金プラチナ短期相場観
貿易戦争激化懸念にも加速基調が止まらない米製造業
更新日:2018年9月5日(水)
高水準での推移が続く米ISM製造業景況指数、8月は若干の低下予想に反して大幅上昇。7月の58.1から61.3へと急騰し、2004年5月(61.4)以来、14年3カ月ぶりの高水準となりました。
新規受注は7月の60.2から8月は65.1へと急騰し、15カ月連続60超の高水準を維持。顧客在庫は39.4から41.0へと小幅上昇も依然として低水準での推移が続き、引き続き堅調な需要がビジネスの強さをサポートし続けていることが示されています。
受注残も54.7から57.5へと反発し、生産は58.5から63.3へと急上昇して7カ月ぶり高水準、雇用も56.5から58.5と半年ぶりの高水準へと上昇。
労働力不足や資材不足も指摘されるなかで、好調な生産と雇用が消費の改善を促進します。
価格指数は3カ月続落でも72.1。7カ月連続70超の高水準での推移が続き、インフレ圧力も続きます。
アンケートでは、「関税の影響は依然として懸念」との声もありながら、「ビジネス状況は強く、注文は増加、購買価格は上昇し、失業率は低下」との声も。
ISMでは「他の問題にもかかわらず、経済は力強く前進」しているとしながらも、「企業では通常、第3四半期に来年度の投資計画を立案するが、一部の企業では主要な資本投資を躊躇する可能性」も指摘。経済サイクルが最終局面にある可能性、貿易関税による逆風、労働力不足、供給抑制などを織り込んでいることが理由とのこと。
米中関係を中心に、貿易戦争激化懸念が続くなかでも好調を維持し続ける米経済、失速懸念が現れては消えてバブル延長の様相も見られ、失速時期を見通すことは困難な状況となってきているようにも見えます。しかし、いざ、そうなった時の反動は相当大きなものになる可能性にも警戒しておかなくてはなりません。
4日のNY金相場は-7.6ドル、0.63%の反落。8月23日以来、7営業日ぶりの1200ドル割れ。4日時間外、東京午後の時間帯にこれまで停滞していた米10年債利回りが上昇し始めたことでドル高が進行。1200ドル台後半での保ち合い推移となっていたNY金は1200ドルをはさんでの保ち合いへと一段水準を切り下げる形に。米8月ISM製造業景況指数がポジティブ・サプライズとなったNY市場では一時1195ドルまで下押し。サポートラインとなりつつあった20日移動平均線(1204.5)が下げ止まる前に下抜けてしまい、これが再び抵抗線に切り替わるようだと上値の重い展開に。週後半にかけては対カナダ、対中の米貿易交渉問題や雇用統計などがきっかけとなり、1190ドル台を維持できなくなった場合には今年最安値1160ドル台を再度試しに行く展開にも。
NYプラチナ相場は-8.9ドル、1.13%の大幅安となって3営業日続落。前週末水準780ドル台後半での保ち合い推移が続いた時間外、金に連れての下落局面でNY朝には一時760ドル台半ばまで20ドル超の急落。今年最安値755.7ドルを記録した8月16日以来の安値をつけて770ドル台後半まで反発。南アフリカの第2四半期GDPがマイナス成長とって2009年以来のリセッション入りとなり、南アランドも急落。対ドルでは15ランド台へと急騰し、2年2カ月ぶりのランド安となったことも売り圧力に。770ドル台を割り込むようだと安値更新再トライへと向かう可能性が高まり、下値目安は730ドル台辺りにも。反発方向には20日移動平均線(798)も切り下がってきた800ドル前後が抵抗水準に。
ドル円は40銭の反発で111円台半ばへ。東京終盤から欧州時間にかけて米10年債利回りが上昇し、これに追随する形で111円台半ばへと急騰。これまで2.8%台前半で停滞していた米10年債利回りが2.9%近辺まで水準を切り上げたことで、崩れていたドル円との相関関係も強まりそうな兆しも。ISMの好結果にもサポートされて長期金利上昇とドル高優勢地合いとなり、今朝の東京市場では111円台後半へ。日足では一目均衡表の雲の中での揉み合いが続いた状態から、上限突破をかけた攻防となっており、最近の高値111円80銭台を上抜けることになれば、一段高の展開へ。雇用統計の結果や本日再開の米カナダNAFTA再交渉、6日発動の可能性がある対中追加関税の行方によっても左右されそうな状況も、ドル高の流れが続けば上値目標は7月高値113円台前半へ。上限トライ失敗で雇用統計も予想外の悪化、貿易問題への警戒感再燃などで111円を再度割り込むようだと円高圧力再燃で109円台を目指す流れにも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場9/4終値とチャート
5日の国内金価格は-12円、0.26%安となって3日ぶりの反落。NY金の下落に円安サポートが入って下方圧力を軽減、下げ渋る形となって21日移動平均線(4577)との揉み合い状態も継続。米ISM製造業景況指数が予想外の好結果となったことで雇用統計などに向けても目線は上方向となりやすく、ドル高円安優勢地合いとなり、貿易摩擦関連を含めてNY金の売り圧力ももう一段強まる可能性もあり、国内価格も下値目安4540円近辺までもう一段の下落余地も。
プラチナ価格は-25円、0.83%安となって4日続落。反発基調を維持する範囲内での調整局面は下値目安2980円近辺に到達。NYプラチナもサポート水準まで下げたことで調整局面一服となりやすいところ。ただし、材料的には売り圧力が緩和されにくい状況も想定され、NYプラチナが安値更新へと向かうようなら追随せざるを得ない展開にも。
※参考:金プラチナ国内価格9/5とチャート
- 2018年9月5日(水)時点の相場
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国内金 : 4,575 円 9/5(水) ▼12(0.26%) 国内プラチナ : 2,988 円 9/5(水) ▼25(0.83%) NY金 : 1,199.1 ドル 9/4(火) ▼7.6(0.63%) NYプラチナ : 778.2 ドル 9/4(火) ▼8.9(1.13%) ドル円 : 111.47 円 9/4(火) ▲0.41(0.37%)
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PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン