金プラチナ短期相場観
ほぼ無風通過のFOMC、半値戻しでドル高金安の流れ一服も
更新日:2018年5月3日(木)
3月PCEインフレ2%の目標到達直後の開催となった今回のFOMCでは、100%現状維持を織り込み、声明文では今後の利上げペース加速に向けて何らかの示唆も?との期待が一部では高まっていたのかもしれません。
前回、「全体のインフレ率と食品やエネルギー以外のインフレ率はともに2%を下回り続けた。」といいう表現は「全体のインフレ率と食品やエネルギー以外のインフレ率はともに2%に近づいた。」という表現に変わり、「前年同月比で見たインフレ率は今後数カ月で上昇し、中期的には委員会の目標である2%近辺で安定する」との一文は「前年同月比で見たインフレ率は中期的に、委員会のシンメトリックな目標である2%近辺で推移する」との表現に変わりました。
「Committee’s 2 percent objective」が「Committee’s symmetric 2 percent objective」となり、「symmetric」(シンメトリック:対象的な)というキーワードが追加されています。
また、「経済見通しはここ数カ月で強まった。」との一文が削除されています。インフレは目標の2%にほぼ到達したけれど、これは上下多少のブレを許容する目標であり、今後の推移を注視していくことを強調した一方で、経済見通しとしてはややハト派寄り、とも受け止められかねない形となっています。
タカ派的な見通しへの期待感もあって進行してきたドル高の流れもここに来てやや失速感も見られます。
週末には雇用統計も控えており、失速は一時的に留まる可能性も否定できませんが、水準的には失速してもおかしくはないところまで来ています。
ドル円は昨年11月高値114円70銭台から、今年3月安値104円60銭台まで下落し、その下落幅10円の半値戻しとなる109円70銭台に到達しています。
ドル高の流れ再加速なら61.8%戻しとなる110円80銭台もありえますが、調整局面入りなら38.2%戻しの108円50銭台までの下落もありえそうです。
同様に、ドル高の流れに伴う下落基調が進行してきたNY金にも失速感が漂い始めます。
NY金は昨年12月安値1238ドルから今年4月高値1369ドルまで131ドル上昇し、その上昇幅の半値戻しとなる1303ドルに到達しています。
ドル高の流れ再加速ならNY金も一段安となって61.8%戻しとなる1288ドル辺りまでの下落もありえますが、戻り局面形成なら38.2%戻しの1319ドル辺りまでの反発も見込めそうです。
同様に、ドル買いの流れに伴うユーロ売りの流れも失速してもおかしくない水準まできています。
ユーロドルは昨年11月安値1.1550ドル台から今年2月高値1.2550ドル台まで上昇し、この上昇幅の61.8%戻しとなる1.1930ドル台に2日安値で到達しています。
第1四半期のユーロ圏経済指標の減速などでECBの金融政策正常化先送り観測も台頭し始め、最近ではユーロ安主導でのドル高という側面もありました。
ユーロだけが対ドルでやや下げ過ぎという見方も可能で、ドル・金・ユーロの三つ巴でキリの良い節目水準に到達した現状、短期的にはいったん巻き戻しの展開となる可能性も想定されそうです。
2日のNY金相場は0.09%の小幅安で3日続落。前日安値1300ドル付近から時間外には1310ドル台へと小反発、FOMC声明文発表を控えたNY市場ではタカ派的な思惑がやや強まるようにドル高優勢となって再び1300ドル台前半へと下押し。NY引け後の声明文発表直後には1310ドル台へと急騰も一時的となって再反落。しかし結果的に前日安値を下回ることなく、終値でも3月1日の1305.2ドルを下回らず。短期的な下値目安1300ドル前後に到達したことによる達成感もあり、下げ止まりへの可能性も示す状況に。目先は1320ドル台までのレンジで保ち合い推移の展開か。週末にかけて予想外の指標結果などで多少の下振れの場合には52週移動平均線(1295.4)がサポートに。
NYプラチナ相場も0.04%の小幅安となって3日続落。金と同じような展開となって一時的には900ドル台回復も概ね890ドル台での小幅保ち合いとなり、わずかながらも前日安値を下回って今年安値を更新。ただし、金と同様に短期下値目安890ドル前後の水準に到達していることから、金の下げ止まりに連動する可能性もあり、そうなれば920ドルまでのレンジが目先の主要レンジに。下振れ警戒水準としては昨年安値870ドル台まで。
ドル円は前日からほぼ変わらず109円80銭台での横ばい推移。109円80銭台を中心に小幅揉み合い状態が続いた後、NY市場では4月ADP雇用者数が予想を上回ったこともあり週末の雇用統計への期待感とともにFOMCでの強気見通しへの期待感などから水準を切り上げて110円にワンタッチ。声明文発表直後にはやや期待外れの感もあってか109円60銭近辺まで急反落。しかしこれも一時的となって109円90銭台へと反発。連休入りの東京市場朝には再び109円80銭台での小動き。引き続き一時的には110円台半ばまで上値を伸ばすような展開も想定されるものの、そのためには雇用統計の多少ポジティブな結果が必要か。上方向には200日移動平均線の110円20銭台、52週移動平均線の110円40銭台などが抵抗水準となりやすく、下方向には109円ラインがサポート水準。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/2終値とチャート
- 2018年5月3日(木)時点の相場
-
国内金 : 4,941 円 5/2(水) ▼7(0.14%) 国内プラチナ : 3,396 円 5/2(水) ▼14(0.41%) NY金 : 1,305.6 ドル 5/2(水) ▼1.2(0.09%) NYプラチナ : 893.8 ドル 5/2(水) ▼0.4(0.04%) ドル円 : 109.85 円 5/2(水) +-0.00(0.00%)
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