ急拡大のNYダウと逆方向へと日々振られやすい展開となっています。
9日のNY金相場は0.3%高で続伸。米中貿易摩擦を懸念させる新たな材料はなく一服、時間外からロンドン市場にかけては1330ドル台半ばから1330ドルまで軟調推移。NY市場ではシリアの化学兵器使用を巡ってトランプ米大統領が「48時間以内に重大決定」発言、シリアを支援するロシアは米国からの経済制裁への報復を示唆しており、中東の地政学リスクと米露関係悪化が懸念される状況となって1340ドルまで買われる展開に。1320ドル台から1350ドルまでのレンジ内で上値トライの様相ともなり、上限突破なら今年高値更新で1370ドル台までが上値目標に。
NYプラチナ相場は2.39%の大幅続伸。先週末に910ドルの安値をつけて反発した流れが加速、時間外に920ドル半ばまで水準を切り上げると、金の軟調推移局面にも下げは限定的となり、NY市場では金の上昇に追随し、パラジウムの急反発局面とも競う形で940ドルまで大幅反発。20ドル超の上げ幅は2月14日以来で今年2番めの大幅上昇。下押し圧力優勢の状態は大きく緩和され、年初来下げ幅の23.6%戻し(939.3)を達成。反発基調継続に向けての節目となる950ドル台、38.2%戻し(957.3)の水準を突破できれば、次の上値目標は半値戻し(971.8)となる970ドル台へ。
ドル円は0.2%のドル安円高となって続落。先週末の雇用統計後の軟調推移を引きずる形での週明け東京市場朝には106円80銭まで下押し後、日経平均の上昇にも連れて反発基調となり、欧州時間にかけて107円20銭まで上昇。NY市場では米10年債利回り低下やユーロ買いの流れが強まってドル売り基調へ。中東の地政学リスクやトランプ米大統領の顧問弁護士強制捜査報道などもあり、米株急反落にも連れて106円60銭台まで下落。今朝の東京市場では106円80銭近辺へと反発も上値はまだ重い様子。ゆるやかにドル高円安方向への流れは継続も、107円半ばが当面の抵抗水準。今週発表される米3月コアCPIが予想どおり2%超へと上昇すれば、徐々に上値トライの流れにも。107円半ばを超えると昨年11月高値からの下落幅の38.2%戻しとなる108円50銭近辺までが次の上値目標に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場4/9終値とチャート
10日の国内金価格は0.12%の小反発。ゆるやかな反発基調は続き2月27日(4921)以来1カ月半ぶりの水準を回復し、4850円から4910円台までのレンジ上限に到達。やや抵抗感もあるこの水準突破に向けては年初来下落幅の38.2%戻し(4920)が目安水準に。これを超えると一段高の可能性が高まり、次の目標水準は50%戻し(4960)近辺まで。
プラチナ価格は1.15%の大幅高で3日続伸。NYプラチナの大幅高に押し上げられて3月29日(3452)以来の水準を回復、3番底をつけての反発局面形成へとようやく流れも変わり始めた様子。反発局面継続に向けては3月29日の水準を上抜けることができるかどうかが分岐点に。ここを超えると年初来下落幅の38.2%戻し(3551)近辺までが次の上値目標に。
※参考:金プラチナ国内価格4/10とチャート
- 2018年4月10日(火)時点の相場
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国内金 : 4,914 円 4/10(火) ▲6(0.12%) 国内プラチナ : 3,441 円 4/10(火) ▲39(1.15%) NY金 : 1,340.1 ドル 4/9(月) ▲4.0(0.30%) NYプラチナ : 939.4 ドル 4/9(月) ▲21.9(2.39%) ドル円 : 106.73 円 4/9(月) ▼0.21(0.20%)
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