金プラチナ短期相場観

金プラチナ短期相場観

米中貿易戦争で人民元安、金も急落

更新日:2018年7月5日(木)

NY金と中国人民元の対ドル為替レート 2018年7月3日世界貿易機関(WTO)も貿易摩擦激化の影響は既に一部の先行指標に反映され始め、世界経済の回復を損なう恐れがある、と警笛を鳴らしています。
7月6日にはトランプ米政権による中国に対する25%の追加関税第1弾が発動されます。ハイテク分野を中心に、規模にして340億ドル相当。これに対して中国も同等規模の報復関税を農産品や自動車などに対して賦課することを表明しています。同一日時であれば時差の関係で中国側の関税が先に発動されることになり、報復関税ではなくなってしまう為に米国側の発動後になる模様。

これを見越して中国人民元の対ドル為替レートは6月から急落しています。中国の人民元は管理変動相場を採用しており、自国の輸出産業支援の為に意図的に元安誘導を図っている、との見方もあります。今後の第2弾、第3弾の関税発動にも備え、貿易戦争激化への防衛策を進めているようです。

米国の為替監視対象国に指定されている中国の人民元は、トランプ大統領就任後から対ドルで人民元高基調が続きました。2017年初めの1ドル=6.96人民元台から年末には6.50人民元台、2018年1月末には6.30人民元近辺に達していました。
しかし、米中貿易摩擦への警戒感が強まり始めた今年4月以降は一転して人民元安ドル高基調が進行しています。

ドル建て資産のNY金は米ドルとの逆相関関係にあることから、人民元との相関性も高まりやすくなります。
とりわけ、ここ半年余りの期間では、NY金と人民元の対ドル相場は同じような動きとなり、ドル高なら人民元安で金も売られやすくなっています。

地政学リスクなど、その他要因で金が買われたり売られたりする局面では人民元との相関性は低下しますが、その他要因があまりなく、市場の注目が米中貿易戦争に集中する時期にはその連動性は強くなります。
90日間相関係数は7月3日時点では-0.933台とかなり強めの逆相関関係となっています。(※人民元安なら対ドルレートの数値は大きくなる為、相関係数は逆相関を示す-1.0に近づきます)

足下ではNY金は人民元とともに反発してはいますが、今後の米中貿易戦争の動向次第では、さらに売られる展開も警戒される状況です。

4日は米国の独立記念日でNY市場が休場。NY金は時間外に一時1260ドルまで上昇し、今朝の時間帯には1250ドル台後半。NYプラチナは一時840ドル割れへと反落も概ね840ドル台半ばでも揉み合い推移。
ドル円・日足チャート 2018/5/31 - 7/4ドル円は10銭のドル安円高となって小幅に続落。東京市場では株安の流れに連れて一時110円20銭台まで下押し、その後は110円50銭台まで反発も欧州・NY時間にかけて徐々に動意が薄れ、方向感喪失状態に。
この日の変動値幅は27銭、変動率では0.24%となり、昨年12月27日(24銭、0.21%)以来半年ぶりの小動き。今年ここまでの平均値幅は74銭、平均変動率は0.68%。
目先は週末の雇用統計待ち。流れ的には売り転換間近の様子もあり、多少のポジティブな結果では111円が抵抗水準となりそうで、これを超えた場合でも111円後半までと上値は限定的か。逆の展開では200日移動平均線(110.17)から110円までではサポートされやすく、さらには109円後半までが下値サポート水準に。これを下回るようだと売り圧力が強まりやすく、最大では3月安値から5月高値までの61.8%戻しとなる107円台前半までが下値目安にも。

5日の国内金価格はわずかに4円高、0.08%の小幅続伸。9日移動平均線(4774)を上抜けた状態を維持し、6月後半の急落局面からの脱却フェーズへと移行し、もう一段の反発への可能性も示す状態にあり、当面の上値目標として4月高値から6月末安値までの38.2%戻し、4841円付近を目指す流れにも。ただし、週末の米雇用統計と米中関税発動も控えての警戒感も漂い始める状況にも。今年安値となった4749円を下回るようだと下値トライ再開となって次の下値目安は昨年1月安値4677円近辺まで。

プラチナ価格は+10円、+0.31%の続伸。それなりの反発局面形成も、3日の下げ幅に対する戻りはまだ68%。9日移動平均線(3243)にも届かず、今年1月高値からの下落幅に対しては23.6%戻し(3288)にも遠く及ばない水準。まずは3日の急落前、月初の3258円が重要な節目水準に。この水準を回復できない状態が長期化するようだと中長期的に見た主要レンジが一段切り下がる形にも。月初の水準を突破できればもう一段の上昇局面形成の可能性も高まり、3320円近辺までが次の上値目安に。
※参考:金プラチナ国内価格7/5とチャート

2018年7月5日(木)時点の相場
国内金4,786 円 7/5(木) ▲4(0.08%)
国内プラチナ3,213 円 7/5(木) ▲10(0.31%)
NY金1,253.5 ドル 7/3(火) ▲11.8(0.95%)
NYプラチナ846.3 ドル 7/3(火) ▲32.9(4.04%)
ドル円110.47 円 7/4(水) ▼0.10(0.09%)

7/3(火)のその他主要マーケット指標

好調続く米ISM非製造業景況指数にも忍び寄る米中貿易摩擦懸念 7/6(金)

米中貿易戦争で人民元安、金も急落 7/5(木)

下げ渋るパラジウム、売られ過ぎたプラチナ 7/4(水)

ワールドカップ上位進出国の6月製造業PMIは軒並み低調? 7/3(火)

日足・週足ともにプラチナ価格は9年ぶり安値からの反発を示唆 7/2(月)


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