金プラチナ短期相場観

金プラチナ短期相場観

雇用統計は予想外に賃金以外が低調、中国の報復宣言でドル安金高

更新日:2018年4月7日(土)

米雇用統計・平均時給と賃金上昇率 2018年3月米労働省が発表した3月の雇用統計で、平均時給は26.82ドルとなり、賃金上昇率は前年比+2.72%。市場予想の+2.7%にほぼ一致し、2月の+2.57%(+2.61%から小幅下方修正)からは上昇。最近では1月の+2.77%、昨年9月の+2.83%に次ぐ高水準。トレンドを示す3カ月移動平均では前年比+2.69%となり、2月の+2.67%をわずかに上回り3カ月連続の上昇、2009年7月(+2.83%)以来8年8カ月ぶりの高水準となっています。
違和感を覚えるような急騰でもなく、そこそこの伸びを示すぎりぎりの好結果、といったレベルでしょうか。

しかし、注目度は低下していた雇用者数の伸びが予想外に低調な結果となりました。非農業部門雇用者数(NFP)の前月比+10.3万人は昨年9月以来半年ぶりの低水準。4.0%へとさらに低下が見込まれた失業率も4.1%で6カ月連続の横ばい推移となったことで、3月の雇用統計としてはやや低調、との判断は市場反応からもうかがえます。

ただし、NFPも+31.3万人から+32.6万人へとさらに上方修正された2月の大幅増の反動減という面もありそうで、3カ月平均では+20.17万人と高水準を維持しています。また、長期失業者の割合も2月の20.7%から3月は20.3%へと低下し、2008年8月(19.8)以来、9年7カ月ぶりの低水準へと改善しています。

事前の予想に対してはやや物足りない結果も、トレンド的には良好な状態と言える結果。しかし、最近の市場のテーマは雇用統計よりも、賃金上昇率よりも、米中貿易戦争を巡る動向。

この日、東京時間に伝えられた中国への1000億ドルの追加関税検討報道に対し、中国側は「ばかげてる」と一蹴。さらにNY時間には「米国は状況を見誤っている」と指摘し、「報復を躊躇しない」との見解も。中国の報復宣言とも取れる、真っ向勝負の姿勢に、緩和方向にもあった米中貿易戦争への警戒感が再燃した様子です。

NY金・日足チャート 2018/3/2 - 4/66日のNY金相場は0.57%の反発。雇用統計への期待感もあってか時間外にはドル高基調が強まり、NY金は1330ドル台半ばから1320ドル前半まで軟調に推移。予想外に低調となった米雇用統計の結果を受けてNY市場では流れが逆転。米中貿易戦争リスク再燃もあって米株主要3指数は揃って2%超の大幅反落となるなどリスク回避の流れとなってNY金は1330ドル台後半へと反発。貿易問題を巡る米中攻防をきっかけに日々大きく上下動を繰り返す米株主導で市場の流れも乱高下状態となり、NY金は1320ドル台から1350ドルまでのレンジ内での上下動が続く展開で方向感も喪失気味に。1320ドル台を割り込むようなら1300ドル割れへと一段安も警戒され、1350ドルを超えるようなら高値更新で1370ドル台を試すような展開にも。
週間ベースでは+8.8ドル(0.66%)の小反発。2月末に続落となって以降は続伸も続落もない状態が5週間継続中。

NYプラチナ・日足チャート 2018/3/2 - 4/6NYプラチナ相場は0.24%の小幅高となって4日ぶりの反発。時間外には一時12月19日(904.9)以来3カ月半ぶりの安値をつけて反発も上値も920ドルまでと限定的。米中貿易戦争への警戒感から900ドル割れへと大きく下落したパラジウムとリスク回避で反発した金との板挟みとなって反発力が削がれた状態に。貿易問題への懸念が後退する場面では株価とともに反発するパラジウムに対し、反落しやすい金との連動性から上値が重くなりやすいプラチナにとっては、値動きが限定されやすい状態が続く局面。昨年12月安値872.4ドルから1月高値1033.3ドルまでの76.4%戻し(910.4)となる910.3ドルまで下落したことで、下げ止まるには都合の良い水準にはあるが。
週間では-15.1ドル(1.62%)となり、2013年10月以来4年半ぶりの7週続落。

ドル円・日足チャート 2018/3/5 - 4/6ドル円は0.47%のドル安円高となって4日ぶりの反落。東京市場朝の米追加関税検討報道で急落した後は地合い好転を裏付ける形で反発基調となり、欧州時間にかけては前日高値107円40銭台まで上昇。NY市場では強弱の雇用統計を受けて乱高下も流れはドル安円高方向、米株大幅安と米10年債利回り低下の流れとともに一時106円70銭台まで下落。雇用統計がそこそこの好結果ではなく、やや低調となったことでドル高円安加速へのきっかけとはならず、貿易戦争リスク再燃もあり、節目の107円を割り込んでしまったことで反発基調は失速。目先は107円半ばが当面の上限となって保ち合い状態への移行も想定され、あらためて107円台後半へと抜け出すことができれば次の目標水準は38.2%戻しの108円半ばまで。
週間ベースでは+0.66円(0.62%)、12月初旬以来4カ月ぶりで、今年初の続伸。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場4/6終値とチャート

2018年4月7日(土)時点の相場
国内金4,909 円 4/6(金) ▲12(0.25%)
国内プラチナ3,374 円 4/6(金) ▲4(0.12%)
NY金1,336.1 ドル 4/6(金) ▲7.6(0.57%)
NYプラチナ917.5 ドル 4/6(金) ▲2.2(0.24%)
ドル円106.94 円 4/6(金) ▼0.50(0.47%)

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