金プラチナ短期相場観
米7月貿易赤字は3年4カ月ぶりの急拡大、対中赤字は過去最大
更新日:2018年9月6日(木)
米政権が知的財産権侵害を理由に340億ドル相当の中国製品に対して25%の追加関税を発動したのが7月6日、その後2000億ドル相当の対中国追加関税リストを公表したのが10日。米中貿易戦争が実際に動き出した月、米国の貿易赤字縮小の兆しは見られません。
米商務省が発表した7月の貿易収支では赤字額が500.8億ドルとなり、5カ月ぶりの高水準。赤字幅は2カ月連続の拡大で6月からは9.5%の急拡大。2015年3月(35.6%)以来、3年4カ月ぶりの赤字拡大率となりました。
輸入が2611.6億ドルとなり、5カ月ぶりに過去最大を更新したのに対し、輸出は2110.8億ドルと2カ月連続の減少。
中国側の復関税対象となっていた大豆の輸出が4-5月にかけて関税発動前の駆け込み輸出増となったことの反動が6-7月に現れている模様。
対中国のモノの貿易額では、7月の赤字額は368.34億ドル。4カ月連続の拡大となって6月からは10%拡大し、過去最大。
米国から中国への輸出は102.62億ドルで5カ月ぶり低水準となったのに対し、中国からの輸入は3カ月連続の増加で470.96億ドル。今年最大で8カ月ぶりの高水準となっています。
本日6日は2000億ドル相当の対中国追加関税リストに関するパブリックコメント終了期限。これをもってトランプ米大統領は躊躇なく、追加関税発動を宣言することになりそうです。
5日のNY金相場は0.18%の小幅反発。前日安値1195.1ドルから徐々に下値を切り上げる展開となってNY市場では1200ドルを回復、しかし上値は1205ドルにも届かず。この日の変動値幅は7.8ドルにとどまり年間平均13.3ドルの半分強。ドイツ連立与党のキリスト教社会同盟(CSU)がECBの緩和政策は早期終了すべきとの見解を示したことがユーロ買い材料となり、英独が英EU離脱に関する主な要求を取り下げたことで合意に向けた交渉進展期待によるポンド急騰に連れてユーロも買われ、ドル高の巻き戻しが進行したことがサポート材料に。1203.6ドルまで低下してきた20日移動平均線に上値を押さえられ、日々上値を切り下げる展開にもなっており、反発基調再開に向けてはこのラインが抵抗水準となる前に上抜けておきたいところ。ただ、その上には1220ドルが強めの抵抗水準となる可能性も。これも上抜けできれば8月後半の急落前の保ち合い水準も超えて7月上旬の水準1250ドル台を目指すような流れに発展する可能性も。下方向には1190ドルが重要なサポート水準。
NYプラチナ相場は+6.1ドル、0.78%高となって4日ぶりの反発。時間外には南アランド安にも連れる形となって軟調推移となり770ドル付近まで売られる場面もあったものの、NY市場では金の堅調推移に追随して780ドル台を回復、770ドル台での底堅さも確認する格好に。ただし金と同様に日々上値を切り下げる展開が続いており、目先は20日移動平均線(795.7)が上方向への攻防ラインに。これを超えると800ドルの心理的節目から800ドル台半ばまでの水準が抵抗水準。これも上抜けできれば半月以上続く安値圏での保ち合いを上抜ける形となり、急落前の保ち合い上限、850ドル台を目指すような流れとなる可能性も。
ドル円はわずかに続伸もほぼ横ばい推移。欧州通貨買いが優勢となってドル安傾向となり、東京時間と欧州時間に111円70銭台を2度トライして失敗。テクニカルな節目も多数集中するこの111円台後半の水準を超える為にはまだパワー不足の感も。上ヒゲの長い「トウバ」のような足型を残し、今朝の東京市場でもやや軟調な展開となって111円台前半へ。台風直撃による関西国際空港閉鎖に続き、今朝には北海道での震度6強の地震もあり、道内全域が停電、札幌証券取引所全銘柄が売買停止となり、4日続落後の日経平均も今朝は軟調推移。国内2大観光拠点の被災は今後の円高要因にも。111円ちょうどから111円80銭までのレンジでの保ち合い推移は続き、雇用統計や米中関税対応などで予想外の結果や動向となればレンジブレイクも。上方向なら目標水準は113円台前半へ、下方ブレイクなら目標109円台前半も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場9/5終値とチャート
6日の国内金価格は+27円、0.59%の反発。8月安値からの反発基調が続くなかでの調整局面は、下値目安4540円近辺に対して4570円台までにとどまって折返し。反発基調再開に向けては4630円台の抵抗水準突破が必要となり、そうなれば4700円台回復を目標とする流れに。ただし目先は9日移動平均線(4602)と21日移動平均線(4574)との揉み合いの様相にもなり、今朝の東京市場での円高基調にも足を引っ張られやすい状況に。対中追加関税発動の行方と雇用統計の結果などを受けて乱高下の展開も予想され、あらためて4570円台を割り込んだ場合には4530円近辺を目安に再度下押しの展開も。
プラチナ価格は+40円、1.34%の大幅高となって5日ぶりの反発。NYプラチナがサポート水準でしっかり反発したことを受け、国内価格も下値目安2980円近辺到達により調整局面を終えての反発。目先は9日移動平均線(3035)から21日移動平均線(3043)までが抵抗水準となりやすく、これを上抜けると3070円が反発基調再開に向けての節目水準。これも突破できれば3140円台辺りまでが次の上値目標に。当面のサポート水準となりそうな2980円台を割れた場合には2940円台辺りまでが次の下値目安に。
※参考:金プラチナ国内価格9/6とチャート
- 2018年9月6日(木)時点の相場
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国内金 : 4,602 円 9/6(木) ▲27(0.59%) 国内プラチナ : 3,028 円 9/6(木) ▲40(1.34%) NY金 : 1,201.3 ドル 9/5(水) ▲2.2(0.18%) NYプラチナ : 784.3 ドル 9/5(水) ▲6.1(0.78%) ドル円 : 111.49 円 9/5(水) ▲0.02(0.02%)
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