金プラチナ短期相場観
7月ユーロ圏景況感指数、ドイツは主要国で最低
更新日:2019年7月31日(水)
欧州委員会が発表した7月のユーロ圏景況感指数は102.7。2カ月連続の低下で2016年3月(102.3)以来、3年4カ月ぶりの低水準。
これを牽引するドイツの景況感指数は100.2となり、長期平均100にほぼ並ぶ水準まで低下。5月の105.5から6月には102.6と2カ月連続の急低下となり、2013年6月(99.8)以来、6年1カ月ぶりの低水準。イタリアが6月の100.2から7月は101.6へと反発したことで、ユーロ圏主要国のなかではドイツが最低水準。
ユーロ圏全19カ国中、7月の景況感指数がドイツを下回ったのはベルギー(99.2)、エストニア(98.5)、スロバキア(93.4)、フィンランド(97.2)の4カ国のみ。
ユーロ圏の業種別では、鉱工業が2013年7月以来6年ぶりの低水準に落ち込み、サービス業も2016年9月以来、2年10カ月ぶり低水準となり、景気減速の波はサービス業にも波及し始めています。
ドイツの鉱工業は2012年10月以来、6年9カ月ぶり低水準となり、サービス業は2015年5月以来4年2カ月ぶり低水準と主要業種の低迷を牽引しています。
このドイツの景況感をさらに大きく下回る状況となっているのが英国。
7月の英景況感指数は94.3となり、2013年4月(93.1)以来、6年3カ月ぶりの低水準に落ち込んでいます。3月にはブレグジットの延期でいったんは持ち直しましたが、その後は再び悪化、ジョンソン新首相誕生で10月末の合意なき離脱への警戒感再燃が大きく影響し始めている様子です。
英国の7月景況感指数は、スロバキアをわずかに上回りましたが、EU加盟全28カ国のうち、スロバキアに次いで下から2番めの低水準となっています。
英国の鉱工業は2010年1月以来、9年半ぶりの低水準に落ち込み、小売も2012年3月以来7年4カ月ぶり低水準に低迷。
かつてEUとユーロ圏を牽引してきた2大大国に、その勢いは見る影もありません。
米国が少々の利下げをしようとも、そう簡単にドル安誘導できない一因には、欧州全体の景気低迷が挙げられます。
30日のNY金相場は+21.4ドル、1.51%の大幅高で3日続伸。スタートしたばかりの米中通商協議を巡ってトランプ大統領は早速の中国批判。「中国は大量購入するはずだった米国の農産物を購入する兆しが一切ない」「素晴らしい合意となるか、全く合意なしかどちらかだ」とまくしたてるトランプツィートに米中協議が一筋縄では進捗しないことをあらためて認識させられた市場にとってはリスク材料。FOMCについては若干の反対票も予想されながらも市場が0.25%利下げを織り込むのに対し、トランプ大統領はこれまで同様「大幅利下げ」を要求。FOMC目前にドルと米長期金利の上値は押さえられ、NY金は一段高となって高値保ち合い上限となっていた1430ドルを超え、上値目標1450ドル付近に急接近となる1445ドルまで上昇。目先、上値余地は1450ドル程度までに限定的となる可能性のほうがやや優勢と見られ、いったん材料出尽くしで調整の展開となれば1410ドル台までがサポートに。これも下抜けた場合には7月安値圏1390ドル近辺までが意識される展開にも。
NYプラチナは-9.3ドル、1.05%の反落。前日高値886ドル台を何度も試して超えられず、NY午前に失速すると10ドルほど水準を切り下げる展開に。860ドル台から880ドル台までの保ち合いレンジを維持する状態でFOMC待ちへ。反落警戒感も漂い始める状態にもなり、860ドル台を割り込めば90日移動平均線(847.1)前後までが下値目安に。反落警戒感を振り切って880ドル台後半以上へと反発できれば今年高値圏910ドル台までが上値目標に。
ドル円は20銭余りのドル安円高となって4日ぶりの反落。4日連続で高値を更新し、東京朝には一時108円90銭台まで上昇。しかし、109円ラインを超えるほどの勢いはまだなく、これがこの日の高値となって反落の流れに。米6月PCEインフレも総合、コア指数ともに市場予想を下回る低調な結果となったことも重石となって108円40銭台まで下げたのがこの日の安値。7月の消費者信頼感指数が予想を大幅に上回って8カ月ぶりの高水準となるなど、相変わらず好調を示す指標も目立つものの、このタイミングでは上値も限定的。0.25%利下げを決定し、今後は追加利下げの可能性も含みながらも経済動向次第、といった表現にとどまれば、いったん材料出尽くしで109円再トライの攻防にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/30終値とチャート
31日の国内金価格は+3円、0.06%の小幅高で3日続伸。わずかながらも2日連続で近年最高値を更新、5000円超の水準維持は33営業日連続となって近年最長を更新。最高値圏での斜行三角保ち合いも継続する形となり、これを上方ブレイクすることになれば上値目標5420円台に向けた流れが加速する展開にも。20日移動平均線(5273)から5270円までがサポート水準となり、これを割り込めば保ち合い下方ブレイクとなって大幅調整へ、7月安値5150円台が下値目安に。
月間ベースでは+109円、2.08%の続伸。
プラチナ価格は-32円、0.97%の大幅反落。上値目標3300円の大台手前まで急騰して失速した状態となり、目標水準には少し届かずに折り返し。3290円が目先の抵抗水準となる可能性、あらためてこの水準を上抜けることができれば上値トライ再開で目標水準は3330円台程度まで。3230円でサポートされない場合には200日移動平均線(3174)近辺までが下値目安に。
月間ベースでは+219円、7.21%の大幅続伸。
※参考:金プラチナ国内価格7/31とチャート
- 2019年7月31日(水)時点の相場
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国内金 : 5,338 円 7/31(水) ▲3(0.06%) 国内プラチナ : 3,258 円 7/31(水) ▼32(0.97%) NY金 : 1,441.8 ドル 7/30(火) ▲21.4(1.51%) NYプラチナ : 872.6 ドル 7/30(火) ▼9.3(1.05%) ドル円 : 108.60 円 7/30(火) ▼0.22(0.20%)
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