金プラチナ短期相場観

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イタリア政情不安で売られ続けるユーロに上値を押さえられる金

更新日:2018年5月29日(火)

NY金とユーロドル 2018年5月25日イタリアのポピュリズム政党「五つ星運動」は、再選挙実施の場合、極右政党「同盟」と組む可能性を検討していることが伝えられています。マッタレッラ大統領は28日、元IMF高官のカルロ・コッタレッリ氏を暫定首相に指名し、組閣を命じています。来年初旬までに再選挙を実施する計画、とのことですが、議会の信任なしに年内の2019年予算案通過が難しいことから、早ければ9月にも再選挙の可能性もあるようです。

今回組閣に失敗した「五つ星運動」と「同盟」との連立で次回はうまくいくのかという疑問も残りますが、今度は選挙自体が大きな意味を持つことにもなりそうな気配も漂い始めています。五つ星運動は以前提唱していた「ユーロ加盟の是非を問う国民投票」実施の公約を取り下げているものの、再度連立を模索する同盟を率いるサルビーニ書記長はアンチ・ユーロ派。ドイツ人、フランス人、ユーロ官僚に支配される現状に不満を訴え、イタリアを自由の国にしたいと主張しています。
EU・ユーロを取り巻く不満分子が結集し始めると、再び欧州発の危機が訪れることにもなりかねません。

そんなイタリア政情不安を背景にユーロ売りは止まらず、6週続落後のユーロドルは週明けも売られて1.1620ドル台。昨年11月8日以来6カ月半ぶりのユーロ安ドル高水準となっています。
そして、ユーロ安に伴うドル高の影響でNY金も売り基調が優勢となり、4月以降はユーロドルと連動する形で大きく水準を切り下げることになりました。
ユーロドルとNY金の30日相関係数は0.91472となり、短期的な相関性は極めて強い状態となっています。最近連動性が強まってきたドル円と米10年債利回りの0.8498台、ドル円と日経平均の0.8716台、さらにはNY金とNYプラチナの0.9081台も上回る相関性の強さです。

スペインのラホイ首相不信任決議案も6月1日に採決される見通しとなり、イタリア・スペインの政局動向によってNY金の動向も左右される状態が続きます。
なお、現状は政情不安が強まればユーロとともに売られていますが、状況がエスカレートし、危機的な状況が意識され始めると、ユーロ売りに加えてドルも対円などで売られやすくなり、金は買われ始めることになります。
ユーロの下落が続き、NY金が反発し始めたら、要警戒です。

ドル円・日足チャート 2018/4/24 - 5/2828日はロンドン・NY市場が休場。ドル円は先週末からほぼ同水準、わずかにドル高円安で続伸。東京市場朝の109円70銭台がこの日の高値となって水準を切り下げると109円30-40銭近辺での小幅もみ合い状態に終始。今朝の東京市場では連休明け時間外の米10年債利回りが2.90%割れへと急低下したことに連れて109円割れを試す展開に。
先週半ばまでサポートラインとなっていた20日移動平均線(109.82)が抵抗線に切り替わった状態となり、欧州政局不安と米朝会談の行方を警戒しながらも今週末の経済指標結果睨みの様相に。ポジティブな結果がなければ売り圧力優勢に、109円台を割り込めば4月前半の保ち合い水準107円半ばまでが下値目安に。

29日の国内金価格は0.31%の続落。NY金が週明け時間外で1300ドルを再び割り込んでの推移となり、円安サポートもなく水準を切り下げ。今朝の東京市場ではドル安円高が進行し、NY金は1300ドル付近まで小幅に上値トライの様子もあり、今後サポートされる可能性も。しかし、先週安値を下回って4月4日以来2カ月弱ぶりの安値水準となり、流れとしては下落基調がもう一段進行しやすい状況に。当面の下値目安は3月の保ち合い水準4850円台まで。上方向に4920円を超えると流れが変わり始める可能性もあり、上値目標は4980円近辺まで。

プラチナ価格は前日から変わらず。時間外のNYプラチナは比較的底堅く推移、今朝の時間帯では905ドル前後で推移。概ね横ばい推移の状態が続く中でも直近は上値を切り下げて徐々に軟調な流れに。下値トライ優勢の状況となり、3370円から3380円台まででサポートされる可能性も残しながらも下値目安は最大3350円台まで。3440円が地合い回復に向けての節目水準。
※参考:金プラチナ国内価格5/29とチャート

2018年5月29日(火)時点の相場
国内金4,894 円 5/29(火) ▼15(0.31%)
国内プラチナ3,411 円 5/29(火) +-0(0.00%)
NY金1,303.7 ドル 5/25(金) ▼0.7(0.05%)
NYプラチナ901.3 ドル 5/25(金) ▼11.3(1.24%)
ドル円109.41 円 5/28(月) ▲0.03(0.03%)

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