金プラチナ短期相場観
米貿易赤字縮小も輸入は4カ月、輸出は9カ月連続最大更新なし
更新日:2019年4月18日(木)
米商務省が発表した2月貿易収支は493.82億ドルの赤字。赤字幅は市場予想の534億ドルを下回り、1月の511.34億ドルからも縮小、10年2カ月ぶりの大幅赤字となった12月(-599億ドル)からは2カ月連続の縮小となり、昨年6月(-469.1)以来、8カ月ぶりの低水準。
対中国のモノの貿易額では、247.61億ドルの赤字となり、1月の-344.7億ドルからは28.2%の大幅縮小、過去最大の赤字となった昨年10月の431.03億ドルからは4カ月連続の縮小でほぼ2年ぶりの低水準に。
対中国の赤字縮小に向けての関税対応の成果や米中貿易協議の影響も表れている可能性もありそうですが、2月は春節の影響で中国の貿易額が急減した月でもあり、中国の貿易統計では3月に急回復しており、中国の黒字額は2月の33.79億元から3月は221.23億元へと前月比+554.7%の急拡大となっています。
むしろ輸出入額ともに減少傾向が続いていることが懸念されます。
米国の2月の輸入額は2590.73億ドルで前月比+0.2%の小幅増とはなっていますが、2672.32億ドルとなった昨年10月を最後に過去最大更新が途絶えています。
輸出額は2096.9億ドルとなり、1月からは1.1%増となりましたが、2128.55億ドルとなった昨年5月を最後に過去最大を更新できない状態は9カ月連続となっています。
対中国の輸出額も2月は84.34億ドルとなり、2017年12月の136.7億ドルの過去最大以降、これを更新できない状態は1年2カ月連続となっています。
この傾向は対ドイツ、対日本などでも同様で、輸出入ともに頭打ちの状態となっています。
米国の貿易赤字が縮小しても、世界全体の貿易額の伸び悩みが成長鈍化へとつながる負のスパイラルも懸念されます。
17日のNY金相場は-0.4ドル、0.03%の小幅安で3日続落。年初来安値をわずかに更新も、4カ月ぶり安値圏での下値模索も一服。欧米はイースターの連休モードで市場全体も静かな状態となり、今年の平均値幅11.8ドルに対してこの日の値幅は7ドル弱の小動き。ユーロ高ドル安の流れがやや優勢となった欧州時間には一時1280ドル台へと反発する場面もあったものの、NY市場にかけては再び1280ドル割れ。目先は小康状態が続く可能性もあるものの、最大1240ドル近辺を目指す下落トレンドがスタートした可能性は維持。3月に一段と急低下したドイツ製造業PMIの4月速報値は若干の反発が予想されており、上下にブレるようだと波乱要因にも。
NYプラチナ相場は+7.1ドル、0.8%高となって3日ぶりの反発。1300ドル台で保ち合い状態となっていたパラジウムの50ドル超の急反発にも牽引されるように水準を切り上げて890ドル台を回復。870ドル台までの短期下値目安に対しては、上昇基調が続く20日移動平均線(877.9)にも押し上げられる形となって前日安値880ドルまでで切り返す状態に。880ドルが当面のサポート水準となる可能性もあり、910ドルの抵抗水準までのレンジで方向感模索の展開にも。あらためて880ドルを割り込むようだと3月後半の保ち合い水準、860ドル台辺りまでが次の下値目安に。
ドル円はわずかにドル高円安で小幅続伸。東京時間朝に仕掛け的な値動きで年初来高値をわずかに更新も上値トライに向けた勢いは続かず、4カ月ぶりのドル高円安水準での膠着状態はこの日も継続。112円をはさんでの値動きは限定的となり、この日の値幅も20銭強。米中通商合意締結に向けて2回のハイレベル協議を経て5月中にも署名の可能性などが伝えられ、FRBのベージュブックでは数地区で経済活動が若干強まりつつあるとの報告もあり、これを好感しての金利上昇と円安でも112円10銭台の高値は超えられず。下げ止まりつつある90日移動平均線(110.60)の上で21日移動平均線(111.18)も9日移動平均線(111.67)も上昇し始め、強気相場の様相を強める状態にもあり、米指標などの好結果が続けばイースター休暇明けにも113円台後半を目指す流れ加速へも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場4/17終値とチャート
18日の国内金価格は-11円、0.22%安で5日続落。5日続落は今年初で昨年10月以来、半年ぶり。3月29日(4912)以来3週間ぶり安値水準での下落基調は続き、90日移動平均線(4921)を割れるのも昨年10月以来半年ぶり。水準的には今年安値(4797)から今年高値(5091)までの61.8%戻し(4909)付近となり、下げ止まるのにも都合の良い水準。しかし、NY金が下げ幅拡大へと向かえば一段安も余儀なくされ、4910円割れの場合には次の中長期サポート水準となりうる200日移動平均線(4797)付近までが下値目安にも。
プラチナ価格は+32円、0.94%高で3日ぶりの反発。中長期節目水準3400円割れを1日にとどめての反発となり、中長期のサポートラインへと切り替わる可能性も示唆する状況にも。小幅保ち合いからの下方ブレイクからも切り返す形となり、3390円台が短期的なサポートとなって今度は上方ブレイクを試す可能性も。3430円台の上限を突破できれば今年高値を更新し、3530円台辺りまでが次の上値目標にも。ただし3390円割れなら3400円以下のレンジに逆戻り、3月後半の保ち合い水準3270円台辺りまでが下値目安に。
※参考:金プラチナ国内価格4/18とチャート
- 2019年4月18日(木)時点の相場
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国内金 : 4,918 円 4/18(木) ▼11(0.22%) 国内プラチナ : 3,429 円 4/18(木) ▲32(0.94%) NY金 : 1,276.8 ドル 4/17(水) ▼0.4(0.03%) NYプラチナ : 891.3 ドル 4/17(水) ▲7.1(0.80%) ドル円 : 112.04 円 4/17(水) ▲0.04(0.04%)
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